PR Timesでランキング入りした、HeaRの資金調達リリース準備の14日間
こんにちは、HeaR株式会社の田島です。先日6/13、HeaRが一億円の資金調達を行なったとプレスリリースをさせていただきました。
おかげさまで、PR Timesの「旬速」で1位、「いま話題」で最高16位、ランキングで最高18位を獲得いたしました。皆様、SNSを通じて弊社のリリースに興味を持ってくださって、本当にありがとうございます!
今回私は、資金調達そのものにはほとんど関わっていませんでした。何となく会社内で資金調達の進捗状況は定期的に耳にしていたものの、直接プロジェクトメンバーになることはなく、少し遠目から資金調達の成功を祈っている立場……
だと思っていた矢先、5/26のこと。代表の大上さんからこんなSlackが突然届きます。
お恥ずかしながら他の会社の資金調達リリースというものがどれくらいの準備期間を持って作られているのか私は寡聞にして存じません。ついでに、私はプレスリリースをした経験はあるものの、資金調達のプレスリリースを行うのは今回が初めてです。ひとまずリリースの執筆と管理を任せたいとご連絡を受け承諾した次の日、大上さんからこう言われました。
大上さん「6月20日週に資金調達のプレスリリース出します。スケジュール引いてみてくれますか?」
私「は、はい!爆速でやります!」
大上さん「あ、ちなみに、6月16日以前でリリースする場合のスケジュールも引いてみて欲しくて」
私「6月16日以前!?(あと2営業週もないじゃん……)が、がんばります!爆裂爆速で!!」
大上さん「よろしくお願いします!」
そんなこんなで始まった、資金調達プレスリリースを何とか14営業日でスーパークオリティに仕上げるプロジェクト。今回は、今後資金調達リリースを行うことになるかもしれない全ての会社さんの参考になるように、時系列準でやったことなどを整理して、学びの貯蓄をしていきたいと思います。
5月27日(金):全体スケジュールの把握(リリースまであと14営業日)
とりあえず、やることを全部洗い出しました。
世の中一般的な資金調達プレスリリースの調査。どんなのが伸びているのか把握
何を書くべきか、何は書けないのか、会社として何が伝えたいかをまとめる
プレスリリースの素案を作る
プレスリリースの内容を引受先であるユナイテッド様にご確認いただきOKをもらう
アイキャッチを作る。どんなアイキャッチがいいのか調査して社内ですり合わせをする
可能であれば、アイキャッチ用の写真が撮りたい
各株主、引受先の方からコメントをいただく
アイキャッチをデザイナーに依頼する
プレスリリースに伴った複合施策を考えておく
うわーーーーーーーーーーー。これできるのか。そんな気持ちを押し殺してスケジュールを引きます。(※その間もちろん通常業務もある)準備は早ければ早い方がいいということで、15日リリース前提でスケジュールを組むと、こんな感じになりました。
うーーーーんタイト!Super Tight!
この時点では正直、数人のメンバーを集めて写真撮影ができるのかどうかも不透明でしたし、何一つイメージが固まっていない状態。しかし悩んでいてもヤバいと思っていても仕事は進まないのでとりあえず色々と情報収集を始めます。ここでチェックしたことは以下の通り。
資金調達プレスリリースの定石ってどんなものだろう?
アイキャッチはどんなのがいいんだろう?
写真撮影とデータ受け渡しに必要な日数ってどれくらいだろう?
今までの採用広報の経験、マーケティングの経験から、「アイキャッチはめちゃくちゃ大事である」ことを本能的に感じ取っていたので、まず着手し始めたのは写真イメージの共有とカメラマンさんへのご依頼、写真に写っていただくメンバーの確定でした。
結果的に今回は、HeaRの共同創業者・株主である柴田さん、ユナイテッド株式会社様から金子さん、HeaRから代表の大上さんの3名で写真を撮ることに決めました。ありがたいことに大上さんが関係者各位への写真撮影スケジュールを確認してくださり、この日のうちに6/1、6/2のどちらかでの写真撮影が確定しました。スケジュール通り。いいぞいいぞ!
5/30(月):資金調達プレスリリースの調査(リリースまであと13営業日)
とにかくこのあたりでは、週の後半に忙しくなることを見据えて通常業務を巻きで行い、後半への余裕を作っていました。
資金調達のプレスリリースには結構定石があり、だいたいこんな事が書いてある、ということを理解します。
色々な、「注目を集めたプレスリリース」についても調べていきましたが、注目を集めている条件はこんな感じでした。
この時のHeaRの状況で言うと、「すでに会社への注目度が高い:△(Twitterなどでは応援していただいていますが、大きなメディアの取材などはまだまだ…)」「新規性の高いサービスである:△(新規性の高いサービスはあるけど、基本は採用コンサルでそんなに新規性があるわけではない)」「調達額が大きい:△(非常に大きくご期待をいただいたものの、フェーズがさらに先のスタートアップがウン十億の調達をしているリリースもいっぱいある)」といった状況。ただそのままプレスリリースをした、だけでは注目してもらえないのでは?と震え始めます。
5/31(火):アイキャッチイメージと撮影の方針確定(リリースまであと12営業日)
先日の調査で、「ただプレスリリースをしただけでは流れてしまう」危機感を感じ始めた私。まずは目を引くアイキャッチをしっかり作り込もう!ということで、さまざまなプレスリリースの写真を拝見します。
社内で特に話題に上がったのが、カミナシさんのプレスリリースのアイキャッチです。
目を引くデザイン、どんな会社なのかわかりやすい、百点満点のプレスアイキャッチ……! 本当に素敵です。そしてヤギのキャラクターも可愛い。個人的にカミナシさんのファンなので、これからもどんどん不要な紙を食べてほしいと思います。
閑話休題、こんな感じでプレスリリースの写真・普通の集合写真問わずに色々なものを集め、撮影イメージを社内ですり合わせていきます。事前にカメラマンさんにもイメージを共有し、撮影当日に備えていきます。
※同時に、稼働可能なデザイナーさんに「こういうデザイン可能ですか!」と確認も行っていました。やっぱりちょっと凝ったクリエイティブにしたかったので…!
6/1(水):プレスリリース構成の確定(リリースまであと11営業日)
さて、何度も申し上げている通り「ただのプレスリリースではダメだ」と察した私は、いくつかのテーマで構成表を作り始めました。
①定石を踏み、合理的に自社の良さを訴える作戦
②ロジカルとエモーショナルを上手に混ぜていく作戦
①はシンプルに、先日調べた資金調達リリースの定石を踏みつつ、「採用市場の課題」や、「HeaR独自のノウハウ・得られるデータ」に着目したものを書く、という戦法です。この場合は、社内からデータというデータを掻き集め、何か競合他社の皆様にも「おおっ!」と思ってもらえるくらいのものを探すつもりでいました。色々とご支援の実績やデータなどは集めていたのでそんなに苦労しないと思いつつも、少しインパクトのある戦略・戦術の記述が必要だなと情報探しです。
②は、HeaRらしく(そしてちょっと資金調達リリースらしくなく)、エモーショナルな側面の訴求を強めていこう、という作戦でした。先日公開したHeaRのパーパスに絡め、より私たちが存在する意義や実現したい社会の話をすることにフォーカスしようと考えたのです。
「HeaRの強み」「リリースで書けること」を代表と話し合いつつ、結果的には②のエモロジ戦略で行くことに決定。理由としては以下の4つ。
HeaRは、ロジカルな部分も大切にしつつ、一緒に働く人や関わってくださるクライアント様のエモーショナルの部分も蔑ろにしない会社です。「愛」を持った行動を大切にしている私たちだからこそできる、エモーショナルなプレスリリースがあるのではないか? と考えました。
最終的に仕上がったプレスリリース本文を見ていただくとわかると思うのですが、今回のプレスリリースには「会社の存在意義」を伝える箇所がかなり幅広くとられています。
というわけで、出せる情報と出せない情報、伝えたいことなどを整理し、プレスリリースの構成を作ろうと思ったところで本日終了です。
6/2(木):写真撮影&挿入画像の制作、リリース文章素案制作(リリースまであと10営業日)
ワクワクの写真撮影当日でございます!
HeaRの創業初期に会社を手伝い、今はカメラマン・動画クリエイターとして独立している福原さんにカメラマンとしてお越しいただき、ハッピーに写真撮影をしていきます。私も同席しました。
とても素晴らしい写真がたくさん撮れました。
関係者の皆様に全力笑顔をお願いしているその頃、私は昨日確定した素案を元に、プレスリリースの文章の制作を行っていました。ついでに、アイキャッチ以外の挿入画像なども作っています。
なんだかんだプレスリリースは4000文字、それでも磨き上げて磨き上げて描いたものなので、かなり時間がかかった体感がありました。おそらく一番時間がかかったのはここです。納得いくものを仕上げるまで夜中までかかってしまったので、もう少し早く着手しておけばよかったと反省しました…。
ここまで書けたら、関係者各位に素案をお送りして、FBをいただくようお願いしました。引受先紹介、株主からのコメントなど、書いていただくものがある場合にはこのFB期間をちょっと長めに、早めにお渡ししておくのをお勧めします。
6/3(金):複合施策の周知&写真選定、デザイナーへ依頼(リリースまであと9営業日)
そして金曜日、カメラマンさんの仕事が早い!早い!素晴らしい!なんともう写真素材が届きます。
ここからはデザイナーさんと連携。使えそうなお写真をお渡しし、しっかりとすり合わせたイメージ画像をお送りしてスタートです。この時やっておいてよかったことは、「ユナイテッド様のデザインガイドラインの確認」です。
TwitterやGoogleなどの会社にもあるように、ロゴを使うときには視認性や意図をしっかり担保するために使い方のガイドラインを持っている企業が多いです。こちらを確認せずに適当な感じで使ってしまうと、ご迷惑をかけたり差し戻しが発生したり、最悪の場合デザインが大きく遅延してしまう事があるのでこれからやる人はぜひ注意してみてください。
以下、社内のメンバーがはしゃぎすぎて、一時フリー素材と化した社長。
このタイミングで、全社会で「リリースが出たらやってほしいこと」を伝えました。
社内を巻き込む施策は、全体像を把握している人から色々伝えないと周りは動きにくいと思うので、この辺りから随時オープンなチャンネルで様々な進捗状況をお伝えすることにしていました。
6/6(月):デザイナーへのFB、ユナイテッド様からのFB(リリースまであと8営業日→5営業日に変更!)
さて、あと8営業日、と思っていた月曜日。こんな連絡が届きます。
プレスリリースを3日前倒ししたいとのこと!なるほど! ここまでの準備がかなりつつがなかったので、多分いける!と二つ返事。そうなるとここからはかなりフルスロットルで行かないといけません。この時点での残タスクはこちら。
・各株主の写真とコメントをいただく
・アイキャッチの一次制作に対するフィードバック
・各文章のチェック
タスクにしてみるとそんなに多くないのですが、前倒しになったことは結構精神的負担を感じていました。と言うのも、誤字脱字などをなくして完璧な状態でリリースするため、常に精神を張り詰めさせていたのがさらにぎゅんっと張り詰め始めたからです。
この日、デザイナーさんからアイキャッチの画像が届きました。概ね方針はバッチリだったものの、細かいフォントやデザインなどの調整を少しだけご依頼しています。「明日までには!」と爆速対応してくださったデザイナーさん、本当にありがとうございます…。
時を同じくして、ユナイテッド株式会社広報担当者様からも記事に関するフィードバックが届きました。今回私は初めての資金調達リリースだったので不安で心臓がバクバクしていましたが、9割方OK。ここで大幅な変更があったらリリースが間に合わなかったかもしれないと思うと今でも冷や汗が出てきます。
6/7(火):アイキャッチ2種類を関係者に共有!(リリースまであと4営業日)
準備も大詰めです。出揃ったアイキャッチ2種類を社内外で確認しました。
正直どちらも非常に素敵だったので悩んでいましたが、登場していただいた3名満場一致でジャンプしている画像に決定! 躍動感があり、青春感もあり、みんなすごく笑顔で私もとても気に入っています。
6/8(水):各株主からのコメントをいただく(リリースまであと3営業日)
結構ここまでで準備が順調にいったので、この辺りから私の心に余裕が生まれてきます。
各株主の方からコメントをいただくのの締め切り日だったので、いただいたコメントをプレスリリース本文に入れ込み、お写真などを少し色調を揃えて加工しました。ここでプレスリリースの文面全体が完成!
先ほど、「心に余裕が生まれてきた」と言いましたがそれは嘘でした。ここから、取り憑かれたように気がついたら誤字脱字のチェックをしてプレスリリースを読み返す、というのを繰り返しています。緊張。ソワソワ。
6/9(木):プレスリリース最終確認(リリースまであと2営業日)
もうこれでほとんど大丈夫! となったので、PR Timesにプレスリリースを下書き保存して、実際の画面の確認などを行いました。画像の解像度や文章の行間などを調整、テストでメール配信もしてみてオールチェック。
最終的な文面を関係者各位にお送りし確認をいただき、「明日の午前中までにGOください!」とお伝えして本日はターンエンドです。
6/10(金):社内での拡散依頼&プレスリリース予約(リリースまであと1営業日)
月曜日の15:30リリースに備えて、予約投稿を行いました。
……が。緊張で手が動かない。予約配信、と言うのが押せない。自分のチキンっぷりに驚きます。心臓がバクバクしすぎて口から出ると思いました。そんな時、オフィスで私の向かいに座っていた燈さん(コンサルのリーダー)がニコニコしながら話しかけてきました。
燈さん「荒ぶってますね!」
私「あああああああああぁあああああああ」
燈さん「どうしたんですか」
私「緊゛張゛し゛て゛プ゛レ゛ス゛リ゛リ゛ー゛ス゛の゛予゛約゛配゛信゛ボ゛タ゛ン゛が゛押゛せ゛な゛い゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛お゛」
燈さん「(笑)(笑)(笑)じゃあ僕みててあげますから、頑張って押してください」
私「6/13! 15:30! 6131530! 6131530! あってますよね? あってますよね??? あってますよね?????!?」
燈さん「あってます。これで何かあったら僕の責任です」
そんなことはない。
と言うわけで、自転車に初めて乗る小学生みたいな感じで支えてもらいながら予約投稿が完了。はああああ、緊張した。
社内全体にも再度リリースのタイミングを周知して、今週が終了しました。ちなみに、リリース前の土日はずっとソワソワしていました。
6/13(月):ついにリリース!
そしてついに、6/13 15:30、問題なくプレスリリースは公開されたのでした。
PR Timesの機能であるヒートマップで確認すると、プレスを読んでくださった方の50%ほどがしっかり下まで目を通してくださっており、情報の部分にも25%の人が目を通していただいている事がわかりました。
冒頭でもお伝えした通り、SNSを通じて多くの方に見ていただけたのか、PR Timesのランキングにも入っています(これは弊社的には快挙でした。読んでくださった皆さん、ありがとうございました)。
かなりバタバタした中で備忘録的なメモではありましたが、今回の成功要因を挙げるとしたらやはり、
・しっかりとしたクリエイティブを作る
・会社の雰囲気に合わせてエモーショナル✖️ロジカルな「HeaRらしい」プレスリリースがかけた
この二つかなと思っています。
最後に
私がHeaRに入社したのは、2020年の1月。気がつけば2年半ほどが経過して、会社の中でもかなり歴が古くなってきました。素晴らしいメンバーたちに囲まれて仕事ができていることが今でもすごく幸せです。
まだまだプレスリリースのバタバタの余韻が残っていて、まだ私はそんなにエモエモなお気持ちを言えそうにはないのですが、今回の資金調達を完了した、という報告を受けた時、泣きそうになったのを覚えています。
私が入った時のHeaRはまだメンバーも少なく、事業もしっかり確立されていない状態でした。四苦八苦しながら、一ヶ月後どうやって生きていくかを考える会社だったのです。
そのHeaRが、腐らず「青春」を抱え続け、多くの方に興味を持ち愛していただいているおかげでここまで来れたと思っています。また改めて落ち着いた頃に、HeaRの成長を見守り参加し続けている私のお話も伝えられたらと思っています。
お読みいただきありがとうございました!
スタートアップでがんばっております。ぜひ翼をさずけてください。