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はじめまして、海

いるかとくじらにおもてなししてもらう。お茶とビールがたくさん並んだ海のなかの時間。わたしは新しいあそび場所を見つけたというわけです。

ものがたりは気に入ったものを何度も読むことが多い。あたらしいものも時には知って 興味をもつけれど、つぎつぎに本棚が埋まってゆくということはすくない。小説も絵本も漫画もすき。読書量や文学の知識は多くないけど、いま好きな作品は まちがいなく好き。そんな安心なスペースがさりげなくある、部屋とこころの隅っこ。

さいきんすてきな出会いがあった。「ともだちは海のにおい」。くくりなら児童文学かな。お茶がすきないるかと、ビールがすきなくじらのキャラクターがとってもかわいい。大好きな絵本「アブアアとアブブブ」の作者、長新太さんの挿し絵もすごくかわいい。つとめ先の保育施設の本棚で見つけて知った。何年も同じ空間に居たのに、目に留まったのは最近になってから。なにかとの出会いというのは、じぶんの視界がひらけていないと得られないのかも。

読み返したくなる本があることはしあわせだし、読み返したくなる本とあたらしく出会うと、またしあわせが増える。

特にわたしはこんな、ともだちの話がすきなんだろうな。同時に思うのは、子ども時代 じょうずに友だち関係を築けなかったなぁということ。みんなきっとやさしかったのに、わたしはうまく返せなくて、今よりずっと人付き合いが苦手だった。人生の半分以上はそんな風だったから、それもまだ つい最近の話な気もする。

いるかとくじらの話を読んで思い出した「ともだちや」シリーズも、そんな時代のあとに知った大好きな絵本。キツネとオオカミも、とてもよき友だち。そういえば「ありがとうともだち」、これも海の話。世界はほんとうに広いけど、海や 月や 空や 人や、ほんとうはひとつしかないものばかりなんだよなぁ。

いろんなことを思うけど、それでも物語はわたしの逃げ道じゃなくて、やっぱり遊び場所。いつでも遊びにゆける海や森、いつでも会いにゆける住人や景色。むかし得られなかった時間やいろんなものを取り戻すことはもうできないけど、すてきな世界は未来に続いてる。きっといつでもさわれて、ずっと近くにある。

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