文【私の大切な、私自身】
私の内なる闇の、仄暗い部分を、引きずり出して光の下に晒したい。
だけれど、それを見たいと思う人は稀だろう。
私だって他人のそういう部分を見たら、一歩引いてしまうかも知れない。
なのに、最近では小説よりも、そういった醜いような汚らしい部分を書きたい欲が、どうにも治まらないで困っている。
私の、生き物の心情を書きたいという、作品自体のコンセプトには当てはまるが。
それを小説として整理し、推敲し、なんとか読める形にした上で提供しないというのは。
どうにも不誠実な気がするのだ。
というよりも罪悪感か?
読んでいただいてるのに、こんなものを見せていいのかという、私の不安が。
暴いて晒すことに否定的なのだ。
これまで投稿した小説だって。
己の力量の無さに嘆き、動かない思考回路に悲しみ、底知れぬ不安に駆られてきた。
いや、これからもずっとそうだろう。
なのに。なのに。
ぐちゃぐちゃとおどろおどろしい感情を晒したいと。
私の中の何かが叫ぶのだ。
今まで培ってきたものを捨ててでも、書き出したいと。
奥底から何かが湧き上がってくるのだ。
私自身の感情なのに。
それが制御出来ない恐さに、さらに振り回されている。
小説を書き始めたときも、自分の知らない読みたい欲求に振り回されたが。
その比ではない不安と恐怖が。
足元から得体の知れない闇か、魔物が這い上がってくるような。
そんな気持ちで埋め尽くされるのだ。
私が、私の知らない私に、塗り潰されてしまうような。
私は自分を見失わないために。
書くことで、私はいると認識したいと書いたばかりなのに。
目には見えない、身体に巣食う何かに。
そのうちばくりと、喰われてしまいそうだ。
だから、喰われる前に。
その何かを引きずり出し、光の下に晒し。
その正体を暴いてやりたいと。
私の中の闇ではない部分も、騒ぎ立てているのかもしれない。
目隠しをさせられ、針の上を歩かされているような。
そんな気分になるときもあるけれど。
私が私でいる限り。
この得体の知れない感情共と付き合っていかないといけないのだろう。
喰われるか、暴いて晒すか。
違う選択肢を見つけ出すか。
書き続けていれば。
いつかは、分かるのだろうか。
今の私は、自分の手元さえ見えないが。
そんな私でも、私なりの何かを。
見付けられる日が来るのだろうか。
こういう問い掛けには一切応えない感情共だが。
共存していく他ないのだろうな。
私の大切な、私自身ではあるのだから。
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