田舎の団地で引きこもっていた人間が早稲田大へ
子供の頃、私は自分のことをしょうもない人間だと思っていた。
小学生のときの私の将来の夢は「公務員」。周りには「大統領になる!」と言うクラスメイトがいた中で、立派な職だがあまりにも堅実すぎる夢だった。
小学生ながら、自分に期待していなかったのである。キラキラした夢を抱くことを早々に諦め、頑張って安定した職に就くことが自分にとってできる最善だろうと思っていた。
そして今、私は国内トップの私大である早稲田大学に進学し、国内外で活躍することを視野に入れた大きな夢を抱いている。
ここまで何があったのか?今回の記事ではそれを書いていきたい。
・幼少期
前述した通り、小学生の私には夢も希望もなかった。そもそも「なりたいもの」も「好きなもの」もよくわからなかった。
普通の人より不器用で何事もうまくやれず、クラスでも浮きがちな私は、ただ家に引きこもってネットサーフィンやゲームばかりする毎日を過ごした。
当然都会にあるような大手の塾には通っていない。そんなものはなかったし、そもそも母子家庭で団地暮らしだから生活に余裕があるわけでもなかった。
周りの人も受験なんて考えていなさそうだったし、宿題すらやらないことがしばしば。
しかし中学校に入る前に、地元の小さな塾に入ることになる。
(普通の公立中に進学したけど、中学になると「席次」なるものが出るからそれを恐れてのことだった。)
・中学時代
この塾に入ったことが私の人生の大きな転機となる。
都会の塾に比べたら非常に小規模だが、良い先生に当たったおかげで初めて勉強を「楽しい」と思えたのである。
それから真面目に勉強するようになり、校内で1位を取るまでになった(休み時間に爆竹が鳴るような中学校だったので、これはさして難しくはなかった)。
それからも塾のおかげでコツコツと勉強を続けられ、県内では良いところの公立高校に見事入学。
この頃から私の心境は変わっており、「県外の大学に行きたい」と思い始める。
・高校時代
治安悪めの公立中学校から県内一の公立高校に進学したため、上位の成績を取ることが難しくなってきた。
さらに、周囲の友達がみな留学経験があったりして英語ができたため、英語が話せないことに強いコンプレックスを抱くようになる。
そんな中、小6の頃から通い続けた塾に高校になってもお世話になる。高3の時には朝7時に学校に行き、放課後から19時まで勉強して、親に迎えてもらった車の中で夕飯を済ませ塾に直行するという生活を続けた。
塾から帰るのは毎日22時を過ぎたが、その生活を苦しいと感じることはなかった。
むしろ、勉強計画を立て、実行し、試験の結果からどこが足りなかったかを分析して、また計画を立てるというサイクルを通して、解ける範囲が増えていくのが楽しくて仕方なかった。
「もう一度受験期を体験できるボタン」があったら迷わず押すと思う。
そんなこんなで、高3の頃には学年で1位を取ることができるまでになった。
肝心の受験は惜しくも第一志望校に落ちてしまう。そして浪人生活が始まったが、浪人も高3の時と同じような生活だったため充実感があった。
特に、地方の予備校に通っていたため、各教科の先生と一対一で添削指導をしてもらう貴重な時間をいただけた。
そのとき、「どうして自分がこの解答を書いたのか」論理立てて先生に説明しなければならない。そしてそれに対して指導を受ける。
こんなことを毎週繰り返し、結果、知的な議論をする力の基礎が形成された。
しかし、浪人期の途中から持病を発症したこともあり、結局第一志望校に手は届かなかった。
それでも今までの積み重ねは裏切らず、いくつかの私大に合格する。
・予想できなかった「今」
今、私は早稲田大学に通っている。
中学校の頃は「とりあえず地元の外の大学に行きたい」としか考えていなかったのに、まさか日本でトップの私大に通うことになるとは思ってもいなかった。
また、小中学校の時は人前で喋ることが1番嫌だったが、今では授業や自主ゼミで発表したり、自分から発言して議論を始めたりすることを普通に行なっている。
大学名よりもむしろ、こういうことができる大人になれたことを幼少期の自分に自慢したい。
人前で堂々と論理立てて自分の考えを主張できる人間になるなんて、あの頃の私は思いもしないだろう。
さらに、高校のときに生まれた英語コンプレックスも克服しつつある。まだまだ未熟だが、海外のYouTuberの動画を楽しめたり、英語で接客したり留学生の友達と話したりするレベルにはなっている。
自分の将来に向けて、留学や海外で働くことも現実的に視野に入れている。
そんな私の今の夢は、「研究者になること」だ。研究したいテーマも決まっている。
小学生の時の夢に比べて、ずいぶん難易度が高い夢だ。安定とはかけ離れている。自分がこんなチャレンジングな人生を歩むことになるなんて、本当に思ってもみなかった。
でもようやく、私は自分らしい人生を歩めているような気がしている。
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