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「官僚たちの冬」を読んで『官僚たちの春』を待つ

前回のK-POPネタの少々軽いノリから、新年冒頭はカタい?テーマで投稿(と言っても連続で読んでいる方はほぼいないと思うが笑)。3年ほど前、霞ヶ関の中央官庁に出入りする仕事を担当した期間があり、与党の有名な現役政治家や大学の先生方が参加する『官僚』をテーマとしたパネルディスカッション型セミナーに勉強のため参加。その際に進行を担当されていた田中秀明氏の著書に興味を抱き購入、3年ぶりに読み返す。

今や30歳未満の男性官僚7人中1人が数年内に離職意向を示し、そもそも東大生をはじめとした若者が国家公務員になりたがっていない(減少している)という実態である。つまり、いくら選挙で良い政治家を選んでも、実質的に国家の政策を支えている官僚が質量ともに落ちていくということになる。

上記のセミナー聴講と本著の購読を経て、近年の政治主導の影響も受け政治家の御用聞きとして意見調整に奔走し、ブラックな働き方を余儀なくされ専門性を高められない官僚の実情が浮かび上がる。私が仕事で接した霞ヶ関の方々の話はここでは控えるが、その一端を垣間見た印象は確かにあった。河野太郎氏が行革担当大臣をされた頃は「国家公務員の働き方改革」の報道をよく耳にし期待をしたが、最近はあまり聞くことがなくなったようにも感じる。自分のアンテナが低いだけで、着実に改革がすすんでいることを望むばかりである。「日本」という国を良くし、「国民」を幸せにするために。

<以下、要旨>
★官僚たちの冬(田中秀明)
「官僚たちの夏」で描かれた天下国家を論じる姿も今は昔
財務省出身、行政改革にも関わった筆者による官僚劣化の深層
◆日本政府の構造
・与党・官僚内閣制(官僚主導)
 官僚・族議員・業界による「鉄の三角形」
・行政改革を経て、政治主導へ(安部政権~)
◆中央省庁等改革(2001)
①内閣機能の強化⇒内閣府と内閣官房の肥大化
②中央省庁再編⇒総務省など業務の統一性に課題、世界と乖離した金融行政等
③行政機能の減量・効率化等
④公務員制度改革
◆公務員の「政治化」
・専門性の軽視、与野党の意見調整に終始
・人材レベル低下
・ブラック(長時間労働)
・政治主導(トップダウン)⇒やらされ感
・キャリア形成困難(根回し、調整、雑用)
・そもそも施策の評価・分析をしない
◆先進国の公務員制度
・政治任用、解放型(米)
・資格任用、解放型(NZ、豪、英)
・政治任用、閉鎖型(仏、独)
・資格任用、閉鎖型(日本*政治任用の性質も)
*幹部任用のあり方で主要国と日本で差
◆処方箋
・政治任用で調整業務をさせるのか/中立性を基本に専門性を高めるか
・英・豪をモデルにした非政治化
・5つの提言
①透明・競争の任命プロセス
②人事情報・インセンティブ
③事務次官役割
④政治任用活用とガイドライン
⑤大臣補佐の仕組み
・メンバーシップ型からジョブ型雇用へ
以上

新年初投稿を読んでいただき、ありがとうございました。



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