【 #異修羅 】「最強」と「最強」が、いま正面衝突する
「最強」とは何か。
体構造すら変化させて放つ地上最速の槍か。
常人の予測と想定を超えた二段構えの剣戟か。
無数の同族を従え制空権を活かす戦略か。
1人以外誰も認識できない致命の刃か。
口にした全てを実現させる埒外の権能か。
それとも―――
「本物の魔王」が倒れた後の世界。未だ現れぬ「勇者」を定めるべく、世界各地から候補者が集められていく。
『地球最後の剣士』。
『童謡にすら語られる伝説の巨竜』。
『盤外から睥睨する政治家』。
『数多の武具に長ける冒険家』。
『魔剣を狩り続ける魔剣士』。
『極限の人機一体を果たした騎兵』。
勇者が勝つのではない。
勝った者が勇者になる。
ここに語られるは最強、その頂を求める戦の始まり。
『魔王』を名乗る者は火蓋を切って落とし、戦火に集うは規格外の「修羅」達。
策略。願望。信念。因縁。
思惑は交錯し、想定は裏切られ、「最強」と「最強」が刃を交える。
最後に立つのは誰か。
余りに血腥く、凄絶なる『英雄譚』が開かれる。
その物語の名は、「異修羅」。
……というわけで、「異修羅Ⅰ 新魔王戦争」の感想を(極力ネタバレなしで)書いていきたいと思います。
〇概論
えっ何コレ知らない……。
加筆したというのは聞いていましたが「新規パートが8割以上」だと誰が思うか。本編で出てきたはずの人達まだ2割も出てなくない……??今回は「導入部」という側面もそれなりにあるだろうけどここまで熱い戦が乱発されるとは。本選をメインディッシュとすると今回は「前菜(10000kcal)」ということなのかも知れない。どこの世界に10000kcalの前菜があるのか。ここにある。
〇新キャラ
カクヨム連載版ですら「端から端まで桁違い」だったのにまだ桁違い修羅が増える増える。特に推し新キャラとなったのは海たるヒグアレさん。泰然とした化け物これが大好き。連載版から「種族に一見見合わぬ戦型」がよく示されてきたがこれは本当に予想外だった。というか勝ち筋が余りに恐ろしい。全ての要素が最悪の最適解、それが海たるヒグアレ……。
〇静寂なるハルゲント
ざっくり言うと「統治機関トップ」である黄都二十九官の1人にして鳥竜(ワイバーン)狩りの名手、無能にして近視眼的、それでいて鳥竜にまつわる知識と経験だけは他の追随を絶対に許さない男「羽毟り」ハルゲント。連載版からやらかし気味だった彼の所業は書籍版でエスカレートします。でも憎めない。一概に「無能」と罵倒するには足りない。読了後ずっと彼のことを考え、頭を抱えることになる。とんでもないキャラ造形をしている……。
〇作者について
いやそういうことでは無いけれど。書籍化に当たり途方もない加筆を入れ、カクヨム連載版でも未だ示されない「その先」を用意した恐るべき作家。宣伝用アカウントでも遊ぶ間にレーベル側から公式サイトを用意された人。後書きで何故かお腹が空く名文を認めた人。
ここまで語ってもまだ足りない印象が極めて強いので是非読んでいただきたい。令和の世に名乗りを上げた「全員チートバーリトゥード」、その幕開けを是非!