小さいクワガタの秘密
こんにちは。
先日バナナトラップを使った昆虫採取について
記事を書きましたが、山で実際に取れる昆虫って
ペットショップなどで売っているものよりも
一回りぐらい小さいものが多いんです。
特にクワガタの場合はこの差がハッキリしてて
小さいクワガタを捕まえてコクワガタやと思ったら
ヒラタクワガタの小型個体やった、なんてことも
ザラにあります。
今回はこんな小さいクワガタの大きさに関する
お話を書こうと思います。
1.虫の大きさはいつ決まる?
ザリガニは硬い殻を体に持っています。
なので大きくなる時は脱皮をします。
では同じく硬い殻をもっているクワガタは
脱皮をするでしょうか?
答えは「しない」です。
当たり前に思うかもしれませんが、
カブトムシもクワガタも大人になってからは
ぜったいに大きくならないんです。
カブトムシもクワガタも大きくなるのは
幼虫の時期だけなんです。
カブトムシとクワガタの幼虫って見分けが
つきにくいぐらいよく似ているんですが
どちらもプヨプヨしてて柔らかいですよね。
この時期にエサをしっかりと食べて大きくなって
サナギになるときに大きさが決まります。
なので、山で取ってきた小さいクワガタに
いくらいいゼリーをあげても大きくなることは
ありません。
2.なぜ小さいクワガタが出てくるのか?
カブトムシは7~8月ぐらいに卵を産み、
そのあと土の中で幼虫が成長して、
次の年の5月ぐらいにサナギになって6月ぐらいから
外を飛び回り始めます。
外の気温によってちょっと時期がずれることはありますが
基本的にこの流れは毎年同じです。
なので、カブトムシは土の中で約1年かならず
幼虫とサナギの期間があるんです。
エサの多い、少ないはあるかもしれませんが
カブトムシの幼虫の成長はすごく早いので
カブトムシはそんなに大きさに差が出ません。
ところが、クワガタになると話が変わります。
特にヒラタクワガタ、コクワガタ、オオクワガタなど
何年も成虫で生きる種類は実は4月から10月頃まで
産卵するんです。
そして、生まれた幼虫はモリモリエサを食べて
3令幼虫というサナギになる一個前の幼虫になります。
カブトムシと同じであればこのまま来年の5月ぐらいまで
幼虫のままのはずなんですが、クワガタは実は違って
早ければ卵が生まれてから3か月ぐらいで羽化してしまう
ことがあります。
クワガタの幼虫は温度を感知して、ある条件がそろうと
サナギになる「蛹化(ようか)スイッチ」があるといわれています。
例えば4月に生まれた幼虫はエサの朽木を食べて成長して
7月ぐらいに生活環境の暑さが条件を満たしてサナギになって
8月ぐらいに成虫になることもあるんです。
そうなると、当然ですが幼虫期間も短くて十分に成長していないので
小さいクワガタが出てくるんです。
本当に小さいやつはオスかメスか区別がつかないぐらい
オオアゴが小さいものもできたりします。
クワガタのお母さんは産卵するときに、幼虫が育つかどうかを
ちゃんと考えて場所を決めているようですが、
朽木なので、風で倒れて日当たりのいい場所に動いたり
逆に土に埋もれて冬場でもいい温度が保たれたりと
色んな環境の変化が起こります。
こういう変化が奇跡的に組み合わさって大きいクワガタや
小さいクワガタが出てくると思うと面白いですよね。
同じ種類のクワガタといっても、生まれてから出てくるまでの
生活は全然違う場合があるなんて、想像するとワクワクします。
屋外で昆虫採取をすると色んな個体に会うので、
お子さんにもクワガタの大きさの違いについて知ってもらって
一人でも昆虫の面白さに気づいてくれると嬉しいです。
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