【信託型ストック・オプション】 信託型の「隠れたメリット」① 貰った人の名前が公表されない
こんにちは、大門(だいもん)です。
いわゆる「信託型ストック・オプション」について、過去分はマガジンに保存しておりますが、引き続き、5回に渡ってまとめて参ります。あまり取り上げられることがない隠れたメリットとして「貰った人の名前が公表されない」点をまとめます。
信託型ストック・オプションの概要(再掲)
筆者が所属するSOICOのWebページに詳細が掲載されていますので、ここでは要点だけまとめたいと思います。
①発行時点で「誰にどれくらい付与するか」決めない=付与対象者の後決めが可能
②発行時点の権利行使価格を冷凍保存して、後で入社する方にも、付与時点の株価より低い価格(キャピタル・ゲインが確定した状態)で付与が可能
③社内はもちろん、社外の方でも税制メリットを受けることが可能
「貰った人の名前が公表されない」とは?
通常のストック・オプションの場合、上場時に「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」に貰った人の名前が掲載されるため、社内で「なんでAさんより活躍してる私の方が貰ってるストック・オプションが少ないの?」となり、軋轢を生むことで、最悪の場合、退職を助長してしまうリスクも考えられるところとなります。
一方、信託型の場合は、Iの部に「受託者の名前」だけが載る格好となるため、最終的に「誰がどれくらい貰っているか」ということが明らかにならず、結果として軋轢が生まれる潜在的なリスクを回避することが可能です。
上部にSun Asterisk社のIの部(一部抜粋)を載せておりますので、ご参照頂けますと幸いです。
(番外編)米国法人と取り扱いが違う?!日本本社で暴動勃発!
「ストック・オプションによって軋轢が生まれる」という観点の番外編ですが、以前とあるグローバル・ベンチャーで「日本本社で発行したストック・オプションと米国法人で発行したストック・オプションの取り扱いが異なる」ことが従業員にバレて問題となったことがあります。
具体的には「日本は退職したら失効してしまうが、海外は退職しても失効しない」という条件が設定されていたため、貰う側の不公平感が非常に大きいという点が問題になりました。
実務上、米国企業がストック・オプションを出す場合は、退職しても失効しないことが一般的な一方で、日本企業がストック・オプションを出す場合は、引き止め目的で退職要件を組み込むことがほとんどとなります。
こうした日米間のストック・オプションの取り扱いの差をダブル・スタンダードで運用した結果、社内での不満や退職が相次いで問題に発展したとのことです。
他にもストック・オプションにまつわる気になることがございましたら、下記よりお問い合わせください。
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