小説について[乱歩と少年探偵団]-part1-
大学の時に、日本文学を学んでおり、また、大学の文化系サークルで新聞を作っていたのですが、それが大掃除をしていたら出てきました。
そのサークルは他の大学(六つの大学)と交流があったので、より交流できると良いなと思って作成していたのですが、意外に好評だったのと、今読み返すと面白かったのでこちらにも載させていただきます。
ちなみに当時、『自由に記者が語る』というコーナーで載せていたものです。
(以下、当時の原文のままです)
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今回のテーマは、『乱歩と少年探偵団』です。
江戸川乱歩にここずっとハマっておりまして、毎回乱歩作品を読むたび、予想外の二転三転トリックに驚かされております。
乱歩作品は「人間椅子」などを読まれている方が多いのかなと思います。おそらく皆さんが持つイメージは「気持ち悪い」とか「グロい」という印象ではないかなと思います。
実際、私も「暗黒星」辺りを読んだあと、しばらく不快感が残りました笑。「芋虫」なんてもう辛かったですね笑。
でも、なぜか不思議な事に、では『もう読まない!』とはならないのですよね。また、他の作家(西村京太郎先生など)の本を読むと何か物足りないんですよね。
この間、シャーロック・ホームズの本を読んでいたのですが、ホームズはホームズで面白いのですが、やはりなぜか物足りなく、気づけば乱歩の本を手にしていました笑。
『なぜだろう?』と思って「屋根裏の散歩者」を読み返してみたのですが、小説の最後の方で、『そう来たか!』と思って興奮して読み終わり、何となく他の本にはない乱歩の魅力が分かりました。
「屋根裏の散歩者」は、殺人を犯した加害者が、絶対に自分が犯人だと分からない方法で被害者を殺し、明智探偵にばれないように、以後も加害者と分からないように装っていくのですが、その犯人の心理ーー殺人を犯してから明智探偵に暴かれるまでーーが、非常にうまく描写されていて、しかもその暴かれ方が想像がつかないものなのです。
小説上で犯人も驚くのですが、読んでいる私たちも驚くという笑、非常に読者を最初から最後まで小説に引き込んでいくんですね。
ミステリー作家の清水美紗さんの特集が前にテレビでやっていたのですが、その際に、先に述べた乱歩作品の 特徴を述べ、再現ドラマで清水美紗さんが若い頃に「乱歩のような小説を書きたい」と思ったシーンが放送されていました。
私なりに言わせていただければ、乱歩は“読者を意識した作品を非常に上手く書く作家”なんだと思います。
乱歩をそういう作家と見なして、作品を読んでいくと『少年探偵団シリーズ』は特に秀悦かなと思います。
もしくは乱歩自身も、このシリーズはかなり楽しんで書いていたと思われます。
「少年探偵団」シリーズは、明智探偵の助手の小林少年を団長として構成された小学生~高校生(主に小・中学生)の団体が活躍する、子ども向けに書かれたもので、46巻まで出ております。
彼らの対決相手は、怪人二十面相(全集7巻目より怪人四十面相と改名されている笑)で、あの手この手と駆使し、逃げるのですが、少年達が頭を使い、追い詰め捕らえていくのです。
その二十面相のトリックは意外過ぎるのですが、例えば、虫になったり、宇宙人になったり、またまた郵便ポストになったりするんですよね笑
余談ですが、小林君が変装する時もあり、小林君が本に化けた描写を見た時は笑いました。
小林君のその変装は、「怪人四十面相」に載っておりますのでご興味がある方はぜひ読んでいただきたいです笑。
(part2に続く)