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『アシモフの雑学コレクション』 星新一(編訳)

特許を取らなかった発明、バルチック艦隊の話など、もっとたくさん紹介したいのですが、長くなりすぎたので削りました。

ユーモラスなものを中心にピックアップしています。


宇宙、気象

p19
 木星の円周は地球の十倍以上だが、その自転は九時間五十五分。

p21
 土星の環は、十四年ごとに観察不能になる。地球から、薄い輪を真横から見る状態になるためだ。

p32
 数学者カルダーノは、占星術を信じていた。熱中のあまりキリストのホロスコープを作り、しばらく投獄された。

p34
 太陽からの熱が二パーセントほどへった状態がつづくと、すべての海が氷となる。

p43
 普通の大きさのハリケーンのエネルギーを動力に使えるとしたら、アメリカの電力の半年分をまかなえる。

p45
 中世の錬金術は成功しなかったが、その研究中に、硫酸、硝酸、塩酸を発見した。近代化学工業では金以上に有益だが、その功績をたたえる人はいない。

いきもの

p52
 アルマジロやハリネズミにとって、ノミは健康上、必要である。表皮に刺激を与えてくれる。ノミを取り去ると、早く死ぬ。

p62
 六千万年前の馬の先祖は、高さ約三十センチ。

p67
 白い血液の魚が、南極に一種だけいる。ヘモグロビンでなく、なんで酸素を細胞に運んでいるのか、未解明である。

p69
 鳥の鳴き声は、成鳥のを聞いておぼえる。ヒナだけで育てると、意味不明の鳴き声となる。

p88
 十九世紀末のイギリスでは、入院患者の五割は、そこで感染した病気で死んだ。外部のほうが、死亡率が低い。消毒など、衛生面での不備のためである。

古代の人々

p108
 アルキメデスは入浴中、浮力の原理を発見し、わかったの意味の「ユリーカ」の叫びとともに、裸で街を走り回った。
 有名な話だが、古代ギリシャでは裸で運動するのが普通で、男の裸は珍しくなかった。

p204
 古代バビロニアでは毎年、適齢期の娘たちが競売にかけられた。もちろん、美女は高価。その売り上げ金は、売れ残った娘たちの持参金として配分された。
 歴史家ヘロドトスは、賢明な風習と評価している。

p107
 イラク地方にはるか昔、シュメール文明が存在した。現代人がそれを知ったのは、百年ほど前。祭司で支配者のグデアの宮殿が発見されてからである。
 紀元前五〇〇〇年から四〇〇〇年にかけて、栄えた。車輪つきの輸送機関、天文学、数学、レンガ造りの大きな建物、書物、商業活動などがあった。やがて消えてしまったが、滅亡でも敗戦によってでもない。文明がおとろえ、自分を高級な種族と思わなくなったためらしい。紀元前一九〇〇年には、シュメール人はいなくなってしまった。

文化、宗教

p110
 旧約聖書は二千年にわたる歴史だが、そのなかの人名はみなちがう。息子に、父や祖先の名をつけるといった重複はない。

p163
 ギリシャ正教の修道院が、六世紀からシナイ山のふもとにある。一九四六年に訪れた人は、ここの人たちが第二次大戦どころか、第一次大戦も知らないので、驚いた。

p164
 頭のいい政治家、元の元祖フビライ・カンは、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の主要な聖なる日をも祝った。

p120
 中世の大半にわたり、皇帝も王も、字を読めなかった。読み書きのできるのは、ほとんど聖職者だけ。

p142
 エスキモーたちは、食品の凍るのを防ぐために冷蔵庫を使う。

p270
 ドゴールが死んだ一九七〇年以前のフランスでは、子供に勝手な名をつけられなかった。役所を監督する内務省が、男女の名前のリストを作り、そのなかからしか選べなかった。

人物

p198
 ナポレオンは、大の猫ぎらいだった。

p176
 ラトゥール夫人は、天才的な贋作者。とくにユトリロを得意とし、パリの街や郊外の絵はすばらしかった。ユトリロ本人が見ても、どれが自分の作か区別できなかったという。

p296
 イワン雷帝は一五五五年、モスクワに聖ワシリ寺院を作らせた。あまりに美しいので、よそで作られないようにと、建築設計者の二人の目をつぶした。

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