株式益利回りの解説
株式益回りと10年債利回りの関係
株式益回りと10年債利回りの関係を、図と具体的な例を用いて解説します。
・株式益回り:株主1人あたりの利益が、株価の何%を占めているかを示す指標です。
・10年債利回り:10年物の国債を購入した場合に得られる利回りを指します。
一般的に、株式は債券よりも高いリターンが期待できる一方で、価格変動のリスクも高いです。そのため、投資家は株式を購入する代わりに、より安全な債券を選ぶこともあります。
株式益回りと10年債利回りを比較することで、株式投資の魅力度を測ることができます。
リスクプレミアムとは?
株式益回りから10年債利回りを引いたものが、リスクプレミアムです。リスクプレミアムは、株式投資によって得られる超過収益と捉えることができます。
・リスクプレミアム = 株式益回り - 10年債利回り
歴史的に、米国の株式市場のリスクプレミアムは3%から5%の範囲内に収まることが多く、この範囲内であれば株式投資は割安と判断されることが多いです。
リスクプレミアムが0またはマイナスになる場合
リスクプレミアムが0またはマイナスになる場合、株式市場は過熱気味である可能性が高くなります。これは、投資家が過剰な楽観視をしていることを示唆しており、将来の株価下落のリスクが高まる可能性があります。
過去の事例
過去には、リスクプレミアムが0またはマイナスになった後に、株式市場が大きな調整局面を迎えたケースが複数あります。
・1966~1969年:10年債利回りが上昇し、リスクプレミアムが0となり、株価指数は約-30%下落。
・1999~2000年:ドットコムバブル崩壊により、リスクプレミアムが0となり、S&P500指数は約-50%下落。
・2007年:リーマン・ショックの前には、リスクプレミアムがほぼ0となり、S&P500指数は-57%下落。
・2021年:レバナス・ブームにより、リスクプレミアムが0に近づき、その後ナスダック総合指数は約-33%下落。
現在の米国市場
2024年S&P500の1株あたり利益は240.09ドル
11/22時点のS&P500指数は5,969.34ポイント
・現在の米国市場の株式益利回りは4.02%
・現在の米10年債利回りは4.24%
つまり、現在米10年債利回りは株式益利回りを上回っている。
株式益利回り4.02%-米10年債利回り4.24%=-0.22%
リスクプレミアムがマイナス(-0.22%)ということは、株式投資よりも安全な債券投資の方が魅力的に見られている可能性があります。
株式益回りの活用
株式益回りは、以下の点で役立ちます。
・株式市場の過熱感を把握:リスクプレミアムが0またはマイナスになっている場合は、株式市場が過熱気味である可能性があることを示唆します。
・割安な銘柄の発掘:株式益回りが高い銘柄は、割安である可能性があります。
・長期投資の判断材料:歴史的なリスクプレミアムの範囲と比較することで、長期的な投資判断の参考にすることができます。
まとめ
株式益回りは、株式投資を行う上で重要な指標の一つです。10年債利回りとの比較や、リスクプレミアムの分析を通じて、株式市場の状況を把握し、投資判断に役立てることができます。
ただし、株式益回りはあくまで一つの指標であり、投資の最終的な判断は、ご自身で行う必要があります。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。投資に関する決定は、ご自身の判断で行ってください。
より詳しい情報を得たい場合は、証券会社やファイナンシャルプランナーにご相談ください。