見出し画像

★武士道アイデンティティ/アイスを食べながら和魂洋才で武士道(新渡戸稲造)を読む

日本人が外国人に向けて書いた初めての日本文化論(道徳意識、思考方法)

「武士道」と聞くと「武闘」「戦」といったイメージ(先入観)が先行していたが、本書で言及される武士道はまったく違うものであった。少々難解であったが、当時の世界的ベストセラーであったことが納得できる内容。

本書が書かれた目的は2つ
「日本人は宗教なしに道徳をどう学ぶのか」という外国人の素朴な質問に答えるため。もう一つは、当時野蛮人とみなされていた日本人の誤解を解くため。従って必ずしも武士道を賞賛することが主眼ではない。また、西洋思想や学者の言葉を縦横に引用して外国人にもわかりやすく、日本人が礼儀を備えた文明人であることを証明している。
現代人が読んでも、本書の内容に日本人のアイデンティティのルーツがあると感じさせる。また、ヨーロッパ思想・学説に詳しい著者の博学ぶりに舌をまく。感覚に頼るのではなく、世界に通用する普遍の事実や知識から導き出される言及(切腹ですら、西洋の偉人の思想・行為と比較して異質なものではない等)、「視野の広さ」と「学びの大切さ」を痛感し刺激になった。つまり、グローバル・スタンダードの現代にこそ必読の一冊である。

<以下、要旨>
武士道(新渡戸稲造/山本博文訳)
🔹道徳体系としての武士道(封建制の成立~)
・武士道-戦士の掟、道徳の掟
     武士たちの生き方から自然に発達(×成文法)
🔹武士道の源泉
・仏教/神道/儒学
🔹武士道の体系
・義/勇/仁/礼/信(誠)/名誉/忠義
🔹武士の教育
・人格形成に重点
・智/仁/勇→サムライは行動の人(学問は範囲外)
・柔術と書道
・数学的概念、金を蓄える術を嫌う
🔹切腹と敵討の制度
・腹ー魂と愛情が宿るところ(解剖学的信念)
・単なる自殺の方法ではない(キリスト教、西洋の偉人の死に通ずる)
🔹女性の教育と地位
・奴隷的服従ではなく、自己犠牲にたった自発的な振る舞い
🔹武士道の影響
・過去の日本は武士の賜物ー民衆の道徳的規準、模範
🔹武士道は生きているか
・近代日本の指導者の思索・行動
 (西郷、大久保、木戸、伊藤、大隈、板垣)
・礼儀正しさ
・騎士道同様、消え去る運命ー完全に消滅していない(美徳)

できるだけ短く文章化する訓練も兼ねています。読んでいただき感謝いたします。

いいなと思ったら応援しよう!