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パートナーセールスにこそ必要なSales Enablement 「Partner Sales Enablement」
パートナーサクセスの村田です
パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)で業績を拡大するための重要な戦略の一つとしてPartner Sales Enablementを提唱しています。
今回はパートナーセールスアドベントカレンダー2023への寄稿ということで、これから続々とパートナービジネスの知見をお持ちの方々のnoteが発信されますので、是非、ご覧ください!
アドベントカレンダーのリンクはこちら
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私はこれまで、キャリアにおいてセールス領域を中心に、現場から企画・マネジメントサイド、マーケティングや事業開発まで幅広く携わってきたなかで、改めてSales Enablementの重要性を感じていました。
私の考えるSales Enablementには大きく2つのスコープがあります。
Sales Enablementのスコープ
1. 商材そのものの売り方開発
2. セールススキル
Sales Enablementに関わる様々な書籍や記事などのコンテンツの多くは、2. のセールススキルのみを扱うケースが多いですが、ターゲティングやポジショニング、Value Propositionなど、そもそも商材がどのようにして売れるのかを考えるマーケティングの要素がなければ、Sales Enablementは効果を発揮しない、というのが自論です。
この考えを前提にした時、パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)とSales Enablementの掛け合わせは非常に相性が良く、パートナーセールスにこそ、Enablementが重要であることを日々実感させられます。
パートナービジネスで実践するSales Enablementを、Partner Sales Enablementと呼称しており、定期的にnoteで解説をしています。
本日は改めて、Partner Sales Enablementが何故重要なのか。
その理由を、私の実体験を踏まえて説明します。
パートナーセールスに重要な、SalesのUX
SalesのUXとは何か
UX(User Experience)とは通常、エンドユーザーが商品やサービスを探して購入する購買体験(また、購買後も含める)を、いかに価値のあるものにするか、という観点で活用されます。
これは非常に重要な概念で、商材・サービスの提供者は、つい、売り手目線で販売プロセスを考えてしまいがちですが、ユーザー視点に立って考えることが、いかに大切かを教えてくれる教訓でもあります。
Webやアプリなどのデジタルプラットフォーム上の世界で例を挙げれば、
例えばAmazonは、欲しいものが明確にわかっているユーザーをターゲットとしているため、どれだけ簡単な操作で、目当ての商品に辿り着けるのか?をUXのポイントとしていますし、
逆に楽天ファッションの場合は、ネット上でウィンドウショッピングを楽しみたいユーザーをターゲットに、お得な情報や類似する商品、欲しいものにマッチした組み合わせの表示など、時間をかけて色々と探して楽しめるUXを提供しています。
また、API連携を活用した個人情報入力の簡略化、リアル店舗の場合は、お店の入り口から出口までの導線設計やキャッシュレスによる決済の簡略化など、いわゆるフレクションレスと言われる、ストレスのない買い物体験を、いかに提供できるか、が競争優位の源泉にもなっています。
このコンセプトをセールスに当てはめた際、SalesのUXとは、セールスにおける活動体験の価値をいかに向上させられるのか、というのが議論のポイントになります。
Sales UXのゴール
セールスの活動体験とは、いかに顧客との関係性を良好に構築しながら、素早く成果に辿り着けるのか、ということになります。
つまり、契約顧客数の増加と、商談リードタイムの短縮がゴールになり、これを達成するための方法論がSales Enablementと言えます。
では何故、パートナーセールスにおいてSalesのUX、ひいてはSales Enablementが重要になるのでしょうか?
直販とパートナービジネスの違いを理解すれば、分かる
直販とパートナービジネスの大きな違いの一つは、商材提案のインセンティブです。
先ほどのUXの流れから、視点を売り手側、つまり、直販の場合は営業担当者、パートナービジネスの場合は、パートナー企業の営業担当者、とした場合、
直販の場合は、自社の商材を販売して売上を上げることがメインミッションですが、パートナービジネスの場合は、複数の商材を選択活用して売上を上げることがミッションです。
具体的な目的は、パートナー企業が、アライアンス商材をどのような目的で販売するのかによって違いますが、言い方を変えれば、パートナー企業にとっては、必ずしも特定の商材を扱う必要はない、売上目標を達成するのであれば、売れる商材だけを売れば良い、ということです。
実際のデータから、パートナー企業は、複数の同一商材(つまり競合商材)を同時に取り扱っていることが分かっています。
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このことから、パートナーセールスにおける重要戦略は、いかにパートナー企業に自社の商材を提案してもらえるのか?を問うことであり、取扱商材量の比率を高めることが、一つのゴールになるはずです。
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これは言い換えれば、パートナー企業の営業担当者に、自社商材の提案体験価値をいかに向上させられるのか、が重要なイシューになります。
UXはUser Experienceですので、同様の概念として、PRX(Partner sales Representative Experience)と呼称できます。
(とはいえ、PRXって分かりにくいのでUXの概念を理解していればOKだと思いますが…笑)
マネジメントが陥りやすい「管理したい欲求」
「マネジメント = 管理」という日本語訳が、間違いを生みやすい
英語のManagementを、うまく日本語に意訳するのが難しいためか、翻訳を見ても「管理」という言葉が使われいているケースがありますが、Managementの本来のニュアンスは、「経営」や、「なんとかする・やりくりする」のように、何かしらのスキルや工夫を用いて目的を達成していく意味合いが強く、日本で良く表現される管理は、"Administrate"、場合によっては"Control"の文脈で使用されるケースが多いと感じます。
日本では、Managementを執行する役職を「管理職」と一般的に呼称しますが、果たして何を管理するのでしょうか?
管理という言葉は、例えば機械・ルール・金銭出納など、モノやコトに対しては適切ですが、人に対してはあまりポジティブな意味を持たないと考えます。
マネジメントは、事業計画を遂行するために、予実管理や見込み管理(FCST)を適切に理解する必要があることは事実ですが、管理することや、できるかぎり正確な"読み"をすること自体が目的化しているケースは少なくありません。
かく言う私も、マネジメントを経験する中で、気付いたら「いかに正確なFCSTを、論理立てて設計し、説明するか」に囚われていた瞬間がありましたが、いくら計画や見込みを論理的に正確に近づけても、実際に売上が上がることはありませんでした。
ここでシンプルな質問ですが、特にセールスという役職において、管理されたい人は、どれだけいるでしょうか?
パートナーセールスで"管理したい"は、大きな間違い
前述した通り、パートナーサイドの営業担当にとっては、売上目標を達成するためには、特定の商材にこだわる必要がありません。
さらに、あくまでアライアンス先であるため、評価制度も違えば、活動に対して強制力を働かすことも困難なのは明白です。
直販よりも更に、パートナー企業の営業担当者の提案体験を、どう良くするのか?と言う、「支援の視点」が大前提になります。
勿論、パートナービジネスにおいても、案件の情報から、売上の計画を立てる必要や契約管理が重要であることは、重々理解していますが、管理が先だった瞬間に、パートナービジネスは上手くいきません。
最近は、パートナー企業にSFAのIDを付与して、案件情報の管理を促しているメーカー/ベンダーもいらっしゃると思います。
これ自体が悪い訳ではありませんが、パートナーサイドの体験を考慮されていないケースは少なくありません。
複数の商材の取り扱い、つまり、複数企業とのアライアンスを並行するパートナーサイドからすると、案件の情報を共有するためには、各ベンダー/メーカーが用意した別々のID・PASSを活用して、それぞれのシステムにログインする必要があります。
直販ですら、SFA導入において一番のボトルネックは「現場が入力しない、入力内容が適切ではない」ことですが、複数のシステムを用意されているパートナー企業にしてみれば、どれだけ煩わしいことか、簡単に想像できます。
実際に、パートナーサイドの方にお伺いした、こんな事例があります。
エンドユーザーから、ある商材に関して、見込みの高い案件をもらったので、その商材のベンダー企業に情報を共有をしようと思ったが、
案件情報を共有するには、ベンダーが指定した規定のルールに則って、案件情報を詳細に記載したフォーマットへの入力が必須と言われたため、煩わしくて、類似の商材を扱う、柔軟な対応をしてくれる他のベンダーの営業担当者に案件を渡してしまった。
Partner Sales EnablementはパートナーセールスのUXを追求していく
DXは必須だが、スコープを間違えないこと
AIシステムや、AIを活用したChatGPTなどが分かりやすいように、テクノロジーがビジネスに与える変革の力は凄まじく、デジタルトランスフォーメーションは、ビジネススキルにおいても必須です。
私もこれまで、コロナ禍をきっかけとしたテレワークのサービス企画と社内レギュレーションの同時立ち上げや、最先端テクノロジーと新規事業の組み合わせテーマのウェビナー実施、ITエンジニア・デザイナーのフリーランス活用支援などの経験もあり、テクノロジーを活用した働き方改革やBizDevには、それなりにアンテナが高い方だと思いますし、今でも、デジタルを活用した生産性の向上は必須だと考えています。
しかしながら、ビジネスの主体はあくまで人であり、テクノロジーは手段です。
コミュニケーションの手段もほぼデジタル化され、今や年賀状の発行枚数も、2003年の44.5億万枚から2020年時点では19.4億と50%以上も減少しています。
ただこれは、関係性が希薄になったと言うことではなく、手段が置き換わった、ということに過ぎません。(とはいえ、関係性の希薄化も、完全には否定できないかもしれません)
ビジネスにおいても、ついテックドリブンで、オペレーションコストをいかに下げるのか?を考えてしまい、人がベースにあるのを履き違えてしまいがちです。
UXを最大化するために、何をテクノロジーに置き換えたら、生産性が高まるのか?を追求することが重要で、そのためにアナログのままで価値を向上させるものと、デジタルで発揮可能な価値のスコープを、しっかりと見極めることが重要です。
パートナビジネスにおいても、コミュニケーションや行動ログの可視化など、データ・ドリブンでより効果を発揮できる部分と、アナログに泥臭くサポートする部分とを、分けて考え実践するからこそ、はじめて成果に結びつきます。
まとめ
誰よりも自分自身が、パートナービジネスに関わることで、多くの学びを得ています。この記事を読むべき一番最初のターゲットは私自身でした。
最先端のビジネスや、研ぎ澄まされたロジカルな会話のみで成立させていく必要のあるシーンに触れていくことで、頭でっかちになっていた部分があります。
勿論、この経験は非常に貴重ですし、高度なコミュニケーションの中でパフォーマンスを磨くことも引き続き研鑽が必要です。
一方で、あたかもそれが正解のようなベキ論に陥ってしまうことで、戦略と実行、企画とビジネスが乖離する失敗も経験しました。
改めてですが、SalesのUX向上を目的とした、Sales Enablementとパートナービジネスの組み合わせである、Partner Sales Enablementは、業界に大きな好影響を与えるものになると信じていますし、そうするのが私の一つの使命だと思っています。
引き続き、皆様のお力添えをいただきながら、実現していきたいと考えています。
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