✦もしも神様に選ばれた人間だったら✦第3章:希望の芽生え
私には、大切な場所がある。
そこは、夢と魔法が溢れる輝ける王国。
その扉をくぐるたびに、心の中に隠れていた童心が目覚め、世界が光の粒で満たされる。
ただ想像するだけで胸が高鳴り、心に小さな灯がともる――そんな特別な場所。
再びその地を自分の足で歩き、夢と魔法の息吹を感じること。
それこそが、私の抱いていた大きな希望だった。
しかし、その希望の道は遠く険しかった。
「希望の砦」と呼ばれる癒しの地を旅立ったばかりの頃、
私にとって、近くの森でさえ一人で訪れるには遥かに遠い夢のように感じられた。
そんな時、私の前に一人の優しい精霊が現れたのだ。
彼女は柔らかな笑みを浮かべながら、空中に小さな光の道を描いた。
「この道を辿れば、いつか願いが叶うでしょう。ただし、焦らず、一歩ずつ進んでください。」
その声はまるで古い子守唄のように懐かしく、心に染み渡る響きだった。
修練の地へ
長い眠りから目覚めた身体に再び輝きを宿すため、
私は精霊の導きに従い、「修練の地」と呼ばれる特別な場所へ向かった。
そこは、妖精たちがそっと見守る神秘の地。
優しく光る植物が風に揺れ、どこからともなく魔法の旋律が響いていた。
修練の日々は決して容易なものではなかった。
しかし、精霊の助けを借りながら進むうちに、私の身体と心には少しずつ光が戻り始めた。
精霊は「体力の種」を育てる方法を教えてくれた。
その種は努力という名の魔力で育ち、やがて「外の世界の扉」を開く力を与えてくれるという。
修練を続ける中で、私は「希望の石」や「勇気の光」といった、
力を象徴する魔法のアイテムを手にしていった。
それらを手にするたび、自分の力を信じることの大切さを知り、
やがて、身体に宿る輝きはかつて以上に強く、温かいものへと変わっていった――。
夢と魔法の王国へ
1年と2カ月の時を経て、私はついに「夢と魔法の王国」への切符を手にした。
広大なその地では、まだ自分の足で歩き続けることは難しく、
「妖精の森のバギー」と呼ばれる特別な乗り物に頼ることになった。
それでも、夢に包まれるそのひとときは、何にも代えがたい幸福だった。
その喜びを精霊に伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んで言った。
「次に訪れる時は、少しでも自分の力で新たな夢を叶えましょう。」
その言葉は私の背中を優しく押し、新たな挑戦の意志を胸に灯した。
さらに1年の時が流れ、私はついに自分の足で王国を歩く日を迎えた。
歩みはゆっくりだったが、一歩一歩に心を込め、その地に広がる魔法を全身で感じた。
夢に描いていた瞬間が現実となり、私は自分の力でその場所を旅する喜びを知った。
日常に宿る魔法
この冒険は、私の毎日に新たな魔法をもたらした。
身体が思うように動かない日々にも少しずつ慣れ、
精霊が共に育てた「体力の種」は、やがて豊かな実を結び始めた。
少し離れた光の市場を訪れ、不思議な品々を見て歩く時間は、私の生活に小さな冒険の彩りを添えてくれた。
また、妖精の温かな隠れ家でそっと一息つく時間は、日々の疲れを忘れさせてくれる魔法のひとときだった。
夢と魔法の王国への旅路――それは、私の心に新たな希望の芽を育ててくれた冒険だった。
その地を目指す挑戦が、私の世界を優しい光で包み込み、未来への扉をそっと開いてくれたのだ。