ミルク増量なんて、そんなたかだか数円のことで、人はそのお店を好きになる
カフェで「カフェラテ、氷少なめで」と注文したときの話。
氷を減らした分、総量が減ったカフェラテが出てくることが多いですが、お店によっては氷を減らした分だけミルクを増やすサービスをしているところがあります。
今回は、この「氷少なめ」からの「ミルク増量」という魔法について、主観と心理学を織り交ぜながら語ります。
コスパが異様に良い
ここでいうコスパは、消費者にとってのコスパではありません。
カフェ経営者が、顧客満足度アップを考えるうえでのコスパです。
ミルク増量って、お店側からすると全然、大したことじゃないんですよ。
手間が、通常量のカフェラテを作るのとほぼ変わりませんし、ミルク代と言ってもそんなの原価数円程度だと思います。
それにもかかわらず、殆どのお客さんが「あ、ちょっとトクした気分。またこのお店を利用したいな♪」って、思ってくれるんですよ。素晴らしいですね。
顧客満足度を上げる大変さ
考えてみてください。お店って基本的には、沢山のお客さんに来てほしいって思ってるんです。だから、来てくれたお客さんが満足してくれるようなサービスを提供したいと考えているわけです。
ところが、お客さんが何に満足するかは状況によって違うので、見極めが難しいんです。気を遣ったつもりが、おせっかいだと思われてしまうこともありますし、虫がふわふわと店内に入ってきただけで悪い印象を与えてしまうような、不本意なこともありますしね。
そんななかで、無難に多くの人を幸せにできるミルク増量は、良い技だと思います。
疑似的に作られる損失回避バイアス
ともすると、ミルク増量がもたらす幸福感は、ドリンクの「サイズアップ無料」や「トッピング無料」がもたらす幸福感よりも、強いのではないでしょうか。
ある心理学の研究で、人は得したい気持ちよりも損したくない気持ちのほうが大きいことが言われています。(損失回避バイアス)
ミルク増量って、文字通りミルクを増やしているだけなんです。でも、氷の要素が絡むことで、そうじゃないように錯覚させるトリックがあるんです。
私たちは、量を視覚で判断しますよね。そのため、コップの上方まで注がれたカフェラテを見て、「これは通常量のカフェラテだ」と感じるクセがついているんです。
そんなマインドセットで、氷を減らした分だけ総量の少ない(コップの半分くらいまでしか注がれていない)カフェラテを見たときに、多くの人はこう感じます。
「減ったのは氷。同じ量のカフェラテを提供されていることは頭ではわかる。わかるけれども、なんだか損しているような気分だ」と。
それが、ミルク増量によって解消される。
すると、損をしないで済んだ気分(損失回避)になり、妙に嬉しく感じるわけです。
簡単なことなのに、やっているお店が多くない
そんなこんなで、最小のコストで無難に人を喜ばせられる氷少なめ&ミルク増量のコンボですが、実践しているお店があまり多くない印象です。
色々と、お店ごとに方針があるのだと思いますが、導入したらすごく喜ばれると思います。
カフェ関係者、ご検討ください!
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