何者にもなれなかった三十路たちが何者かを目指すお話。
2022年。
年明け最初の書店。
久々に漫画のジャケ買いをした。
【三十路病の唄】
高校の同級生6人がシェアハウスで共同生活を送りながら、自分の夢を追いかけるという物語。
そこら辺にありそうな設定ではあるが、そこら辺にある漫画とは違ったところがある。
主人公が『三十路』。
そう『30歳』で設定されている点だ。
ジャンプやマガジンなどの少年漫画では、もちろん少年・少女が活躍し、もっと上の青年誌では成功した大人たちが活躍をしている。
そんな漫画が多い中で、この漫画はどうだろう。
最初の1ページ目から、主人公の1人が会社をやめて「プロゲーマーになりますわ」というところから始まる。
『三十路がプロゲーマーを目指す』?!
何を寝ぼけた話。
と思うだろう。もちろん、自分も思った。
当然、漫画の中でも周りからの目は冷めたものだった。
他にも『プロミュージシャンを目指すシンガーソングライター』や『売れない芸人』『料亭のオープンを目指す女性』など、それぞれの夢を持った【三十路】たちが、登場する。
きっと、この先のストーリーでは、周りからの目と戦い、そして成功へと進んでいく様子が、ここから描かれて行くと思う。
ここまで、熱く語ったのだが、まだ発売されている巻数は1巻だ。
その1巻を私はジャケ買いをした。
なぜ、ジャケ買いに至ったのだろうか。
いつもなら、きっと見逃していたであろう、何でもない1冊だったかもしれない。
ただ、この2022年のはじめ、自分は焦りを感じていた。
実家へ帰り、親からの「実家へ戻る気はないか?」というラブコール。
親戚との集まりで「結婚の予定は?」と問われ口ごもり
友人との会合で「転職したあとの成功話」を聞かされ
社会人10年目。
なにか、残したものはあるだろうか?
身になったことはあるだろうか?
帰りの新幹線で自分に問いかけ続けた。
結論「何もねぇわー」というところに着地をすした。
そんな打ちひしがれ、落胆した地元から立ち寄った際の本屋で、目に飛び込んできた一冊がこの漫画だった。
【30歳から夢を追う】
この帯が強烈に目に止まったのだ。
かつては何者かになれると意気込んでいた。
小、中、高とクラスの中心として過ごし、大学でも比較的華やかなカーストで卒業しそして社会へ放り出され。
揉まれ、揉まれて、ここまで来てしまった。
よく成功した人は【周りと比べるな】というが、そんなことは無理な話だ。
隣の芝は青く見え続けるのだ。
青く見えたが、自分の家の芝を手入れ出来ぬまま、ここまで来てしまった。
こんな境遇の人間はきっと多くいるだろう。
世界には【何者にもなれなかった】側の人間のほうが多いのだから。
スラムダンクでメガネ副キャプテンの「小暮くん」が人気な理由も、そうだ。
スタメンは決まってる。ベンチだった人間のほうが多いのだから。
何者にもなれなかった自分からすると、
「あ、この気持わかるな」がこの漫画には詰まっている。
周りから、夢をバカにされ、それをグッと堪えるシーンがあるが、帰省中にイメージしてたことと、とても似ていた。
不覚にも、読んでいて涙が出た。
なんの涙だったのか、わからないが、多分悔しかったのだと思う。
ここから先のストーリーはまだまだわからない。
この先、更に面白くなるのか、それともそこまで変わらないのか。
ただ、自分とリンクする主人公たちの葛藤がリアルに描かれているこの漫画は、何かしら、心に来るものがある。
特に【三十路】付近でウダウダしている人間には。
そんな人同年代の人にこそ、この漫画を読んでもらいたい。
自分と同じ境遇の主人公が6人も集まってる。
この漫画の主人公たちは、きっとここから、もがき、苦しみ、成功まで漕ぎつけるのだと思う。
いや、もしかしたら、成功なんてしないかもしれない。それもリアルだ。
自分は、ここでガンバっている主人公たちと照らし合わせて、2022年をなにかしらチャレンジしていく年にしたいと思う。
まだ【何者】かになれるチャンスが有ることを、この漫画で知ることが出来た。
やってみなけりゃわからない。
自分の人生だ。
1年くらいはなにか好きなことに取り組もうと思う。
くすぶってた気持ちを、ここまで上げてくれた【三十路病の唄】には感謝したい。
そして、この本を多くの【三十路】たちに読んでほしいと思う。
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