本当は怖い痛み止めの話
こんにちは、しきです。
今日はちょっと、薬剤師っぽい話をしますね。
痛み止め、気軽に使いすぎてませんか?
まずは成分から説明しますね。
一般的な痛み止めの成分
一口に痛み止めと言っても、沢山の種類があります。
代表的なものはNSAIDS(非ステロイド性消炎鎮痛剤)と呼ばれる、ロキソプロフェンやイブプロフェンなど。
あとはアセトアミノフェンも有名ですね。
このあたりは処方箋無しも購入できます。
処方箋がいる鎮痛薬ももちろんあります。
一部のNSAIDSもそうですし、医療用麻薬もそうです。
今回は手に入りやすいNSAIDSとアセトアミノフェンの話をしていきますね。
痛み止めの副作用は何がある?
NSAIDSの代表的な副作用は、胃腸障害、腎障害など。
アセトアミノフェンの代表的な副作用は、肝機能障害です。
NSAIDSよりアセトアミノフェンの方が、副作用が少なく効果もマイルドと言われています。
■実際にあった3つの副作用例■
これから3つの例をあげますが、全て私が見たことのある症状です。
・ロキソプロフェン製剤併用による胃腸障害
そもそも胃腸障害ってどんな症状だと思いますか?
胃部不快感、腹痛、吐き気、食欲不振…挙げればきりがありません。
胃腸障害の最たるものは、消化管出血です。
私が働く病院でも、大体の医師がNSAIDS処方時には胃薬をつけます。セット処方としても設定してあるくらいです。
私が消化器内科病棟で働いていたとき、消化管出血で緊急入院される方がたくさんいらっしゃいました。そのなかには、ロキソプロフェン製剤の併用により消化管出血を起こされた方もいらっしゃいました。
ロキソプロフェンは錠剤もありますが、湿布剤もあります。これらを併用してしまうことで過量投与となってしまい、胃腸障害が起こるリスクが高まってしまうのです。
・ ロキソプロフェン服用による腎障害
NSAIDSは腎臓の機能が低下した方には使いにくい薬剤です。なぜなら、腎機能を悪化させることがあるからです。
もともと腎臓の機能が高くない方が鎮痛薬として処方されたロキソプロフェンを服用していたら、足がむくんだということがありました。
足のむくみは腎機能や心機能の低下を疑います。
その方は精査の結果、ロキソプロフェン錠を服用にしたことにより腎機能がさがり、いらない水がうまく出せなくなったため、心機能にも影響が出たということでした。
(腎機能が落ちると、おしっこが作られにくくなり、体の中の余分な水分が出ていきません。そして体の中の水分が過剰だと、心臓が疲れて機能が落ちてしまうんです。)
・アセトアミノフェン製剤重複による肝機能異常
アセトアミノフェンは単体でも錠剤として販売されていますが、近頃は合剤といって、他の成分と配合されているものも出てきました。
合剤を主体的に使い、アセトアミノフェン単剤を補助的に使用するという処方もあります。
ただ、一日に服用するアセトアミノフェンの量には上限があります。
上限を超えると、肝臓に負担がかかるのです。
肝臓に負担がかかると、肝炎を起こし、最悪の場合死に至ります。
アセトアミノフェンは軽い薬だから大丈夫!と飲んでしまうのは、やはり良くないことです。
おわりに
3つのこわい例を挙げさせていただきました。
そうは言っても、NSAIDSやアセトアミノフェンは古くからある優秀な薬剤です。正しく使えば怖くありません。
つまるところ、私が何を言いたいのかというと、鎮痛剤は過量投与に注意が必要ということです。
過量投与を防ぐために、
・お薬手帳を持つこと
・お薬手帳は病院や薬局ごとに分けず、一つにまとめること(これがとっても大事!!)
・効果が感じられない場合は、医師や薬剤師に相談すること
以上3点が鍵になります。
お薬手帳にご自分の服用されている薬剤をまとめ、医師や薬剤師が確認することで、気付けることは多くあります。
指示されたとおりに服用しても効果が感じられない場合は、服用量を増やすことはせず、必ず処方医や薬剤師に相談しましょう。
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