とっとっと? うん、とっとっと
博多弁のことを書いた記事を拝見し、凄く共感したのと、同じ九州でも微妙な違いがあって面白かったので、長崎の方言について書いてみたいと思います。
プロフィールの何処にも書いていませんが、実は生まれも育ちも長崎で、一時期福岡の博多にも5年ほど住んでいました。
長崎県民にとって、福岡は上京とも言える部分があります。
厳密には福岡と言っても北九州弁と博多弁で随分違ったりして、北九州出身の母を持つ身としては、元々北九州弁の方が馴染みがあったりします。
とっとっと?
同じ長崎でもやっぱり細かいところで違います。
島原弁、五島弁など、かなり違って面白いです。
五島弁は漫画のばらかもんを読むと分かりやすいですね
ちょっと話がずれたので戻します。
タイトルにもしましたが、以前CMだったかな? 意味が全く伝わらない長崎の人同士の会話として、テレビで見て笑ったやつ。
「ここ、とっとっと?」「うん、とっとっと」
電車で席を取ってあるようなシチュエーションだったと思います。
長崎弁:とっとっと?
博多弁:とっとーと?
標準語:とってるの?
又は、取り置き(確保)してるの?
状況によって、何通りかの意味で使い分けられます。
一人称(男性)
長崎弁:おい、おり
博多弁:俺(少なくとも実際に住んでいたときの地元の友達はこれだった)
標準語:俺
「俺の」だと「おいんと・おいがと」となり、「お前の」だと「わいんと・わがと」となります。
田舎に行くと、更に訛りがきつくなり、乱暴な言葉や、キツい印象に聞こえてしまうこともよくありますね。
なおしときました
関西圏くらいまでなら伝わるけれど、それよりは東に行くと伝わらないのが、「なおす」です。
関東の勤務先で、先輩に「なおしときました」
と言うと、一瞬間があり、「ん……ああ」と歯切れの悪い返事があって、その時は何も気付かなかったのですが、きっと意味がわからなかったのでしょう。
長崎弁:なおす
標準語:しまう(片付ける)
きっと、「直(修理)しときました」と言われたと思ったのでしょうね。
とかんちいて
自分は使いませんでしたが、地のもん(先祖代々の地元民)である父が使っていた言葉で、北九州出身の母は意味が分からず、学の無い父には説明という概念がなかったので、意味不明なままでした。
使っていたシチュエーションから、推測するしかなかったのですが、
父「……やったけん、とかんちいてついていったっさぁ」
「……だったから、しがみついてついていったんだ」
かなぁ? ……未だに確信はありません。
ばってん
長崎の方言といえば、これが有名ですね。
ですが、案外使いませんでした。
長崎弁「あしたは雨んごたるばってん、傘はいらんとね」
標準語「あしたは雨みたいだけど、傘はいらないの?」
世代交代と共に、訛り具合が浅くなり、当時テレビドラマなどで地元民ではない人が長崎県民役で方言を使っているのが、違和感だらけで気持ち悪かったです。
自分なら「あしたは雨んごたるけど、傘ははいらんと?」
というような会話はしそうだと思います。
ばってんを連呼するのも見かけたことありますが、要は文脈無視して「だけど」や「でも」「しかし」を連呼してるってことですね。
元々母が北九州弁混じりの長崎弁だったもので、同級生との会話でも違和感を持たれることが多く、意識して使わなくなった方言ですが、ふと懐かしくなって頭の中で幼少期の自分が方言コテコテで語っている感じがします。
長崎の公共施設などに電話すると、主に標準語で対応してくれますが、敬語の中にも訛りが見え隠れしています。
形に表せない強弱や、音の上がり下がりなど、細かなところで癖が出るので、今もきっと、普段づかいの言葉の端々に自分でも気付かない名残りがあることでしょう。
面白いなぁ 言葉って。