文【それでも私は爪を切る】
「なぁ、爪よ。なぜにお前はのびるのだ?」
そんなことを思いながら、今日も私はお世辞にも上手いとは言えない、ド下手くそな爪切りを、だるいだるいと言いながらも、自分自身に披露している。
……なぁ。切られるとわかっていて、何故にのびるのだ。やっと切れたと、整えたと思うても、一週間後には邪魔でしようがないほどにのびている。爪よ。
人体とはそういうものだと論じられれば、はぁそうですかと答えるしかない。お前さんよ。
私はお前が邪魔で鬱陶しくて、痛みにこらえながらも、硝子ヤスリで限界