間違えがちなフランス語 2. 表現編(マガジン版)
挨拶などをはじめとした「表現」を覚えるのは外国語を覚えて実際に使う上ではとても大切なことです。けれど日本語の訳にあてはめて使おうとすると、場違いなことを言って痛い目を見る…みたいなことにもなりかねません。
たとえば "Bon appétit !" という表現は「ボナペティ」とカタカナ表記もよく見かけるくらいに浸透していますが、正しく使えているでしょうか?
「いただきます」とか「どうぞ召し上がれ」とかイメージやすい日本語訳が思い浮かびますが、"bon appétit" はこのどちらでもあってどちらでもありません。
この表現の核となる意味は「食事を楽しむ」です。つまり、複数人でこれからご飯を食べるときに「一緒に楽しみましょう」なら「いただきます」と取れるし、料理人など振舞う側が食べる人に向かって「お楽しみください」と言うなら「召し上がれ」とも取れます。
もっとカジュアルな使い方に、たとえばお昼を食べている途中の友人に向かって "Bon appétit !' と声をかけることができます。これは日本語には訳しづらいのですが、やはり「食事を楽しんでね」というニュアンスです。
このように、誰もが知っていても意外と自然に使うのが難しい表現、というのがフランス語にはたくさんあります。違和感なく使うためには訳語だけでなく、文脈を理解するのが大切ですね。
はじめまして
と言えば、もちろん "Enchanté"。しかし、日本人の方がこれを使って違和感を感じる場面があります。たとえば初対面の相手に向かって一言目にこう言うとしましょう。
Enchanté ! Je m'appelle ~.
何が変なのかわかりづらいと思います。「はじめまして!私の名前は~です」ではいけないのでしょうか?
ひどくおかしい、というほどではないのですが、開口一番 "Enchanté !" と言うのはやはり違和感があります。より自然にはこうなります。
Bonjour ! Je m'appelle ~. Enchanté.
一言目にはやはり "Bonjour" でしょう。
"Enchanté" はよく「はじめまして」と訳されますが(それで問題ないのですが)、元をたどればこれは "enchanter" (喜ばせる) という動詞の過去分詞形。なので「お会いできて嬉しいです」という意味の方がずっと近いのです。
日本語の「はじめまして」のように挨拶代わりに使うのではなく、しっかり挨拶を交わした後に一言添える方がいいでしょう。
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間違えがちなフランス語
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