★武士道アイデンティティ/アイスを食べながら和魂洋才で武士道(新渡戸稲造)を読む
日本人が外国人に向けて書いた初めての日本文化論(道徳意識、思考方法)
「武士道」と聞くと「武闘」「戦」といったイメージ(先入観)が先行していたが、本書で言及される武士道はまったく違うものであった。少々難解であったが、当時の世界的ベストセラーであったことが納得できる内容。
本書が書かれた目的は2つ
「日本人は宗教なしに道徳をどう学ぶのか」という外国人の素朴な質問に答えるため。もう一つは、当時野蛮人とみなされていた日本人の誤解を解くため。従って必ずしも武士道を賞賛することが主眼ではない。また、西洋思想や学者の言葉を縦横に引用して外国人にもわかりやすく、日本人が礼儀を備えた文明人であることを証明している。
現代人が読んでも、本書の内容に日本人のアイデンティティのルーツがあると感じさせる。また、ヨーロッパ思想・学説に詳しい著者の博学ぶりに舌をまく。感覚に頼るのではなく、世界に通用する普遍の事実や知識から導き出される言及(切腹ですら、西洋の偉人の思想・行為と比較して異質なものではない等)、「視野の広さ」と「学びの大切さ」を痛感し刺激になった。つまり、グローバル・スタンダードの現代にこそ必読の一冊である。
できるだけ短く文章化する訓練も兼ねています。読んでいただき感謝いたします。