見出し画像

✦もしも神様に選ばれた人間だったら✦第2章:新たな一歩

私はこの物語の主人公であるならば、どんな試練も乗り越える力があるはずだ。そう信じた瞬間、私の新しい旅が始まった。

それは「癒しの道」と呼ばれる、果てしなく続く試練の旅だった。

目の前に広がるのは、霧に包まれた険しい山道。足元はふらつき、手にした杖は頼りなく感じた。「どうしてこんなに険しい道なの?」と思わず立ち止まりたくなる瞬間が何度も訪れる。

けれど、そのたびに私は天上の宮殿で耳にした神様の言葉を思い出すのだ。
この試練を乗り越える力を、お前は持っている。」

初めの目標は、山道に一歩踏み出すことだった。麻痺した左足をほんの少し動かすだけで、信じられないほどの時間とエネルギーを費やした。それでも、一歩踏み出すたびに、霧の中から光が差し込むのを感じた。

その光は、私の心に「小さな勝利」という温もりを届けてくれる。それは次の一歩を踏み出すための力になった。

旅の途中、精霊たちが現れた。彼らは私に魔法の言葉を授けてくれる。
「あなたならできる」「一人じゃないから大丈夫」
その言葉の力が、私の心に灯火を灯してくれるのだ。

日々の挑戦を続ける中で気づいたことがある。私の中で、ただ歩く力だけではなく「勇気」という魔法が育ち始めているということだ。「できない」ではなく「やってみよう」という呪文が自然と口をついて出るようになった。

時には立ち止まる日もある。時には涙がこぼれる日もある。それでも、それらすべてが私の物語の一部なのだ。

そして、私は知っている。すべての涙も、一歩も、迷いも、いつか大きな輝きへとつながることを――。



いいなと思ったら応援しよう!