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ヤクンカヤトースト丸の内 伝統と現地化の両立
ヤクンカヤトースト 東京国際フォーラム店。
シンガポール本店の味を基本踏襲した、由緒正しい南洋中華の朝食店です。以前は新宿、霞が関にも店はありましたが、現在は東京国際フォーラム店1店舗です。
「カヤトースト」という南洋の非常にユニークで定番の一つである朝食を、日本に伝える重要な店舗なのですが、初代のロイ・アクン氏が、海南出身者としてシンガポールでの地盤を固める貴重な記録にもなっています。店にはJennifer Loi さんの英語コメントが貼られていて、これを読むだけで「来てよかった!」と思わせる、そんな店です。
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さて、「カヤトースト」
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ココナッツミルク、砂糖、卵、パンダンリーフのエキスを煮詰めて作ったカヤジャムを豪勢にトーストに塗った、甘いトーストです。何といってもカヤジャムです。この店のカヤジャムは、パンダンリーフの濃厚な香りが浮かび上がるかのような食感に引き寄せられます。
それでも、上記が語る通り、当時の南洋での「肉体労働」に甘い飲み物と食べ物のセットが大受けした歴史はよく理解できますし、文化の尊重は言うまでもないのですが、現代においては、嗜好としての個人差はどうしても大きく存在するものと思います。何度も繰り返して恐縮なのですが「健康志向」は全世界の潮流でもあると思います。
そこで、「ヤクンカヤトースト丸の内」。基本はシンガポールのレシピを踏襲し、卵、パン、バター等一部の材料は日本で調達するものの、鍵となるカヤジャム、コーヒー豆はシンガポールから調達している店なのですが、それでも「日本限定メニュー」があるのです! Toastwich 。造語ですね。普通にホットサンドなのかもしれませんが、「カヤトースト+コピの甘甘」ではなく、トーストのほうの甘さを控えた限定メニュー、でしょうか。私はその日は注文しなかったのですが、次回はこの組み合わせを試してみたいです。(欧米系のお客さんが注文されていました)。 ちなみに「あんこ」を入れたメニューも日本限定!(甘いシリーズですが) シンガポールに「逆輸入」されたらおもしろいですね。
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ちなみに店内ではシンガポール直輸入のカヤジャムが販売されています。ひと瓶¥2,000. 正直なところ簡単には手に入れ辛いのですが、「このおいしさ」に至る手間、想定されうる輸入の費用を考えるとやむを得ないのでしょうね。
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外国の味と食文化を日本で伝えるのに、「現地の味の踏襲」と「顧客層の拡大のための現地化」を両立させるのは、共通の悩み・葛藤・苦悩の連続なのだと思います。それでも、何とか踏ん張って欲しいと切に思います。大勢が応援しています!
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