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学習心理学の教科書#2:パブロフの犬 - ベルがよだれに変わる不思議
条件反射を発見したパブロフの物語
「パブロフの犬」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、ロシアの生理学者イワン・パブロフが行った、非常に有名な実験に由来するものです。
パブロフはもともと消化の研究をしていたのですが、実験中に偶然、学習の驚くべきメカニズムを発見したのです。
それが「古典的条件づけ」と呼ばれる現象です。
この実験を理解するために、まずは「登場人物」たちを紹介しましょう。
パブロフの犬劇場:主要キャストの紹介
おいしいご飯(無条件刺激、US): 犬にとって、ご飯は特別な訓練なしに、自然によだれが出る「魔法のアイテム」です。この「魔法のアイテム」のことを、心理学の世界では「無条件刺激(Unconditioned Stimulus)」と呼びます。
よだれ(無条件反応、UR): ご飯を見た犬が、思わずよだれをたらしてしまうのは、ごく自然な反応ですよね? この自然な反応を「無条件反応(Unconditioned Response)」と呼びます。
ベルの音(条件刺激、CS): 最初、ベルの音は犬にとって、ただの「リンリン」という音に過ぎません。しかし、このベルの音を、ご飯を出す直前にいつも鳴らすようにすると、不思議なことが起こります。この最初は無力だったベルの音を「条件刺激(Conditioned Stimulus)」と呼びます。
ベルの音だけで出るよだれ(条件反応、CR): 何度もベルの音とご飯をセットにしていると、なんと、ベルの音を聞くだけで、犬がよだれを出すようになるのです! 最初はただの音だったベルが、「ご飯が来るぞ!」という合図に変わったのです。このベルの音だけで出るようになったよだれを「条件反応(Conditioned Response)」と呼びます。
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実験の流れを整理してみよう
準備運動: 犬にご飯を見せる(US)→犬はよだれを出す(UR)
魔法の呪文: ベルを鳴らす(CS)→すぐにご飯をあげる(US)
繰り返しの儀式: 2を何度も繰り返す
魔法の発動: ベルを鳴らす(CS)→犬はよだれを出す(CR)!
古典的条件づけは、私たちの日常にも潜んでいる
パブロフの犬の実験は、一見すると動物実験の話ですが、実は私たちの日常生活にも深く関わっています。
歯医者さんの音への恐怖: 歯医者さんのドリルの「キーン」という音を聞くと、体がこわばったり、嫌な気分になったりしませんか? これは、過去の痛い治療の経験(US)と、ドリルの音(CS)が結びついた結果です。
思い出のメロディー: 昔、大好きだった曲を聴くと、当時の甘酸っぱい気持ちや、楽しかった思い出が鮮やかに蘇ってくることがありますよね? これは、曲(CS)と、その曲を聴いていた時の感情や状況(US)が結びついているからです。
このように、古典的条件づけは、私たちの感情や行動に、知らず知らずのうちに影響を与えています。
この古典的条件づけのメカニズムを理解することは、より良い学習や、行動の改善に役立つヒントを与えてくれるでしょう。
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