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KODOKU (ショートショート)

 閉め切った窓。深夜二時の三日月が空にあった。
 街は眠っていた。

 私は、ベットの中から三日月を見ていた。ひっそりとした美しさが三日月にはあった。

 孤独は美しい。そう感じた。

 この街のどこかでは、煌々とした明かりの中、こんな時間でもじゃれあって遊んでいる男女がいるのだろうと思った。

 孤独は寂しい。そう感じた。

 私は二十二歳の、女だ。まだ二十二歳だと人は言う。でも、もう二十二歳だと私は思ってしまう。十代はとっくの昔に過ぎた。大して良いことなかった。成人式も、もう過ぎた。いっていない。そして、二十二歳。孤独を引きずっている。

 あーあ、と思った。ごろんと寝返りを打ち、毛布を抱きしめた。

 もう二十二歳だと思いつつも、まだ孤独を抱きしめる余裕が私にはあった。

 十年後、三十二歳になったら、そんな余裕もなくなるだろう。まだ孤独だったらどうしよう。頭を振った。眠れなくなるよ、そんなこと考えたら。

 三日月が私を照らしていた。

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