✦もしも神様に選ばれた人間だったら✦第1章:もしも神様に選ばれた人間だったら
私は普通の人生を送っていた――少なくとも、あの日までは。
いつもと変わらない朝。窓から差し込む光に目を細め、日常が繰り返されると思っていた。けれど、突然の痛みとともに、全てが暗闇に包まれた。
目を覚ますと、左側の感覚が失われていた。足も手も思うように動かない。「これが夢なら早く覚めてほしい」と何度も願ったけれど、現実は容赦なく私を引き戻す。
そんな中、ふと天上の宮殿で聞いたような気がした言葉が、頭の片隅に浮かんだ。
「この試練を乗り越えたとき、お前の魂は輝きを放つだろう。」
あれは夢だったのだろうか。それとも現実なのか。まだ半信半疑の私は、その言葉を心の中にしまい込んだ。ただ、どこかで「選ばれた」という感覚が残っていた。