#17 アーユルヴェーダの脈診
stand.fm『瞑想Cafe』の17回目の放送です。
今回は、前回に引き続きアーユルヴェーダについて、特にアーユルヴェーダの脈診に関してです。
『瞑想Cafe』では、瞑想に関するさまざまなこと、マインドフルネス、ヴィパッサナー瞑想、「ブッダの教え」、アーユルヴェーダなど、気軽に誰でも分かるようにお話しています。
この記事では第17回の放送内容を要約して、お伝えしたいと思います。
1.アーユルヴェーダの復習
「アーユルヴェーダ」は、インド大陸の伝統的医学です。
サンスクリット語のアーユス(Ayus/生命)とヴェーダ(Veda/科学)を組み合わせた「生命科学」という意味です。
ヴェーダとは、バラモン教とヒンドゥー教の聖典で、その中にアーユルヴェーダがあります。
アーユルヴェーダはトリー・ドーシャ理論が中心になります。
ヴェータ(V)、ピッタ(P)、カパ(K)の3つのドーシャのバランスが
からだと心の生理・心理機能を調整し、健康や病気の発症に関与していると考えられています。
アーユルヴェーダでは、この3つのドーシャのバランスをとることで、からだと心の健康が維持できると考えています。
また、ドーシャのバランスが崩れると、未消化物(アーマ)と老廃物(ラマ)が蓄積され、病気や老化の原因になるとも考えられています。
アーユルヴェーダのドーシャ別の体質等は、WEBなどで検索してみてください。
ドーシャチェックシートなどたくさんありますので、参考にしてください。
2.アーユルヴェーダの脈診のやり方
ドーシャを診断するのが脈診になります。
ドーシャの波動が脈に現れます。
脈は、心とからだに直結しています。
脈を診ることは、心とからだとの対話です。
アーユルヴェーダに興味のある方は、自分の脈を1日何回も診て、ドーシャの変化を感じてみてください。
特に、朝起きた時、食事の前後、疲れてきたなと感じたとき、イライラしたとき、どんよりしてきたときなど、心とからだの変化を感じたときに脈を診てみてください。
からだと心の状態が脈に現れていること、ドーシャが変化していることを感じてみてください。
脈診は、男性は右手、女性は左手の脈を診ます。
橈骨動脈(とうこつどうみゃく)という、手首の親指の側にある骨の出っ張り、橈骨突起のやや下の部位に、人差し指、中指、薬指を順に置きます。
人差し指:ヴァータ(V)
蛇のようなニョロニョロした動的な脈です。
中指:ピッタ(P)
カエルのようなピョンピョンした脈です。
薬指:カパ(K)
白鳥のようなゆっくりした力強い脈です。
脈の質を感じる
脈の速さ、強さ、クリアーさ、性質など、脈の感覚に気づくことです。
性質としては、
重い 軽い
熱い、冷たい
鋭い 鈍い など
脈診の手順は次のとおりです。
先ずは、深呼吸して、精神を集中させます。
そして、人差し指、中指、薬指の3本の指を同時に一緒に触れてみます。
脈が感じられるかどうか。
あまり感じないようなら、少し位置をずらしてみてください。
初めて触れた時の感覚は大切です。
分析せずに、脈の感覚を味わってください。
次の、人差し指、中指、薬指の順に、指を一本のみ置きます。
それぞれの指に、その指のドーシャを感じられるか、触れた瞬間の感覚を感じてください。
そして、少しづつ力を入れていきます。
少し押さえたときの感覚
少し力をいれて押さえたときの感覚
強く力を入れたときの感覚
強さを三段階ぐらいで、ドーシャの変化を感じてみてください。
一本づつ診たら、再度三本一緒に同時に触れて、感覚を感じてみてください。
触れた瞬間の感覚
少し押さえたときの感覚
少し力をいれて押さえたときの感覚
強く力を入れたときの感覚
慣れてきて、VPKをはっきり感じられるようになったら、一本づつで診ないで、三本指を一緒に同時に診るだけで十分です。
3.脈診によるプラクリティの診断方法
プラクリティとは、その人の生まれもった体質、ドーシャのバランスのことを言います。
プラクリティは、視診や問診を参考に、脈診で診断します。
脈診でのプラクリティの診断方法は次のとおりです。
正確なドーシャのバランスを測るのはとても大変ですので、何度も練習してみてください。
3本の指の力を均一にして、脈が消えるまで強く押さえます。
血管をつぶすイメージで、脈が完全に消えるのを確認してください。
3本の指の力を均一にして、指先に感覚を集中し、ゆっくり静かに、ほんのちょっとづつ、指を均一に少しづつ上げていく、離していきます。
最初に微妙な脈を感じたら、そこで止めます。
その最初に微妙な脈を感じた、そのヴェータ(V)、ピッタ(P)、カパ(K)の強さが、自分のプラクリティです。
何度も何度も、プラクリティの脈をとってみると、なんとなく感じるようになります。
これを診るのは、熟練度と自分の心とからだのクリアーさが必要になります。
そのため、正式なプラクリティを知りたい方は、アーユルヴェーダの専門ドクターの診断を受けてください。
4.人の脈を取る際の注意
医師以外が、脈診をして診断することは、医師以外禁止されています。
国家資格を持った、看護師や薬剤師、鍼灸師でも、脈を診て、どうだったとか、どこか悪いなどは言ってはいけません。
知人のお願いして脈をとってみる場合でも、何が乱れているとか、いろいろ説明はしないように注意してください。
なお、一番勉強になるのは、5歳以下の子供です。
子供の脈は、とてもクリアーで、ハッキリしています。
ヴェータ(V)、ピッタ(P)、カパ(K)がとてもはっきり感じられますので、子供の脈でVPKの脈がどのような感じなのかを勉強するのは、とても分かりやすいです。
お子さんがいる場合、寝ているときに脈に触れてみてください。
5.セルフ脈診のやり方
私たちが日々の中で必要なのは、今ここでの心とからだの状態に気づくことです。
日々の生活の中で、ドーシャが乱れ、心のからだのバランスが崩れていきます。
今ここ、今の体質(ビクリティ)のドーシャのバランスや乱れを把握するために、セルフ脈診を行います。
時間に余裕があるときは、先ほどの脈診の手順で行てください。
しかし、日常的には、次の手順で十分です。
三つの指を一緒に同時に触れて、脈を感じるかどうか、初めて触れた時の感覚を感じてください。
その後、少しだけ軽く力を入れて押さえて、じっと脈だけに意識を集中して、脈を感じます。
自分の脈を観察して、VPKの脈の波動を感じてください。
できれば、1分以上そのまま脈を観察し、脈の変化を感じてください。
脈に気づくことが大切で、脈を診ながら分析はしない、判断しないでください。
不思議と、最初荒く感じた脈が、観察しているうちに、静かになっていきます。それとともに、心も落ち着いてきます。
自分の脈を1日何回も診て、ドーシャの変化などを感じてみてください.
朝起きた時
食事の前後
疲れてきたなと感じたとき
イライラしたとき
どんよりしてきたとき
イライラしたとき、感情が高ぶったとき
など、この日常の中で、いろいろな時間にセルフ脈診をやってみてください。
脈には、体の状態、心の状態、それがヴェータ(V)、ピッタ(P)、カパ(K)の波動で現れています。
VPKの変化を自分の脈で感じてみてください。
そうすると、よりアーユルヴェーダの理論や知識が深まっていきます。
ただの知識ではなく、自分で体験した、体感した智慧を得てください。
セルフ脈診は、瞑想です。
セルフ脈診は、マインドフルネス瞑想です。
気づきの瞑想になります。