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多職種連携は「脳にしみこむことば」を届けよう

医療職から共有される文章ってわかりづらくありませんか?

会話ではつたえやすかったり、つかみやすいのですが「文字」になるとアレルギーが起こっちゃう、と他職種からささやかれることがあります。

しかし、文字でとどけることができれば、仕事の効率化に大きく貢献できちゃうんです。
だって、生活期の現場は電話をかけても「担当者が席を外しています」が、お決まりの多発問題だからです。

今回noteでは医療者側が文章作成で「脳にしみこむように理解」してもらえ、効率化にきっと役立つ方法をお伝えします。

なぜ「理解できない病」が発症してしまうのか?

そもそも、どうして「理解してもらえない」が発生するのでしょうか?
これは畑のちがいが原因です。

「文章でつたえる」となると「略語」やら、医療畑の「一般知識」、介護畑の「常識」など、多職種によって畑ちがいが起こります。
これが原因で、文字でつたえると結局つたわらなくてお電話でのお問い合わせがあったりしてしまいます。

介護業界のICT化はすでに始まっています。
でも「多職種連携のICT化」については簡単に進まないでしょう。
そのことについて過去にnoteしました。

進まない理由はズバリ「文字でつたわらない」なんですよね。
だからこそ、医療者→介護士、介護士→医療者とどちらも「わかりあえる」ことばを紡げる医療者。これは現場で強いです。

文字で伝えるためには?

さて、「語彙力が無いので、報告書・メールは苦手」という方へ朗報です。
語彙力は関係ありません

では、どんな文章で伝えるのが理想なのか?
それは「脳に しみこむことば」です。
言い換えれば、文字で情景がとどく文章を意識するだけです。

どうすれば、脳にしみこんで、とどかせることができるのか?
わたしが日々、実践していることを共有します。

最初の1文で1番言いたい結論を40字以内で書こう

出版業界では40文字を越えてしまう文章は添削で短くすることを提案するそうです。
このルールはわたしにとって、一つの指標となっております。
口語ではダラダラ話してしまっても理解できてしまうのが日本人。しかし、文章になると突然、話の筋道を見失います。

特に、メールや報告書では「ちょっと言い訳したい‥‥。」感情もあいまって、まくらことばが長くなることがあります。
「〜と思ったのですが」や「先方が〜と言っておられたため」などのちょっとした前置きを使ってしまいたくなります。

ここは、わかりやすく伝えるためにキッパリと冒頭で、伝えたい内容を短く一文にまとめて書きましょう。
そうすれば、結論が見えているので読み手も文章の「幹」が見えて、「枝・葉に」なる文脈も理解しやすくなります。

だらだら長い文はあいてを惑わせる

丁寧オバケを遠ざけよう

相手に敬意を込めるのは社会人として当然のルールです。
しかし、あまりにもド丁寧になりすぎてませんか?

「丁寧=文字数増加」は世界共通のようで、英語でもフォーマルな言い回しほど、単語数が増えます。

あまりにも地雷を踏まないように、ミスを恐れて「丁寧オバケ」を招く必要はありません。
特に、何かを行う時に「〜させて頂きます。」という表現を全てに使っているケースを見かけますが、これにもルールがあります。ぜひ、下記のnoteを参考にしてみてください。

させていただくマンになってませんか?

数字でとどけよう

経過を報告する時によくみられるのが「抽象的すぎてわからない説」です。
特に、リハビリ業界では「動作に実用性があるのか?」はとっても大切な目線になります。

「安定してきました」
「良くなってきました」など、
どの人が見ても同じ感想になるか、怪しい表現があります。

そんな時は、報告書に数字でとどけることをこころがけてみましょう。
これは難しいことではありません。「時間を測る」ことをこころがけてみることです。

歩くスピードが速くなっている。服のボタンをかけるのが速くなっている。
片脚立ちのキープ時間が長くなっている。
こんな場面で数字で示すと、誰でも良くなっている、もしくは悪くなっている、が明確に伝わります。

残念なことではありますが、悪くなっていることを伝えることも、われわれの1つの仕事です。
特に、パーキンソン病などの「慢性進行性疾患」では常に患者さんは症状が悪化することを恐れながら生活をしています。
悪くなっているようには見えないのに、感情で「どんどん悪くなっている!」と感じてしまう方もおられます。

そんな時に、リビングから寝室までの移動時間を毎回測定し、3ヶ月前と「変わっていない」というだけでも安心してくださる場面が多いです。

そのため、数字で伝えることを気に留めてみてください。きっと今までよりも明確に伝わるはずです。

抽象的すぎて伝わらない

パラフレーズで置き換えよう

わかりにくい文章になる1つの原因は「専門用語、言い回し使いすぎ」問題です。とつぜん専門用語が出てきて惑わせてしまっては伝えたいことも伝わりません。

そんな時はパラフレーズ(言い換え)という「武器」を使ってみましょう。
もっと「いつも使われていることば」に言い換えるのです。

1つ例を挙げます。

「褥瘡起因により、浮腫・抹消下肢の痺れを呈し、立位姿勢で右方向へ傾き、平衡機能の低下が認められる。」

この文章。医療の人にはすぐに理解できます。
さて、医療以外の方はすぐ理解できますか?できません。

パラフレーズで「いつも使われることば」言い換えてみましょう。

「床ずれが原因となって、足にむくみ・しびれが現れ、立った時に右へバランスの崩れがあります」

全く同じ意味です。
ただ、専門家っぽく無いだけです。

かこ・げんざい・みらいを提出しよう

経過を報告する時、「げんざい」だけを切り取って提出される文章が多すぎて、つたわらないことがあります。
地図で現在地だけにピンが刺さっている状態です。

リハビリは短い期間の介入もありますが、長期間で携わることもあります。
そんな時、現在地ピンだけでは伝わりません。
地図で考えてみてください。「開始地」→「現在地」→「目的地」が地図で示されると、「いま、ここらへんを進んでいるのか〜」と気づいてもらえるのです。

ですので、時制を意識して文章を提出してみましょう。

1ヶ月前は右膝の痛みが歩き始めからでておりましたが、現在は痛みなく行えております。しかし、30mほどで痛みが出てくるので、お隣のクリーニング屋まで歩くにはまだリハビリ介入が必要です。
かこ・げんざい・みらいの文章例

このような記載になると、「痛みは良くなってきているけど、外へは実用性が低いのだな。」と気づいてもらえます。

読む速度と理解する速度が一致する文章を目指そう

最後になりますが、「わかりやすい文章」とはなんでしょうか?

編集者で「書くのがしんどい」を書かれて竹村俊助さんが提唱されていた定義は「読む速度と理解する速度が一致する文章」です。

理解が追いつかない文章だと、何度も読むはめになります。一方でわかりきったことをくどくどと書かれるとイライラしてしまう。読みながら、スーッと脳に染み込んでいくような文章が「わかりやすい文章」なのです。
「書くのがしんどい」竹村俊助著

この本はわたしが文章を書くための羅針盤になっています。
臨床で「多職種に伝わらない」で悩んでた日々に、どうやったら伝わるのか?のエッセンスを飲み込ませてくれました。

このnoteで書いたことも、この著書を1人の理学療法士が実践した結果によるものです。

さいごに

わたしたちは多職種連携で「長い文章」を書く必要はありません。
しかし、短くても伝わらなかったら、確認で電話がかかってきたりと、二度手間になりかねません。

わかりやすい文章、「脳へしみこむことば」で情報を扱うスキルはエースセラピストになれるほどの、重要な才能になります。

ぜひ、このnoteのエッセンスを取り入れて、より円滑な多職種連携であふれることを願っております。

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