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都立大オープンユニバーシティ「『星の王子さま』を翻訳しよう」秋期講座を終えて
全4回、都立大オープンユニバーシティ講座「『星の王子さま』を翻訳しよう」の秋期が昨日(12月13日水曜日)最終回を迎えました。
今後の受講を考えている方の参考にもなればと、今の時点での振り返りを書き残しておこうと思います。
まずこちら、13日の講義で最初にみなさんにお渡ししたプリントです。
講義は18:30-20:00の90分、だいたい毎回以下のような進め方です。
18:30-18:50 訳読
フランス語コンクールを終えて【2023】
コロナ禍を経て、実に四年ぶりの対面開催となったフランス語スピーチコンクール。
四年前、2019年の様子は別記事にまとめてあります。
今回も上級、中級合わせて15名の決勝出場者が揃いましたが、前回と大きく異なったのはその配分です。
2019年開催時の割合は上級9名:中級6名、今年2023年は上級7名:中級8名で、僕の記憶する限り、中級出場者数が上級を上回ったのは今回が初めてではないかと思います。
25. 井戸の水、王子さまの企て
「人間はさ」王子さまは言った。「特急列車に乗り込んでいくけど、自分たちが何を探し求めているかを見失っているんだ。それでじたばたして、堂々巡りをしている…」
彼は続けた。
「そんなことしなくていいのに…」
僕たちがたどり着いた井戸はサハラにある他の井戸とは違っていた。サハラの井戸はみんな、砂に穴を掘っただけのものだ。その井戸は、まるで村にあるものみたいだった。でも辺りに村なんてない。僕は夢を見ている
23. 五十三分の使い道
「こんにちは」王子さまは言った。
「こんにちは」商人は言った。
商人は、喉の渇きを抑えるために開発された錠剤を売っていた。一週間に一錠それを呑むだけで、もう飲む必要を感じなくなる。
「どうしてそんなものを売ってるの?」王子さまは言った。
「ものすごい時間の節約になるんだ」商人は言った。「専門家が計算したところ、一週間で五十三分も節約できる」
「それでその五十三分を何に使うの?」
「なんでもしたいこ
22. 行き交う列車、探しもの
「こんにちは」王子さまは言った。
「こんにちは」転轍手は言った。
「ここで何をしているの?」王子さまは言った。
「乗客たちを千人ずつまとめて仕分けているんだよ」転轍手は言った。「彼らを運んで行く列車を右にやったり左にやったりね」
そして特急列車が光って、雷鳴のような轟音が転轍小屋を揺らした。
「急いでいるんだね、あの人たち」王子さまは言った。「みんな何を探し求めているの?」
「運転士にもそれはわか
21. キツネの秘密
キツネが現れたのはそのときだった。
「やぁ」キツネは言った。
「こんにちは」王子さまは丁寧に返事をしたが、振り向いても何も見えなかった。
「ここだよ」りんごの木の下から声がした。
「きみは誰?」王子さまは言った。「とても素敵だね…」
「おれはキツネだ」キツネは言った。
「こっちに来て一緒に遊ぼう」王子さまは彼に提案した。「どうしようもなく寂しいんだ…」
「きみとは一緒に遊べないよ」キツネは言った。
20. 五千本のバラ
けれど王子さまは、砂や岩や雪の中をさんざん歩いたのち、ようやく道を見つけることができた。そして道はすべて、人間のいるところへと繋がっている。
「こんにちは」彼は言った。
そこはバラの咲き乱れる庭園だった。
「こんにちは」バラの花々は言った。
王子さまは彼女たちを見た。みんな、彼の花に似ていた。
「あなたたちは?」呆気にとられて、王子さまは尋ねた。
「わたしたちはバラよ」とバラは言った。
「あぁ!」
18. 砂漠に咲く花
王子さまは砂漠を横切ったものの、出会ったのは一輪の花だけだった。花びらが三枚の、なんの変哲もない花…
「こんにちは」王子さまは言った。
「こんにちは」花は言った。
「人間はどこにいますか?」
王子さまは恭しく尋ねた。
花はいつだったか、キャラバンが通るのを見たことがあった。
「人間?六、七人はいるんじゃないかしら。何年も前に見かけたことがあるわ。でもどこで会えるかはひとつも知らない。風がさらって行
17. 月色の輪っか
気の利いたことを言おうとすると、少しばかり嘘がまじってしまう。点灯夫たちの話をしたのも、あまり誠実ではなかった。僕たちの星のことを知らない人には間違ったイメージを与えてしまうかもしれない。人間が占めているのは、地球上のほんの一部の土地でしかないんだ。もし地球に住まう二十億の人々が集会のときみたいに互いに肩を寄せ合って立ったら、縦二十マイル横二十マイルの広場に軽々入ってしまう。太平洋に浮かぶどんなち
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