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七十二候屏風制作物語 四 「二曲一双太鼓張り」

母校の学科卒業生有志による作品展「すみの会」に出展するための作品制作中です。七十二候の書と龍村の帯を表装して屏風仕立てにする作品です。

表具店の奥様の登場により、私の予算内で4枚を屏風仕立てにできることになり、更に職人である叔父さんは四曲でも作るとのことでしたが、私の気持ちの中では、一度図面にした4枚を2つに分けた二曲の作品が出来上がってしまっていたので、二曲一双に仕立てることに決定しました。

今回お願いする枠の無い「太鼓張り」の仕立ては、茶室の躙口などの建具で派手さを抑えて質素に表現したい時の仕上げだそうです。
素人の私の書の屏風ですから漆塗り枠付きの立派な屏風ではなく丁度良いのではないかなと。龍村の帯はもともとは十分豪華ですが、古く脆弱になって裂けた部分もあるものを継いでアップサイクルするわけですからこれもまた良いバランスではないかと。

太鼓張りにする場合は、枠の無い分、帯を屏風の裏まで巻き込む寸法が必要になります。というわけで再び、計算し直した屏風の外形寸法を図面にし、職人さんにメール送付して骨屋さんへ発注依頼。もう後戻りはできません!

10日ほどしてお店を訪問すると骨屋さんに発注した屏風の骨組みが出来上がっていました。職人さんは、しっかり丈夫にしてもらったことをしきり言っていました。通常はこの屏風サイズだと中の骨は太さ四分のところを五分にして本数は二本から三本に増やしたとか。予算オーバーしたと言っていましたが私は聞こえないフリをしました~。

そして、何層か下張りをしてから、更に古い文字の書いてある反古(ほご)の紙で下張りします。反古の紙は現在はもう作られていないため、古いものを大切に継いで使っているそうです。引っ張っても切れない強さが特徴とのこと。

高齢の職人さん、代替わりした息子さん、その叔父にあたる職人さん、その奥様、様々な登場人物のお力添えにより、屏風はカタチになりそうです。作品完成まで物語は続きます~。

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