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歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」感想
刀剣乱舞の歌舞伎「月刀剣縁桐(つきのつるぎ えにしのきりのは)」がめちゃくちゃ面白かったので見ろ!というパッションで書いてます。
一応筆者の諸々の知識を自己紹介しておきます。
刀剣乱舞は初期リリースされて厚樫山をクリアしてプレイをやめた状態、アニメは途中まで見て、映画1作目視聴済み、その他はネットの噂をちょいちょい見かけるくらいの知識レベルです。
歌舞伎に関しては以前1度だけ観に行ったことがあるレベル、その他日本文芸は能や狂言を観たことがあるくらいです。
つまり、刀剣乱舞も歌舞伎もにわかです!よろしく!
■ 刀剣乱舞とは
一応ゲームの方の説明を引用しておきます。
名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた「刀剣男士(とうけんだんし)」。
あなたは彼らを率いる「審神者(さにわ)」となり、歴史を守る戦いに出ます。
短刀、脇差、打刀、太刀、大太刀、薙刀、槍、剣の計8種の個性豊かな刀剣男士を集めて育て、あなただけの部隊を結成!
様々な合戦場を攻略していく、刀剣育成シミュレーションゲームです。
この「歴史を守る戦い」というのが、過去の出来事を変えることにより歴史改変を目論む「歴史修正主義者」と戦うことです。なので過去の時代の出来事です。これがめちゃくちゃ歌舞伎と相性良かったんです。
「刀が人格を持って戦士となり、過去に行って敵と戦う」。本筋はこれだけですし、公演中にも丁寧に語られるので刀剣乱舞を全く知らなくても問題ありません。刀剣乱舞を知らない歌舞伎初心者がためしに行ってみるっていうノリでも全然楽しめると思います。気軽に観れる!
■ 会場と時間
場所は新橋演舞場。2023年7月4日(月)の16時30分回を観てきました。3階の左側で一番奥の席でしたが、見やすくて良かった!あ、花道はもちろん見えません。見えるのはたぶん1階だけじゃないかな。見えない席のためにモニターがあります。
時間はこんな感じ。
16:00-16:05 前説
16:05-17:50 前半
17:50-18:20 休憩
18:20-19:50 後半
とっても長いですね~!でも歌舞伎はこんなもんです。覚悟して行ってください。
■ 劇場に行く人に向けの情報
まず劇場に行く人向けの情報を置いておきます。
開場前は並んでた
開場前に並ぶ日本文芸初めて見ました。え!?って二度見した。平日夕方だったのに開場前に並んでる!人気を目の当たりにして感動しました。人が多すぎたからか、開場予定の10分前に入場開始してました。
しかし、開場後は普通に並ばず入れます。開場前より後に来た方がスムーズに入れますね。
客層はさまざま
老若男女いる感じ。でも比率的に女性客がかなり多いです。平日だからかわからないけど、小さいお子さんを連れた家族客は見なかったかな。
個人的に、普段歌舞伎を嗜まれてるであろう人たちが複数いたのが嬉しかったです。ゲームコラボの作品でも見に来るんだ~!よかった!
イヤホンガイドを借りた方がわかりやすい
本公演は歌舞伎にしては非常に聞き取りやすい演目です。けれどやっぱり聞き取りづらいところもある。というかわからない単語が結構ある。音響の意味とか、歌舞伎のこともわからない。そんな方にはイヤホンガイド様の出番です。会場価格800円、web予約価格700円とのこと。余分なセット付だと1100円でしたが、私は会場でイヤホンガイドのみレンタルしました。
上演中に解説してくれるのは専門の解説者さんです。恐らく生でやってくれてる気がする。これがね~、上演の邪魔をしない上手な解説で、良いんですよ!
また、上演中以外では少しだけ三日月宗近役の声優・鳥海浩輔さんがナビをしてくれています。
新橋演舞座では飲食可
休憩中なら座席で飲食が可能です。これ意外ですよね!日本文芸系って飲食可のところ多い気がする。でもこれは劇場によります。ちゃんと各自で公式サイト見てね。
注意事項として、”新橋演舞座で購入したもののみ座席で飲食可”です。お弁当を購入してもいいですし、お土産を購入して小腹を満たしても良い。自販機もありました。
前のめりになるな
会場内でめちゃくちゃ注意されてたんですが、これはねー、歌舞伎の花道を観ようとして前のめりになるんだと思うんですよね。2階3階の人は全く見えないから。代わりにモニターがあるのでそれを見れば良いかと思います。
え?モニターの解像度が悪すぎ?私もそう思う。どうにかしてくれないか、新橋演舞座さん。
ちなみに、私の前の座席の人たちはめちゃくちゃ前のめりになってたのでウワ~~!ってなりました。前のめりになるな!
しかし、私が以前観に行った歌舞伎ではご年配の方も含め前のめりになってる方がかなり多く、マナーもそんな良くないイメージだったのですが、この刀剣乱舞の舞台だからしっかりしてるのか、劇場が異なると変わるのか、歌舞伎はいつのまにかマナーを徹底される場になったのか、民度は上がった気がします。良いことだ。
撮影可能タイムがある
カーテンコール(!)で撮影可能となります。歌舞伎にカーテンコールがあるんだ!?ってびっくりしたけどあるんです。2.5次元に寄せてる気がする~!
逆を言えば会場内では撮影は基本禁止です。
2階に展示コーナーがある
今回使われた小道具の展示コーナーが少しだけありました。日本文芸の小道具って豪華なんだよな……って思いながら見てた。すごいです。
通常のお土産は1階、コラボグッズは2階
飲食系・お土産は1階に、能書き(パンフレット)も1階、コラボグッズは2階で申込書に欲しいものをチェックして渡すタイプっぽい。実際グッズを買ってないので詳細はわからないですが、そんな感じでした。
■ 新作歌舞伎ってすごい
あのですね!本当にすごくてですね!1個ずつ語っていきますね!!
ストーリーが面白い
詳細は省くのですが(後半でネタバレコーナー設けて書きます)、ストーリーがマジで面白い。集中して見ることができました。飽きが来なかったのもすごい。
恐らくですが、何かの歌舞伎の話をベースにしているようです。そこに刀剣男子たちが入ってくるこのマリアージュ。いや本当に素晴らしい。マジですごかった。本来の演目も見てみたくなりました。あるのかな?歌舞伎って演目がマジでわからん。
喋りがわかりやすい
祝詞やわかりづらいセリフもありますが、私が観たことがある歌舞伎と比べ、段違いに聞き取りやすいです。わかる!わかるぞ!現代語として意味がわかる! あとはちゃんと聞き取れなくても雰囲気で察せます。もしくは解説の人が解説してくれます。イヤホンガイド、マジ感謝。
舞台美術がすごい
ぜーんぶすごい!衣装もすごい、舞台小物もすごい、背景美術もほぼすべて立体物!安物じゃない!すごすぎ!!
場面転換がすごい
背景美術を変える場面転換がものすごい。本当に大掛かりに変わるんですよ。でも聞こえてくる音は足音のみ。普通の舞台の場面転換よりはちょっと長めかなとも思うけど、でも一瞬みたいなもんです。そんな束の間で、例えば襖や障子つきの屋敷背景と、日本庭園っぽい庭が一瞬で変わるの?なんでだ??どういう技術使ってるんだ??
あと感動したのが円形に舞台装置を回して歩いていく、という演出です。正直、他の舞台では見たことがあります。でもなんというか、結構現代的な演出という印象だったんです。それを?歌舞伎でやってる??え、すごい!寄せてる!我々に寄せてきてる!この感動がすごかったです。
音響がすごい
歌舞伎は基本生演奏でどれも素晴らしく、会場内に響いてる感じがたまりません。しかし、今回とにかくすごいと思ったのが女性がを生で歌ってBGMと使ってることと、恐らく一部録音を使ってること。歌舞伎の舞台って女性が出てくることはほぼ無いと思ってたのですが、この女性歌手の声がまた良くて……! 録音のことをあわせても、今の歌舞伎なりに2.5というか、現代舞台に寄せてる感じがしてとても好印象でした。
ヒーローショーみたいに観客席に役者が入ってくる
入ってくるのは歴史修正主義者のみでしたが、これがめちゃくちゃ楽しかった!声出し禁止じゃなければ「うおおお!」って声あげてました!こういう演出大好きです。
2.5舞台に寄せてると言うより、現代の様々な舞台の面白いところを集めて歌舞伎で出してみましたって感じで最高でした。最高演出すぎる。
ワイヤーアクションもある
わ、ワイヤーアクション!?と驚く方もいるでしょう、そうなんです。マジで一瞬なんですけど、ワイヤーアクションもあります。刀剣男子ではなくモブの方ですが、乱闘時にワイヤーアクションをやってくれるんです!歌舞伎で!!攻めてるなぁ~!
カーテンコールがある
上記に記載済みですがここでも一応。カーテンコールがあります。歌舞伎にカーテンコールが!
この時に刀剣男子の名前か、役者の屋号を言ってね、という案内でした。これが面白かった。基本的には刀剣乱舞ファンと思しき女性客の黄色い声。こんなの日本文芸系で聞いたことない~!痺れる~!
でもいつもの、上演中にベストタイミングで入ってくる屋号を聞けないのは残念でした。あれもあれですごい技術なんだよな……。また生で聞きたかったな。
![](https://assets.st-note.com/img/1688491569189-gDLlkDszLw.jpg?width=1200)
~~~~ネタバレするよ~~~~
■ ストーリーが本当に面白い
ここからネタバレしていくので見たくない人は気を付けてください。
審神者を観客と見立ててるのがすごい
審神者はゲームプレイヤーであり、刀剣男子たちの主人でもあり、我々でもある。これを徹底してるのが本当にすごい。一応、審神者役として別の方が声をあててくれているのですが、本当に、あの、すごいんですよ……。語彙力なくなってきた。ちゃんと書きます。
舞台の上から見えるは簾。そして奥に見えるは屋敷の庭園。これはゲーム画面を意識していると思われます。そして舞台から客席へ語り掛けてくる刀剣男子。開場前にも言われます。「あなた方様が審神者です」と。つまり、観客を審神者、舞台の一員として見てる演出なんです。これがめちゃくちゃ嬉しい!楽しい!良い演出!
ストーリー
大筋を書いちゃいます。結構省略してます。
審神者からの命で過去の時代へ遡る、三日月宗近他5名。歴史修正主義者が足利義輝を生かし、松永弾正を狙っているため彼を救うことに。現代の歴史では松永弾正は足利義輝を暗殺したと言われているが、実際には忠義に厚い男であった。松永弾正を優先して保護すべきだが、足利義輝が三日月宗近を所有していたこともあり、彼に思いがあるような仕草をする宗近。足利義輝の近くで歴史修正主義者を警戒することとなった。
歴史修正主義者とは別に、異界の者が現れる。その者たちは異形の力を得て足利義輝に近づき、悪人とすることで操ってしまう。
異形に影響された足利義輝を倒すよう松永弾正らを説得する宗近。覚悟を決めた松永弾正は足利義輝を討とうとし、最終的に足利義輝と三日月宗近が対峙することとなる。
足利義輝を討ち、無事に歴史を守った三日月宗近らは最後に任務完了を報告し、幕が下がる。
「永禄の変」をテーマにしていて、三日月宗近が主人公の話です。ですが足利義輝にも松永弾正にもフォーカスがあてられるため、かなり分かりやすい話になります。
勢力がわかりやすい
結構色々なキャラクターが出てくるにも関わらず、勢力がわかりやすいです。まとめるとこんな感じ。
松永弾正を狙って動く歴史修正主義者
足利義輝を狙って悪事を成そうとする異形の者
異形の者に操られながら悪人と化していく足利義輝
足利義輝に正気に戻ってほしい松永弾正
歴史を守ろうとする刀剣男子
これだけいるのに「こいつ誰だっけ」と混乱しません。あ、ちょっと嘘。過去の時代の人たちは結構な頻度で服が変わるため(時代経過的な演出でも服が変わってると思う)、「自分はなにがしだ」と名乗ってくれないとちょっとわからないところもありました。でも大抵雰囲気でわかる。あとは解説の人が解説してくれる。イヤホンガイド、ありがたい。
刀剣男子誕生から始まるのが良い
最初は三日月宗近という刀が出来上がるところから始まります。三条宗近が祝詞を読み上げ、刀を打ち、三日月宗近ができあがって奉納し、付喪神である三日月宗近が誕生する。これが神秘的でめちゃくちゃ格好良かったです。
見どころたくさんあるのが良い
一番花がある見どころは足利義輝に請われて刀剣男子たちが踊ったシーンでしょうか。いやーこれも圧巻!かっこいい!
他にも和製ミュージカルと言っても良いくらいの歌と踊り、足踏みさえも音として使い、迫力を出すカッコよさ。演出が派手!すごい!
足利義輝と松永弾正らの主従関係が良い
まさかここがこんな面白いとは思わなかったんですけど、かなり良い関係だった主従が異形の者によって壊されていくさまがめちゃくちゃ良かったです。でも最後に手を下すのは三日月宗近……最高……。
三日月宗近の苦悩が良い
三日月宗近は何も言いません。他の刀剣男子から「何か思うところはあるだろう」と言われ、たしかに足利義輝に所有されていたため想いがあります。けれど歴史を守るという使命を忘れてないし、足利義輝のことも大事に想っている。足利義輝のことを助けたいなんてことは一切言わない。しかし苦悩は現れてるし、だんだんと悪人となっていく足利義輝を見るのも辛そう。この、何も言わなくても苦悩してるさまがめちゃくちゃ良い。
最後の戦いが良い
足利義輝と三日月宗近の最後の戦いが最高でした。舞踊のような殺陣で相手の攻撃をかわし合い、最後は三日月宗近の刀を受け、自身の刀であることをはっきりと自覚するその過程。三日月宗近は足利義輝が落ちていくのをしっかり見届け、悲しい顔で夜空の三日月を見上げる。はあ~~~良い!!
あと足利義輝が落ちる時、何の力も入ってない状態で落ちていったのが本当にすごかったです。本当に満身創痍で滝に落ちていった様子でした。こんなプロの落ち方あるんだ……知らなかった……。
■ まとめ(ネタバレなし)
時間は長めですが、歌舞伎初心者の方でも楽しめると思いますし、刀剣乱舞ファンももちろん楽しめます。歌舞伎ファンはどうなんだろう……楽しんでくれたのか……!?
私は歌舞伎も刀剣乱舞もにわかですが、大満足でした。千秋楽配信も買おうかな。イヤホンガイドさんがいないのが不安だけど一回見たし大丈夫だろうと思いたいです。歌舞伎の配信技術、私が確かめてやるよ!もしかしたら追記するかもしれません。
とりあえず今思い出せる感想は大体書きました。面白かったんです、本当に。
興味あるのに観てない人は、全員、観ろーー!できれば現地!!迫力が段違いなのでできれば現地!!