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劇団四季「むかしむかしゾウがきた」感想

 劇団四季「むかしむかしゾウがきた」の2015年1月4日(日)15:00回を見てきました。

■ 会場

 場所は浜松町にある自由劇場。専用の演目を上演する場所ではないため、あまり大きな劇場ではありません。舞台から近いため、裸眼で十分なレベルです。
また、良い席・悪い席というのがほぼないため、5800円という一律のお値段でした。他の専用劇場で行われる演目は一番安くて3000円代があるので、値段だけ若干敷居が高いかもしれません。
「劇団四季ファミリーミュージカル」のひとつだそうですので、ご家族で観劇されている方が多かった印象です。


■ 上演時間

一幕 15:00~15:45
休憩 15:45~16:00
ニ幕 16:00~17:00

という感じでした。ファミリー向けだから子供が退屈しないようにという配慮でしょうか。上演時間もあまり長くないし、座ってても全く疲れない演目でした。


■ 舞台美術について

 会場全体は演目に沿ったのか歌舞伎をイメージしているような和風な作りでした。それが可愛い!先日歌舞伎座に行ってきましたが、それをコンパクトにまとめた印象です。
そして背景美術がもう、すごすぎ!城内の背景が本当に綺麗で!村から城へ移動する場面転換での活用がもう、綺麗。この演出を思いついた方、最高です。





~~~~ネタバレするよ~~~~






■ ストーリー

 時代は昔の日本。ある日中国大使がゾウを連れて城主に会いに来た。「あなたこそこの国の支配者になる人だから、友好関係を築きましょう」と言い、ゾウを贈る。気を良くした城主は城下の村の一家族にゾウの世話を命じる。ゾウの噂は広まり、たちまち大人気となる。
 しかし戦が始まってしまい、ゾウの食料を確保するのが困難になったこと、他国の人間にゾウが見つかるのを避けたいことを理由にゾウを処分するよう城主が命じる。世話を任されていた一家は妻と子供だけでゾウを連れ、北の地へ向かうことを決意する。夫が徴兵され時間を稼ぎ、妻と子供とゾウは出発する。
 北の地へ向かう途中、吹雪・雪崩に合ってしまうが、ゾウが身を挺して守ってくれたため一命を取り留める。北の地の村人に助けだされたが、北の地でも戦が始まってしまった。村人や助けだされた妻と子供が弓矢で射られそうになったところ、ゾウが庇って死亡する。しかしゾウはいつまでも自分たちの心の中に生きていると狂言回しが言って終了。

こんな感じです。
なんだかこれどこかで見たことあるな、という話でした。国語の教科書に載ってそうな話ですね。もしかしたら本当に載ってたのかもしれません。


■ 狂言回しがすごい

 狂言回しが本当にすごい!というか役者がすごい!狂言回しは「ひろめや」というジャーナリストの役で話を回すのですが、その「ひろめや」の役柄と本人の演技と歌声がものすごく合ってる!すごい!!動きが格好良い!!


■ 演出がすごい

 北の地へ向かうシーンがすごい。これの何がすごいかと言うと、文楽(人形芝居)で表現されているんですよ……!!!!!
最初は小さな人形で黒子が動かし、歌舞伎の時のような口調だけど聞き取りやすい声でひろめやがシーンを語ります。そして場面が少し代わり、人形浄瑠璃で使うような大きめの人形を使って再度ひろめやがシーンを語ります。そして、また場面が少し変わります。そうしたら人間サイズの人形を黒子が動かしてる!!!すごい!!人形がでかい!!と思ったら違った!!人間を黒子が動かしてる!!!!
もう、これが本当にすごかった…!感動しました!なんだこの演出!考えた人天才だろうと!
 しかもこの順番に大きくなっていく演出、恐らく北の地から見た光景ということなんでしょうね。北の地から見ると、最初は小さな形しか見れず(小さいサイズの人形)、段々と近づいて来て(人形浄瑠璃サイズ)、次はかなり近づいた(人間サイズ)。この演出も、本当、うまいなぁ!これがあるからこその歌舞伎風の舞台なんだろうな!すごいなぁ……!


■ カーテンコールについて

 感心しっぱなしで終わった演目。劇団四季独特の何度もカーテンコール(何度も何度も拍手してカーテン上げさせる)するというものに辟易していたのですが、この演目ではそれがありませんでした。
演目が終わり、エンディングが流れ、拍手し、幕が引き、しかしひろめやだけが残ってる。そして「ホールでお待ちしてまーす!」という一言を言って観客席の間を走りながらホールに向かう。そしてホールでは実際に挨拶してくれるんですよー!なんというか、すごく気さく!役者と観客が近い位置で触れ合う事が出来て、本当に素晴らしかったです!物理的な距離が近いのもあるのですが、精神的にも距離が近い感じ!






■ まとめ(ネタバレなし)

 この演目だけがそうなのかわかりませんが、演目が始まってから最後のホールでの挨拶まで観客に気軽に、肩肘張らず、普段の状態で楽しんでもらおうという意図が伝わってきてとても好印象な舞台でした。だからこその家族向け(子供向け)なのかな?
分かりやすい内容に、退屈しない演出、家族向けとして向いてる演目だと思いました。とても良かったので、見てない方は是非!おすすめですー!

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