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へべれけトーク。スピンオフ企画【へべれけキャリア相談会】

デジタルプロダクションを営む5人の社長たち。夜な夜な集っては、馬鹿馬鹿しい笑い話から熱いクリエイティブ論までをへべれけで語っていたのだとか。

「何かやりません?」

誰かが言い出したそんな一言から始まった、今回のスピンオフ企画「へべれけキャリア相談会」。
3月10日、キャリアに悩む20〜30代のクリエイター34名をお迎えして、青山にあるフォーデジットのオフィスで開催しました。

参加してくれたのはデザイナー・アートディレクター、エンジニア、ディレクターなどの職種の方々。経験者や新卒の他に、転職を考えている業界未経験の方もいらっしゃいました。事前にキャリアのお悩みを募り、ピックアップした質問に社長たちがいつものテンションで、ゆるっと熱くお答え。その一部をご紹介します。

今村 玄紀BEES/HONEY Inc.)AIは使い方にクリエイティブが光る。おじさん。
加藤 琢磨SHIFTBRAIN Inc.)AIがあっても人の心を動かすのは人だからね。おじさん。
定金 基COPILOT Inc.)AIは何を聞いても答えてくれるいいやつ。おじさん
田口 亮FOURDIGIT Inc.)AIでどうせ良くなるんだからビビらない。おじさん
村田 健SONICJAM Inc.)AIはどんどん使っていこう。おじさん。

田口:
今日はみなさん迷える何かがあって来てくれたということで、ありがとうございます。この業界を長く経験してる僕たち5人が、参考になることを言えるか、より迷走するようなことになるか……(笑)。ということで、何らかのヒントになればといいなと思っております。よろしくお願いします!


30代後半でIT業界にキャリアチェンジするとしたら?

最初はディレクター職の方から多かった質問です。背景として市場価値の高め方強み弱みキャリアの汎用転用スキルの悩みがあるのではないでしょうか。では、定金さんに口火を切ってもらいましょう!

定金:
えーー!いきなりー!?

一同:
(笑)。

定金:
打ち合わせ通りです。すみません、じゃあいきましょうか!
そうですね、自分だったら競争が激しいところには行かない。が、サスティナビリティみたいなものは大事だと思うので、ある一定以上お金になりそうなところを探しながらチューニングしていく。みんなが一緒にうまくできるようなポジションがないかな。みたいな感じが僕の思考だろうなと思います!

今村:
めっちゃ真面目!

田口:
打ち合わせと違う(笑)。

定金:
え?(笑) 。じゃあ次!加藤さん!

加藤:
IT業界だからこそ、ということはあまりないんじゃないかなぁ。社内で評価を高めるために周りの人の信用をきちんと獲得していく。実績を積み重ねていく。

村田:
世の中的にIT業界って最先端のキラキラした業界だとか思われてるけど、実は他の業界とそんなに変わらないんじゃないかな。

今村
もうここのみんなはキャリア形成について考えることはないと思うんですけど。もし考えるとするのであれば、自分がどう生きたいか。そこから逆算してキャリアを形成することが大事なんじゃ。

田口:
今村さんっぽい。

今村
家族とどこで暮らしたいとか、仕事だけじゃなくて自分の好きなことをして人生楽しんでいけるか。みたいなところを元に考えないとという感じかなと。

村田:
僕、30代後半とか年齢は関係ないと思うんです。

定金:
あら、急にいいこと言う。

村田:
カーネル・サンダースがケンタッキーを創業したのは65歳らしいし、伊能忠敬が地図つくり始めたの55歳みたいな。何を始めるにも年齢は関係ないと思うんですよね。逆に若ければ何でもできるかっていうと、そういうわけでもない。やるべきことってのがあるなら年齢は気にしない方がいいかなと。

田口:
専門性みたいな話になると、その分野の専門家にならなきゃいけないわけじゃないですか。その気持ちがあるかどうかにかかっているような気がします。例えば30代後半で「これからサッカー選手になります!」っていう話にちょっと近いところもあるのかなと。その気持ちがあればいいと思います。

加藤:
IT業界は他の業界と違うことってそんなにありますか?

田口:
何もないんじゃないですか?ポータブルスキルの領域では違いはないと思います。テクニカルスキルによっては違うかもしれない。

MC:
みなさん採用の際に最終の意思決定をされると思います。未経験者のキャリアの汎用や転用スキルは、どういうところを見ていますか?

加藤:
以前うちで役員をしていたメンバーは元々カレー屋の店長だったやつがいるんですよ。

村田:
うちもディレクター系は半分以上、未経験。

田口:
やっぱりそこは、ポータブルスキル。コミュニケーション力とか、問題にフォーカスする力とか、そっちが重要。

村田:
何をやってきたとか、何ができるかみたいなところ。

定金:
どういうところ?超絶なにか本気でやった経験があるとか?

村田:
なにかを極めた人って、やっぱり持ってる力みたいなのあるじゃない。

定金:
加藤さんはどういうところを見てるんですか?他業種のカレー屋の店長が来るわけじゃないですか。どこを見て採用したんですか?

加藤:
目ですね。

定金:
目⁉️

一同:
おーーーーーーー!

定金:
えー、なんのヒントにもならない!

今村:
目が大事。

田口:
目が大事。

定金:
目で何見てんの?

加藤:
誠実さ。あと向上心があるかどうか。

定金:
カラコンとか入れたらやっぱり?

加藤:
ダメです(笑)。僕ら1000人以上の方を面接してきているじゃないですか。小手先でやってるとすぐだめだなってわかるでしょ。

田口:
まあそれはすぐわかりますね。

定金:
正直開始15秒くらいでわかる。

加藤:
そこなんですよ。やっぱり、目力。

定金:
もうちょっと相談者の方が実践できそうなことにしようよ。じゃあ、今まで見てきて目力がある人たちの共通点ってなんですか?

加藤:
誠実さと向上心がある。入社時にスキルがなくても、そういう人ってどんどんスキルを身につけてくるじゃないですか。だからキャリアがどうかっていうより僕はその2つが重要です。

定金:
なにか結論出したいなー。

加藤:
目力にしましょうよ。

定金:
いいの?今からやるといいことは「目に力を入れろ」でいいの⁉️

加藤:
それで言うと「正直に」がいいんじゃないですか?「正直に」。

定金:
オネスティ。

加藤:
そう。オネスティ。

村田:
じゃあ一問目の結論はオネスティということで。

MC:
ちょっと。質問から外れちゃってるじゃないですか!

定金:
外れてないよ!採用スキルだから!


AIでデジタルデザイン業界はどう変わる?

田口:
AIを使って60点ぐらいの成果はサクッと出そう。100点を出せなくても及第点みたいな。だから60点以下のスキルで、例えばジュニアで経験を積んでる間はけっこう大変かな。

村田:
それがあっという間にAIが98点出すようになるよ。

田口:
そもそもAIと勝負していいんだっけ、みたいな感じもありますよね。

村田:
しない方がいいんじゃない。

定金:
道具が増えるみたいな感じだよね。それこそ汎用スキルが増えるみたいな。

村田:
インターネットが出てきた時、無くなったものもあるけど、逆にデジタルの仕事がいっぱい生まれたじゃないすか。だからAIが出てきて無くなるものもあるけど増えるものもいっぱいあるだろうから、興味を持って「やってみよう」ぐらいがいいんじゃないかなと。

今村:
自分も定金さんと一緒で道具として使う。誰にでもできる仕事はAIに取って代わられるとしても、広義なデザインには人の手が必要。怖いのはブルーカラー(AIに代替可能な単純作業をしている人)ですよね。バナーとかLPをつくるだけの仕事は全部消えて、自分の能力を活かせる仕事が増えていくんじゃないかなって思います。

田口:
僕も一緒ですね。良くないなーと思うのが、ツールの使い方を教える教育とかデザイン学校。それこそ「figma使えます」みたいなのは、必要ないなって感じはしますね。ツールが使えていったん満足するみたいなマインドはちょっと危ないかな。

加藤:
この間STUDIOさんに見せてもらったのがすごくて。AIがバーってサイトを作ってくれちゃうんですよ。だからもうそれこそ98点くらいまでは一気にいくんじゃないですかね?だけど100点は取れないとかはあると思います。AIをうまく使って98点の中にいるのか、そこからさらに上を目指すのか。そこに分岐があるのかなと思います。うちは方針として100点狙うので。やっぱり人の心を動かすのは人の作り出すものだと思っているので。

MC:

とはいえ、手が空いちゃう人もいると思います。要は業務が効率的になってくる。それはどう捉えますか?

村田:
うちのエンジニアと話したら、AIをすでに使ってて。コードを書く時にいったんAIに書かせて、それをちょっと直して使うというのを普通にやってた。それで効率が上がるんだったらいいじゃない。

加藤:
それは絶対ありますよね。文字起こしもAIに全部入れて出てきたものを直すほうが断然早い。

村田:
リサーチタスクも早いですよね。手間が省けるっていうのもあるし、その辺はもうどんどん使えばいいんじゃないかな。効率化して空いた時間で何をやるかでいい。

加藤:
うまく使ってこうよってことでいいですか。

村田:
なんか浅いなー。

定金:
じゃあ今村さん深めの言い方に。

今村
ツールとしてどう使うかが大事ですよ。単に情報を検索するために使うってレベル低いじゃないですか。うまい人はちゃんとクリエイティブに活かす使い方ができるんで。アウトプットが悪かったら意味がない。クオリティの高いものを作るための使い方にクリエイティブが光る。

定金:
昔、某会社の人に聞いたんだけど、雑誌の表紙を田中一光さんがやってた時にデザイナーさんが写植で作ってくるんですって。それを最後に田中一光さんがちょっとずつ、ほんのちょっとずつ動かすんですって。そしたらバキッ!て決まるって言ってて........あれ?

一同:
(笑)。

今村:
2%。

定金:
そうそう!クリエイティビティの話になるとね、余地があると思う。

田口:
あの、ちょっと1個言いたいのがビビらないこと。対AIにビビりすぎるとやばいなと思うんですよ。どうせ良くなるって思っといた方がいい。

今村:
そうそう。怖さとかないですよね。

定金:
なんか楽しいじゃんね。働く人がいないからそれをデジタルでやる。みたいなさ、人が減ってんだからいいじゃん。ガンダムのあれみたいにさー。

田口:
めちゃめちゃ脱線してますよ(笑)。

今村:
そうなるとプロジェクトマネジメントが大事になってくるんですかね。

田口:
確かにプロセス変わるか。

定金:
もう仕事のやり方は変わってきてますよ。AIに「こういう仕事のフレームワーク教えて」って言えば教えてくれるんですよ。今まではそういう知識は僕らが持っていた。かつてはクライアントも持ってるかな?くらいだったのが、今はクライアントも僕らより詳しい人がいっぱいいて、なんならAIも知ってる。でも僕らは食えてるわけだから、AIのことも仲良い、頭いい友達が増えたなぐらいで。何聞いても答えてくれるいいやつだなぁって。

田口:
この間、AIに「フォーデジット知っていますか? 」と聞いてみたんです。そこから、「強みと弱み」「弱みの解消方法」「それにかかるコスト」とどんどん聞いていったんですよ。そしたらちゃんとそれっぽいことを言うんすよ。これっていわゆるコンサルをやってるわけじゃないすか。このデジタル業界がどうだっていうより、全業界に影響がある。恐れていてもしょうがないって。

定金:
仲良くやれ、だね。

加藤:
やっぱ最終的にそういうことですよね。

田口:
AIと仲良くやろう。


事業会社と制作会社、デザイナーのキャリアプランはどう違う?

次はデザイナー・アートディレクター職の方から多かった質問です。この背景には例えば転職するならどっちに行くべきか?とか、質問者によっては受託型の制作ってどんな未来があるのかという話を聞きたいようです。この中で唯一、事業会社と制作会社を両方やっている田口さんからお願いします。

田口:
事業会社としてはクリエイティブサーベイというアンケートシステムのSaaSビジネスをしています。一方、フォーデジットはクライアントからの仕事をしています。その2つの違いをまず言うと、僕が欲しいデザイナーは事業側と制作側で全く違います。

一同:
へー!

田口:
事業会社では、事業に成果を出すことが大事。だから事業として必要なことをやってほしい。事業に必要なことをデザインのスキルを使って実現してください、という感じです。だからデザイナーのマインドセットとしては、フォーデジットとはちょっとずれます。

定金:
それって肩書きはデザイナーなの?

田口:
そうですね。プロダクトにおいてUIデザインとかをやるので。ただUIデザインのタスクがずっとあるわけではないから、イベントやるならチラシも必要だし社内資料が古くなるとアップデートも必要だし。とにかくデザインスキルで事業に貢献するという感覚です。制作とか受託の方はアウトプットのクオリティを上げたいので、そこに向き合える人を求めます。たぶんそこに関しては全く違う。制作会社から事業会社に移ったメンバーからは「会社からクオリティを求められない」という話を聞くけど、そりゃそうだと思います。事業がうまくいくための一員としてやってるから、事業成長のためになってない主張が通るわけではない。そこはもう求められることが明確に違うって僕は思ってます。

定金:
もう田口さんの話だけでいいんじゃない?この経験には勝てないよ。

今村:
いま聞いて、うちの会社は事業会社っぽいなと思いました。クライアントの事業に対し成果を出すことをやれっていう感じだから。オリエンに関しても「それ成果出ないですよ」ってちゃんと言うようにしてて。もちろんクオリティも必要。ちょっと何か変に伝わったらいやですけど、たぶんシフトブレインさんとかソニックジャムさんと違うところで言うと、クライアントの事業的な成果が優先で、クオリティは優先度が低かったです。そこはいま上げていこうとしているところなんですけど、それは事業会社よりのマインドだったのかな。

田口:
その感覚はちょっと違うかも。ビズハニさんはメンバー個人のスキルとかクオリティのレベル自体がビジネス、売上というか、そのまま事業の成功につながってる感じじゃないですか。でも事業会社においてはクオリティが高いことがサービスや事業の成功につながらないことなんて良くある。その場合、ここでいうクオリティには意味がない。我々のような会社は、質や効率が上がることが事業の成功とつながっているというのがあるんです。

今村:
なるほど。これは本当にイメージですけど、受託の方がめちゃくちゃ働くイメージ。なぜかというと事業会社の方は成果を出すために各人が役割をちゃんと発揮していくとかそんなことをやってるじゃないすか。事業会社でキャリアを積みすぎちゃうと、受託に戻れない気がする。

田口:
それはちょっとありますね。

定金:
それは忙しいから?

今村:
いや、事業会社にいると1個の事業(職能)に特化しちゃうんですよ。たぶん制作会社の方がもっといろいろできる。デザインとして、スキルとして。

田口:
事業会社はスコープが明確になり過ぎちゃう時はあります。クリエイティブサーベイの組織もセールスマーケティングとカスタマーサクセスと開発にわかれていて、その下にデザイナーが担当することがあるんですよね。だから要件が決まってからデザインしてくださいってなるし、いわゆるデザイナーに落ちてくる瞬間にもう幅感がないんですよ。

今村:
事業会社だったらそこでCDO(Chief Design Officer)みたいなところを目指して事業に貢献できる形でやっていく。最終的にチームで成果を出す。

田口:
その会社の中でちゃんと出世して意思決定をできる立場、CDOになるというキャリアはありますね。

村田:
事業会社でも最近デザインに力入れてる会社が多いじゃないですか。やってることが近づいてきてる感はあると思うんですよ。社内にデザインチームを作って新規事業をやったりとか増えてるし。逆に我々制作会社もクライアントと組んで事業の成果を出していくことが求められると、それを考えてやれるデザイナーが求められる。なのでお互い近づいてきてる感はある。でもやっぱり向き不向きはあるなとは思いますね。

定金:
うちがよく採用で見るのはマルチタスクが得意かどうか。けっこう複数のタスクを切り替えてやる必要があるじゃないですか。広めの目線でどんどん違うことやりたい!って人だったら、絶対受託の方が楽しい。

加藤:
働き方も給料も良くて自由が利くからという理由で制作会社から事業会社に転職する人も多かったんです。だけど、やっぱりうまくいかなくて辞めちゃう人もいたりしますね。事業会社はそのサービスにすごくコミットして、その事業自体を愛するぐらいなら良いでしょうね。制作会社はいろんな案件ができて、作り上げるたびに満足感もあって刺激が多いんですよね。

田口:
そうですね。本当にそうだと思います。

今村:
これが答え。アンサーっぽいですね。

定金:
おめでとうございます。加藤さん1ポイント!

加藤:
やったー!って何の?


20代でやっておいてよかったことを教えてください。

こちらはデザイナー職の方から多かった質問です。

今村:
デザイナーの方たちですよね。noteにも書いてるんすけどやっぱいいものを見ることかな。

定金:
あのnote!読み続けてたらスクロールバーが見たことないくらい長くてバグってるのかと思ったよ(笑)。

加藤:
めっちゃ長かった(笑)。

田口:
皆さん1回読んでください。

MC:
補足すると、今村さんはこれまで何千冊も本を読んで培った自分のメソッドをnoteに書いています。それが驚愕の10万字くらい。

定金:
このまま本になるんじゃないかな?って思った。

今村:
noteを読んでください。

ぱっと思いついたのは、挫折と本を読んだこと。いいものがわかるようになったのは最近だと思うんですよ、30を超えてから。なんか20代の時いいと思ってた大衆向けのデザインって今思ったらダセェなって思うものもあって。いいデザインを知ってたらそれはアウトプットに直接つながるのでもっといいデザインができたかもしれない。もっと違うとこ見なきゃいけなかったなと反省中。後悔になりますかね。音楽もアートも全部そうですが、いいものに囲まれるといいですよね。

田口:
僕は物を売ってくださいって思います。何でもいいんですけど、お金を稼いでください。なんでお金をもらえているのかを実感することは早めにやった方がいいですね。自分の作った物を売るってけっこう大変だなって。

村田:
僕は大学を出て会社に入り、そこからフリーのWebクリエイター的なことやってたんですよ。そのあと今のソニックジャムという会社を作ったのですが、先にフリーランスを経験していて良かったなと思う。Webサイトを作るのにお仕事掲示板みたいなところで仕事をもらって、打ち合わせ、ディレクション、デザインも自分で全部やって納品するとか。それこそ自分で作って自分で売るっていうのはすごい良かったなと思う。1回フリーランスをするってのはけっこうおすすめ。

田口:
僕もフリーランスやってました。

定金:
とにかく何か自分がいいと思ったことを一生懸命やってれば無駄な経験は絶対ないから。とにかくやれ!

今村:
やり抜き方がわかんない人はどうすれば?

定金:
とにかくやれ!

田口:
本人はやり抜いたと思ってるけど、まだやれるだろ?みたいなことはないですか?

定金:
本人がやってると思えればいい!結果がついてくるかどうかは運だから。田口さんもいいCD作ったけど売れなかったんでしょ?

田口:
ちょっと良かったかどうかは……(笑)。

加藤:
僕は20年前ぐらいに会社を立ち上げたんですけど、やって良かったのは、目標と目標に対するプロセスをすごく細かく出すこと。ちょっと変な話なんですけど、20代後半ぐらいに自分が思う制作会社ランキングみたいなものを作ったんです。1から100位ぐらいまで。

定金:
B'z Myベストみたいな?

加藤:
そうです(笑)。勝手にいろんな項目を分析してマニアックに。自分の会社は今何位なのかな?を考えてそれをちゃんと運用したんですよ。ここに載ったから今ランキング何位になったとか。自己満足ですけど、少しずつランキング上がっていくってのをやり続けたんです。それが自分の目標に対して解像度が上がってすごく良かったなって思ってます。

今村:
僕も同じようなことやってたかもです。

田口:
加藤さんこの間noteで書いてましたけど、そうやってゲームっぽくやるのがうまいですよね!

加藤:
好きなんですよ。プロセスをいかに楽しく仕組み化するかという。

定金:
ではそれが結論で答え。フリーランスとランキング。

今村:
全員フリーランスやってました?

定金:
僕は半年だけ。

村田:
僕、フリーランスやってた時にすごくほめられたことがあるんですよ。フリーって悪かったら仕事もらえないっていう厳しさもあるけど、逆にいい仕事をすれば直接フィードバックをもらえる。「君が一番良かったな」とか言われたことが何回かあったりとかして、この業界でやっていけるって思えて。今でも心の支えですごい糧になってる。

定金
結果、ほめていこう。


40、50代デザイナーの道は?

こちらはデザイナー職の方から多かった質問です。背景にはプレイヤーをやり続けるのか、マネジメント側に回るのか。あとはロールモデルがいない。などのお悩みがあります。

今村:
自分は二種類かと思ってて、どんだけバリュー出せるかと人間国宝になるか。広義のデザインを極めるか狭義のデザインを極めるかどっちかだと思うんですよね。

村田:
極端だなー。

今村:
自分に依頼していただける価値をどこまで上げられるか。自分が広義のデザインでどんだけバリューを出せるかは常に考えています。そして、広義のデザインの人が最も重要視しているのは狭義のデザインができる人なんですよね。クリエイターですよ。広義のデザインに行けば行くほど技術が減っていっちゃうんで、人間国宝みたいな職人的な人をアサインして成り立つ。なのでどっちかになるしかないと思ってます。

村田:
そうですねー。人間国宝になれる人はちょっとしかいないんで、もうちょっとゆるい感じもあってもいいと思う。いまリモートワークで働きやすくなってきたことがいいことだなと単純に思ってて。例えばデザイナーは激務だから女性が子育てと両立するのはちょっと無理みたいなのがけっこうあったなと思うけど、今はうちの会社でも女性で子育てしながらデザイナーをやるとか、地方に住んでリモートでやってるとか、そういうパターンも増えてきてる。生き方の選択肢が増えてるんじゃないかなって。そういうゆるい雰囲気を持ってる人もいていいんじゃないですか。

定金:
僕はどんな仕事でも他で絶対活かせるものがあるみたいな考え方で、T型人材とかI型人材とかいう話だと思う。デザイナーに限らないかもしれませんが。

村田:
マネジメントは絶対できたらいい。

加藤:
僕は正直そう思います。それでいうと50代とか大変じゃないですか。

定金:
何が?寝つきが悪いとかそういう話?

加藤:
体力的な問題とか家族の問題とかいろいろなことが出てくるじゃないですか。なので僕はマネジメントに回る方がいいと思ってるんです。それはさっきのAIの話もあるし、50代で超一流を目指すってのもけっこう大変だなと思って。それよりはむしろ経験値がめちゃくちゃ大きい。僕の場合、自分が主体なのか、周りを生かすのが主体なのか「生き方スイッチ」みたいなものがあったんです。自分が主体でもの作りをしていくところから、誰かが困ってることをサポートするみたいな考えに変わるタイミングが来て。何かゼロから1を生み出すってことももちろん楽しいんですけど、自分の経験を活かしてその人をどう活かすか。そういうふうにものづくりに関われるんじゃないかと思います。

村田:
職人的に手を動かすか、マネジメントのどっちかみたいなこと言うけど、両方だと思う。

田口:
そう思います。

村田:
人によって、そのバランスが8:2なのか9:1なのか6:4なのかはあるけど。ただ「マネジメントはやらない」みたいな考えに僕はあまり賛成できない。大人だからやんなきゃ。

今村:
この間、めちゃくちゃ職人肌の建築家と仕事したんですけど、マネジメントできないんですよ。でも素晴らしいものを作るんですよね。これもこれでありなのかなと思う。

加藤:
ありだと思います。

今村:
絶対必要ですよ。

村田:
うん。それはそれであると思う。でもやっぱりうちの会社にはいらないかな。後輩1人でもいいから一緒に何かやるとか、そういう意識がある人の方がすごくいい。

田口:
一緒ですね。成り立たなくなっちゃうと思います。やっぱりポータブルスキルの話になっちゃうんですよね。人とどう向き合えるかとか、お客さんとどうやるかみたいな。自分はこの仕事、この専門だけ。となっちゃうと、それこそ40代50代で本当に勝負できますか?と感じます。

今村:
僕が言う人間国宝ってのはもう変人なレベルで極めている方なので。フリーランスの線上でいうと、フリーになることのデメリットって教わってきたものを誰にも教えずに卒業して自分だけ利益を得ること。それは社会的によくないなと。フリーになっても人を雇ったりとか、そういうエコシステムみたいなことをやらないといけないとは思いますね。

村田:
マネジメントやりたくないっていう人も多いけど、苦労もあるけど喜びもある。育ったやつが活躍してくれるとかさ。

定金:
マネジメントってピープルマネジメントってこと?何をマネジメントできたらいいの?

田口:
責任の範囲じゃないですか?自分の仕事だけとか自分のスコープだけじゃないところまでっていう話ですよね。


今の自分は若い頃に想像していた通りになっていますか?

時間が無くなってきたので最後の質問です。

田口:
なってないです。

今村:
ある程度は。タイムライン的には遅いですけどね。

村田:
なってないですね。想像もしてなかった。

加藤:
僕は自分のランキング上ではある程度。

一同:
(笑)。

定金:
ランキング!軸強いなー!

MC:
ではお時間になりましたので、最後にどなたか挨拶をお願いします。

田口:
けんさんじゃないですか。

加藤:
けんさん。

今村:
けんさん。

定金:
ソニックジャムの人間国宝。

村田:
はい、今日の話が何かみなさんのプラスになればいいなと思います。コロナで対面のイベントもできなかったけど、今日こういうことができたっていうのがすごく良かったなと思います。僕らもとても楽しかったですね。この後の歓談で僕らだけじゃなく色んな人と話してもらって、ここで知り合ったつながりがきっかけになって友達ができたりするといいなと。もしかしたら今後一緒に仕事をしたりするかもしれないし。ひとまず今日はありがとうございました。

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会の終了後はへべれけメンバーや参加者同士の交流で盛り上がり、オフラインイベントの醍醐味を感じられた夜でした。
へべれけ相談会も2夜目があるかも……?その際はぜひご参加ください!

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絵を描いた人
仲村 直(Instagram)納豆を1年間毎日食べ続けたらγ-GTPが爆下がりしたイラストレーターさん。


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