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Xデザイン学校 2024年度マスターコース振り返り #6(発想とアイデア)
Xデザイン学校マスターコースも今回で折り返し。今回は「発想とアイデア」がテーマ。これまで調べてきたことなどを踏まえたリフレーミングがメインワークだと思ってちょっとドキドキしながら臨んだのだけど、割と気を張らずにビジョンの具体化への糸口がつかめた感じがして面白かった。
心を解き放つ
アイデアについて自分が思い出すのは、2009年に関わらせてもらった「横浜FUNEプロジェクト」。日比野克彦さんをアートプロデューサーに、市民らが2年かけて計150艘の段ボール船(FUNE)をつくるというものだったんだけど、当時衝撃をうけたのはこの船を設計するプロセスだった。
船の形については主に参加者として来た子どもらが模造紙にイラストを描いて決めていくのだけど、とにかくそのイラストが自由なのである。「え!こんなの海に浮かばないんじゃない?」とか「そのパーツ何のためにあるの?」みたいな、自分なら絵にする前から否定しちゃうような発想の船がいっぱいアイデアとして出てくる。でもこんなのどうやって段ボール船にするんだろう?と思ってたら、場をファシリテートしていた五十嵐さん(通称キャプテン)はじめヒビノプロジェクトの人たちがしっかり船の設計図をつくってしまうのである。
横浜FUNEプロジェクトのワークショップへは何度か手伝いで参加させてもらっていたのだけど、毎度毎度子どもの自由すぎるアイデア(それが何のためらいもなく絵に表出していく様子)を目の当たりにして、己の日常でのアイデアの凝り固まりぶりと筆の動かせなさぶりに情けなさを感じていたのを、今でも覚えている。
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映画「マトリックス」で、スプーンの曲げ方を聞くネオに子どもが「スプーンを曲げようとするのではなく、真実を見ようとしなきゃ」と説き、その後のシーンでネオが発した”There is no spoon.”という言葉には「心を解き放て」という字幕がつけられていた。
ぶっ飛ぶことを恐れる必要がないのはわかるけど、どこかで恐れている自分がいる。自分などはまだまだ(マトリックスでいう)発電所で繋がれた人間だなぁとか思っていたのだけど、今日の講義で山崎先生がジェームス・W・ヤングの著書を引用して「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と話してくれて、ちょっと心がほぐれた気がした。アイデアの対象を意識しすぎてその概念を定数にしちゃってることって多い気がするけど、定数そのものをなくしてあらゆるものを変数化しちゃえば、きっともっと自由な船が描けるのだと。
勝手に定数としているものが何かを知る
リフレーミングのワークショップでは細田高広氏の著書「コンセプトの教科書」を参考に、リフレーミングの演習を行った。この本に出てくるエレベーターの問題などはグロービスでも取り上げられるクリティカルシンキングやイシュードリブン思考の有名なネタで、つまりは物事の本質を見つけるためにアイディエーションの幅を自由にすることが、リフレーミングの効能なのだと理解している。ただ割とクリシンなどではMECEにしていくことが求められているところ、デザインにおけるリフレーミングってもっと自由であってよいのだろうと、今回のワークショップを取り組んでみて実感した。
今回のワークショップでは「コンビニの新しい形とは?」というテーマでやってみたのだけど、例えばコンビニがビジネスモデルとしているところ、これ外すとコンビニとして成り立たないみたいなところを変数化する、つまりリフレーミングするとどうなるんだろう?とか、グロービスの授業でやったら「ぶっ飛んでる」と言われそうなことを敢えてXデザイン学校の中でやってみたいなと思った。
でもそのためには定数としているものが何かを知ったほうがよい。これまで敢えて「コンビニ」という形態にこだわりたくないがあまり、コンビニとか流通のデスクリサーチを個人的にちょっとだけ避けていたところがあるのだけど、講義後、本屋へ寄ってコンビニのビジネス書を立ち読み、いくつか買い漁ってみた。この辺り次回の講義で生きるといいなーと思いつつ、まぁあまり成果は期待せず楽しみながら、一歩飛び越えたビジネスリサーチ(2周目)をやってみようと思う。
考えないヒント
あと、講義のなかで印象的だったのは、「アイデアは、考えているデスクではなく、考えていないような場、例えば風呂場とか居酒屋とかで出ることが多い」という山崎先生の言葉だった。これすごくわかるし、もっと大事にしようと思った。
仕事の合間に散歩しに行くとか、コワーキングで仕事をする時間をつくるとか。でもこれって発散だけではなく収束のプロセスでも同じことが言えるんじゃないかと思う。自分も仕事などで考えがバーっと散らばったとき、いつも通勤中40分ほど自転車を漕ぎながらラジオのパーソナリティを演じて一人で喋り、そこで自然に発する自分の言葉によって考えが整理されることが多くて。あれって多分デスクでPCと向かい合ってる時は難しくて、自転車で流れる景色を見ているからできるんだと思ってて。あえて違うことをやっていることで、「心が解き放たれ」ているのだろうな。
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山崎先生の講義はとにかく「誰かに言われたルールに縛られちゃダメ」ということを大切にしている気がしていて、その辺りが2年前のベーシックコースのアンラーンにも繋がっているのだろうと思う。浅野先生に施していただいたのが「学びの解きほぐし」なら、山崎先生に施していただいているのは「心の解きほぐし」なのかもしれない。