【形意拳譜】序
形意拳譜というのは李洛能老師(詳しくはURLをクリック)の記された形意拳における一番原初となる伝書となります。形意拳譜の内容はとても多い為、かなり翻訳に時間を要する可能性もありますがその点はご了承ください。
形意拳序
形意拳术之始,本乎天地之大端与夫造化之原理,盖天地之辟于一无气也,万物之生于无知,形意之成本于无意。盖无意至极生有意,意诚心正,乃至于静,静则察候六脉、溶暇二气,静极生动,动而震发四肢,贯通百骸,是谓先天存乎静,后天藏诸动也。故意为体而形为用,静属阴而动属阳,体用动静得阴阳消长生生之功,而真一之气生焉,孔子曰:“冬至养其阳,夏至养其阴,吾善养吾浩然之气。”此皆修养正气之谓也。盖形意拳之原理,则培养天一之道,由后天而达于先天也。重阳不重阴,太刚必折;重阴不重阳,过柔不坚;刚柔相济,乾坤之道乃成。古之传斯术者,多以心法口授,缺少记载,使后学者茫然不知途径,须以涵养正气为先,以为之序。
形意拳術の始まりは、天地の大端とその創造の原理、つまり天地を無気の状態から切り開くことである。万物は無知から生まれ、形意は無意から成される。無意に至るには有意を生み極め、意は誠心が歪まざれば汝は静に至り、静に至れば六脉を察し、二气の暇(隙)を溶かし、静を極めれば動が生まれ、動が四肢を立ち上がらせ、百骸(多くの骨)を貫通し、これが先天に静が存在し、後天に隠れているのが動であるということである。意図的に体の形を用いるなら、静の属するは陰であり動の属するは陽、体を用いて動静を得て、陰陽を無くすことで長く生きるその功であり、ここに真の気が生まれる。孔子曰く「冬に至れば陽気が養われ、夏に至れば陰気が養われ、我善く吾が浩然の気を養う(孟子‐公孫丑・上より公明正大でどこまでも恥じるところのない精神を育てるという意味)」とあり、これは正気を修養するということの謂れである。つまり形意拳の原理というのは、則ち天と合一する道を養い、後天によって先天に達することである。陽に重く偏り陰に重さがなくなれば、剛さが過ぎてしまい必ずや折れてしまう。陰に重く偏り陽に重さがなくなれば、柔らかさが過ぎてしまい堅さがなくなる。剛柔が相済むことで、乾坤(天地・陰陽)の道が成る。古から伝わるこの技術というのは、多くの心法を口伝にて授けられたため、記載が少なく、後学の者が茫然と知る手段が少ないが、まず正気を修養することが先であるからして、これをもって序とする。