見出し画像

愛を起点に考える、Candidate Experienceのあるべき姿。

 こんにちは、HeaR株式会社で人事をしているAyanaです。HeaR株式会社は、toB向けにCX(Candidate Experience)向上のコンサルティングをしています。CXについては詳しくこちらの記事で解説されているのでご覧ください。

 企業はもはや、採用候補者に「選ばれる」立場。他の多くの魅力的な企業の中から、いかにして自社を選んでもらうか。そして、自社を選んでもらったことを後悔させないようにするにはどうしたらいいか。その採用体験全体を向上することが、採用の成功、ひいてはよりよい企業文化の醸成にも繋がっていく、というのがCXの考え方です。

 私の所属するHeaR株式会社も、CX向上のための108のタッチポイントを公開するなど、CXという概念を行動レベルまで落とし込むため、分解し理論立てた解説を試みています。

 CXという概念を分解し、分解された行動指針に従って採用現場を改善していけば、候補者体験は確実に向上していきます。

 ただ、正直なことを言えば……候補者体験の向上って、”理論立てて行うもの”ではない気がするのです。「候補者に全力で”うちに来て欲しい”を伝えたい、候補者にも会社を好きになってもらいたい」という愛情から湧き出してくる行動の結果、候補者体験が向上するのが一番のあるべき姿なのではないでしょうか。

 というわけで本日は、切っても切り離せない、CXと愛のお話をします。

CXの始まりはいつも愛

愛するということは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである。愛とは信念の行為であり、わずかな信念しかもっていない人は、わずかしか愛することができない。(「愛するということ」より引用)

 HeaRの創業者であり代表、大上から社員全員にシェアされた、「愛するということ」という書籍の引用です。これを初めて読んだ時、すごく納得したのを覚えています。「愛とは信念の行為」、いい言葉ですね。要するに”このひとを愛すると決めること”そのものが愛であり、勝手に湧き出てくるものではない、と。

 採用において、担当者は候補者のペルソナ設計を行います。さらに自社の魅力を分析し、そのペルソナに刺さるような打ち出し方見せ方を検討するのが第二段階。第三段階として、そのペルソナに当てはまる人材ががいる母集団へのアプローチを開始……これらは採用の現場でごく普通に行われています。

 「なんとなく、定石だから」ペルソナをつくっていませんか?
 「なんとなく、当たり前だから」自社の魅力を第三者目線で分析していませんか?
 「なんとなく、そうしないと始まらないから」マスへのアプローチをしていませんか? 

 もし会社でCX向上の取り組みをするのであれば、候補者と出会うまでの採用設計は、全て「候補者を愛するための準備」であることを念頭に置いて欲しいと思います。

✏️ワーク

・会社として、会社の利益を最大化しよい人間関係の組織を作るために、愛すべき人はどんな人か? (=ペルソナ設計)
・我々が愛したい人は、どのような愛を会社に求めているか?そして、会社はその愛をどのように与えられるか?(=自社の魅力の分析とアプローチ)

 ただ機械的にペルソナの分析をするのではなく、もう一歩踏み込んで、信念を持って愛を与えることがCXの始まりです。

会社が社員に与えられる愛とは

 働き改革、ブラック企業への容赦ない糾弾も相まって、今や会社の求人票には「福利厚生充実!」「社会保障完備!」「こんな休暇があります!」と、”働きやすさ”をアピールする文言が立ち並んでいます。

 これらの待遇は確かに、会社が社員に与えられるものです。でもそれって「愛」なのでしょうか? 

画像1

 超有名な、マズローの五段階欲求の図です。どちらかというと、福利厚生や待遇面のアピールは、「愛」というより、「安全の欲求」「生理的欲求」に近いものですよね。

 マズローによると、より上位の欲求は下位の欲求が満たされていないと発生しないものらしいので、もちろん会社として下位の欲求を満たすことができることを説明するのは大切です。

 ただ、もう一歩踏み込んで、会社が社員に与えられる愛はなんなのか考えた時、ヒントになるのはより上位の欲求だと言えます。

所属と愛の欲求:よりよい集団に所属したい、その一員になりたい
承認の欲求:他者から認められたい、尊重されたい
自己実現の欲求:自分の能力を最大限引き出し創造的になりたい、あるいはなりたい自分に近づきたい。

 よりよいCXを設計する時、候補者に対してアピールすべきはこのような上位の欲求です。「うちの会社に来れば、あなたは上位の欲求を満たすことができる」という説明を、リスペクトとともに候補者に説明することが大切です。もちろん、説明だけではなく、実際の現場に入ってもらい、候補者自身が「これらの欲求を満たせる」と確信することも大切です。

✏️ワーク

・自分の会社はどんな集団なのか? そこに所属することで得られる喜びは何か? その喜びはどんな人が求めているか?
・他者へのリスペクト、アイディアの尊重などが当たり前の組織が作れているか? 
・会社はどのようなことを社員に期待して、それに社員が答えた時にどのような成長を遂げられるか?

愛のない採用現場はCXも低い

 再度、「愛するということ」からの引用です。

愛の能動的性質を示しているのは、与えるという要素だけではない。あらゆる形の愛に共通して、かならずいくつかの基本的な要素が見られるという事実にも、愛の能動的性質があらわれている。その要素とは、 配慮、 責任、 尊重、 知 である。(「愛するということ」より)

 愛は常に能動的であり、こちらから与えるもの。そして、あらゆる形の愛には「配慮、責任、尊重、知」が要素として存在する。採用における愛も同じことが言えます。候補者への配慮、会社としての責任、候補者の意図・そして会社の意図双方への尊重、相手を知ること・相手に知ってもらうこと。

 候補者への愛情が薄い採用現場では、候補者と会社の衝突が起こります。(
衝突というのは喧嘩ではなく、意識の小さなすれ違いや入社後の違和感など)。まさに愛の反対、「配慮がない、責任感がない、尊重されていない、知らない知ろうとしない知らせない」。

 愛がないときに起こりうる会社の行動はこんな感じです。続けているといろいろなよくないことが起こります。

候補者を集めるために求人で嘘をつく → 結果的に入社後早期離職につながる

「カジュアル面談」として来た人をがっつり面接 → 候補者に選ばれるということを忘れた対応、候補者もモヤモヤする

会社の人が採用への関心が薄い → 候補者から見て、会社の雰囲気が悪く感じられる可能性も

候補者との連絡が遅かったり、おろそか → 迅速な連絡がないと候補者は不安になる。連絡の早い他社に取られてしまうことも

愛を知り、CXを作ろう。

・会社としてどんな人を愛したいのか見極めよう
・会社はどのような愛を与えられるのか考えよう
・愛ある対応をしよう

 この三つができれば、そもそも理論立てられたCX構築なんていらないのかもしれません。ただ、会社とは個人の感情で動くわけではありません。会社に感情があるとすれば、それは経営者・創立者を起点としているものの極めて集合的です。

 そうなった時に、会社が元来持っている「愛」をどのように示すか、その手助けをするのがCXの理論やタッチポイントなのです。設計する時に必ず、そのタッチポイントに置いて会社が候補者に与えられる愛はなんなのか考えることが、会社のCXを作っていきます。

▼おまけ:ダウンロード資料/108個のCXタッチポイント

 「CXに愛が大事なのはわかった。ではどこに愛を反映させればいいのか?」とお悩みの方は、ぜひHeaRの108項目のCXタッチポイントリストを使ってみてください。

 会社名と諸情報の登録が必要ですが、かなりわかりやすく、詳細にまとまっています。


いいなと思ったら応援しよう!

Ayana Tajima
スタートアップでがんばっております。ぜひ翼をさずけてください。