【本の紹介】東京會舘とわたし(旧舘)(新舘)
最近、辻村深月さんの作品にハマっています。
たぶんきっかけは、『傲慢と善良』です。
↓こちらでレビューしています。↓
映画化も決まっているのでご存じの方も多いかと思いますが…結婚を考えたことがある人に強く刺さる物語のように感じています。
今回は、ミステリーでもなく恋愛や青春でもない、東京會舘を舞台とした連作短編小説です。
あらすじ
物語は、東京會舘の小説を書きたいという青年が取材するところから始まります。
東京會舘ができた当初から現代までの、東京會舘やそこで働くスタッフ、訪れる人々を描いています。
人々の社交の場として建設された東京會舘は、戦中は政府に、戦後にはGHQに接収されます。
さまざまな運命をたどる東京會舘ですが、そこで働く人々が失わなかった東京會舘の心とは…。
東京會舘は老朽化などの理由から建て替えが行われています。
本書ではそれを、旧舘、新館として分冊しています。
感想
最初に読んだのは20代の時でした。
その時はただただ、辻村深月さんの文章に魅了されて、東京會舘の美しさや人の移り変わりに面白さを感じていました。
30代になった今、上記のことはもちろんだが、人々の人生や背景まで想像して読むようになりました。
東京會舘で働く人の気持ち、接収されたときの葛藤などを考えてしまうんです。
東京會舘に思い入れのある利用者や、作家など…様々な人の気持ちや人生を考えながら読んでみました。
すると、一つの建物の物語なのに、人間ドラマが交差していく物語だと感じます。
辻村深月さんの作品に登場する人間は、その人のこれまでの人生やそこに至るまでの生き方を想像してしまうんです。
それが魅力だと思います。
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