【エッセイ】好きなものを人に言うのが苦手
最近では“オタク”と呼ばれる、何かに熱中している人たちが増えてきた。
これはわたしの勘違いなんかじゃなく、今までの経験としてそう思う。
何年か前まではオタクは隠すものだった。
オタクと言えどそれはさまざまで、アニメが好きであったり、歌手、アイドル、YouTuberだったりと。
最近はなにかのオタクでなきゃいけないような雰囲気が少し漂ってる気がする。
好きなものがないといけない。
これは、多様性や独自性が尊重され、さまざまな個性が重要視される風潮になってきたことが一因だと考えられる。
私にも好きなものがいっぱいある。
音楽や映画や小説、それにアニメや料理、洋服、美容なんかも好き。
でもそれを人に好きだと言うことはほとんどない。
わたしは色々なものが好きだけど、多分みんなみたいな熱意はない。
音楽が好きだけど、流行りの曲は聴かないし、好きになっても新曲を追うこともあまりしない。グッズもあまり買わない。
映画も小説も、休日に少しずつ観たり読んだりする程度で、気になったら観る。小説は紙で見たいから、月に2、3冊程度ずつ。
料理も好きだけど、片付けできないしめんどくさいからたまにしか出来ない。
料理動画はすごく好きだけれど、家にあるキッチン用品だとできるものが限られてくるため凝った料理はほぼ出来ない。
美容は、1度脱毛サロンで働いたことがある。
肌の知識はついたが、めんどくさがりなわたしが最低限できるのは限られてくる。そのため、オールインワンタイプのものとやっすいパックを使うことが多い。
休日や大事な日は、高いスキンケア用品をちょびちょびと使っていく。
昔、米津玄師がすごく好きだった。アルバムは持っていたし、カラオケに行くと毎回必ず歌った。
わたしの友人は熱狂的に好きで、一緒にライブに連れていってもらったことがある。
その子は典型的なオタク気質で、グッズを集めるのが好きだったり、いつ何時も自分の好きなものや人を「推し」と呼んで話をしていた。
ライブ自体はすごく良かった。だが周りの人や友人とわたしの熱気の違い。
周りは同じグッズを何個も買っていたりと両手が塞がるほど買うような人が多かった。
わたしは物が増えるのがいやでグッズというものはあまり買わない。
その中でわたしだけ置いていかれた空気がすごく居心地が悪くなった。
わたしの中では今までで一番夢中になった歌手だったが周りのファンとの違いがライブで明白になった。
「なにがすき?趣味とかある?」
この言葉がすごく苦手だ。
オタクが受け入れられ、みんなが何かに熱中している。
それには、そのジャンルのコミュニティがあり詳しい人たちしかいない。その中でわたしみたいな、広く浅く好きなものがある人はなじみづらい環境だと思う。
わたしはそれがすごく苦手で、好きなものを聞かれたくない。
考えすぎなのだろうか。
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