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大切な人を失った時

前回、大切な方を失ったお便りへ
少しコメントさせていただきました。

そこで、僕が失くした大切な人の話も
ここに書き記そうと思います。
あまりに前の記憶なのでもし事実と少し違う場所があれば、
天国から怒って下さい。

今までに失った大切な人や仲間は何人かいますが、
故人のために書けない人もいるので
文章に出来る話をしたいと思います。

とは言え、大学の時の仲間も今も繋がってるので
もしここに辿りついて「えっ?!そうだったの!」と
思ったらそっと心にしまっておいて…
いや、別にみんなに話しても大丈夫です。
彼の人柄が伝われば嬉しいから。

それは大学生の時の話ですが、
少し子供時代の話を先にさせて下さい。

僕は子供の頃、人と言葉を交わすのも苦手で
学校の先生にも「良い子だけど独特」と言われ
扱いにくい子供だったと思います。

自分がゲイだとわかっていたのはもう幼稚園の時からなのですが、それはあまり関係ないと思います。

そんな僕に人との交流を体験させようと、
お父さんの会社の中の厚生文化事業部がやっていた
子供の集まりに参加することになりました。

ここでは障害(身体的、精神的ともに)のある子も
同じように受け入れる活動で、大学生のお兄さんお姉さんが
大学生カウンセラーとしてボランティア参加していました。

ここで僕はグループのお姉さんに「人と話すのが嫌いなら無理はしない方がいいけど、一緒にいる事が楽しければ無理に話さなくていいんだよ。その分誰かに話す時間をあげてることになるんだから、ここにいてね」と言われ子供心に良いカルチャーショックを受けました。
また障害のある子もない子も同じように受け入れてる人達(カウンセラーも参加者も)だからか、僕がゲイであることは何事でもないかのように「そうなんだ」と言われました。

そして一緒に過ごした友達とは今もいつも会いたいし、
帰省すれば会う仲間でいられています。

その経験から僕は自分が大学カウンセラーになりたいと思い実際になれました。実は色々条件があり1学年10人以下と言う狭き門であったことも知りました。

そこから毎週末、勉強会やミーティング、そして本番のキャンプや活動をしながら2年目が訪れました。

そして新しく入ってきた後輩の1人に恋心を抱いてしまいました。勿論相手はストレートの子だし、叶う訳もないので何かを期待していたわけではないです。
ただ彼の考え方や行動、優しさに人として惚れていった一方的なものです。

大学生カウンセラーになってもこれまた僕がゲイであることは別段特別でもなく男子、女子、ゲイ、と性別があるかのようにみんな接してくれました。

そんな状況だから彼は勿論僕がゲイであることは周知の事実の中、とあるミーティングの後でたまたま2人で話す事になりついでにカラオケに行きました。
そこで僕は彼に自分の気持ちを伝えます。

それが密室だったからなのか、理由は今は全く覚えてないけど、それも自然と出てきた言葉でした。

勿論彼はokはしないけど「○○みたいな人に好かれたのならそれは嬉しいな」と言ってくれました。
それだけでも嬉しくて僕もありがとうと伝え、
2人で笑いながら思いっきり歌いました。

そんな彼が突然、物凄くかかる確率の低いと言われる
難病になってしまいました。

そしてそれは瞬く間に彼の人生を削っていき、
その後しばらくして彼は旅立ちました。

好きでした。勿論それもあるけどなんでこんなに心根の優しい彼がまだ社会に出てもないのにそんな事になったのか。
あまりの唐突な出来事に涙も出ませんでした。

でも彼と同じ学年には彼の幼馴染みが一緒にカウンセラーとしていました。彼が言葉にならない声を上げて泣き崩れる姿を見て、僕より彼が想像も越えるくらい辛いはずと思いました。
出会って1年、2年の僕が泣いてはいけない。
そう思い彼や彼の学年が活動する時に、少しでも
陰ながら支えになれるようにと考えました。

数週間がすぎた頃、
突然、彼の言葉が甦りました。

2人で会った時に話していた、
彼がグループを持ったらこんな事をしたいなと
言っていた内容を思い出してしまったのです。

その時に一人で号泣しました。
自分より過ごした時間が長い人やご家族の辛さを
考えて自分の悲しみに蓋をしていたのです。

だけど、好きである気持ちに時間は関係ないし、
きっと後輩達も僕がそれで泣いても「あなたより私達の方が辛い」なんて絶体言わない人達なのもわかってました。

それを最終的に「泣いてはダメだ」と決めつけていたのは、他でもない自分なのです。過ごした時間がどうとか、後輩の気持ちがどうとか、

気を使える先輩でいようとしたのか、状況判断の強い人間であろうとしたのか、自分で勝手に心を閉じていたのです。

それに気がついて自分で自分の心を開きました。
彼への想いを自分で受け止めて泣き続けました。
そして辛い思いをしている後輩のみんなとより仲良くなろうと。
そしてこれからも彼が言ってくれた「○○みたいな人に好かれたのならそれは嬉しい」と言われる人であり続けようと。

今もその学年の皆が大好きです。
そして出会いや僕の居場所をくれた環境も大好きです。その中で自分の心や感情に蓋をする事がいかに自分を傷つけるのかを教えてくれた彼にも。

そして僕は皆からもらった優しさで出来ています。
自分の持って産まれた何かなんて1ミリくらいしかありません。強いて言うなら少し美人に産まれたくらいですw
6.5割美人(及第点より少し上)と言っておきますww

悲しいことですが、
大切な人、家族(勿論ペットも含む)、
命はいつかは消えるものです。
だからこそ、生きている時は常に何かを出来る自分でいたいと思います。

cover photo by 椎名竜仁

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