漫才風 【 負けても大丈夫理論 】

「あ、寝てた。テレビでも見ようかなあ」

「ちょっと！！」

「え？！」

「今、かくれんぼしてたのに早く見つけてよ！！」

「あ！！ごめん！忘れてた」

「ずっと息を潜めてたこっちの気持ち考えたことあるの？！」

「ごめんごめん、隠れるの上手すぎて見つけられなくて寝ちゃってた」

「えへへ。カメレオン並みの擬態だったかな？なんてね」

「カメレオンってかカレイとかヒラメかな？」

「いやカメレオンでもいいでしょ！」

「最初ずっとボーッと動かない時間があったよね！？」

「精神統一のために坐禅してた」

「むちゃくちゃ電話したんだけど？！」

「かくれんぼに集中するために無音設定にしてた」

「やる気あるのか無いのかわからないモチベーション！」

「やる気で見つかるものじゃないみたいだね」

「それでも可視化して欲しい！そのやる気を！」

「ずっと真剣に計略練って考えてやってたんだけど？」

「いる？！それ？」

「いるよ、集中したいから。一蘭の味集中システムみたいな」

「え？あれって、味に集中するための仕切りなんだ？！」

「だから俺も段ボールの中に入ってた訳よ」

「段ボールに隠れてた！あれ何？！」

「かくれんぼに集中するために視界を遮ってたわけよ」

「意味わかんない！」

「第三の目で探す的な？」

「結果全然探せてなかったじゃん！」

「んー？そうかな？」

「そうだっしゃろ！」

「でも今は見つけられたけどね？」

「え？は？」

「え？だから今は見つけられたよ？」

「おいおいおい。まだかくれんぼ実施中だってか？？」

「え？終わりの合図とかあった？」

「ないよ！そんなん！見つかるまでとか何となくだよ！」

「だよね？２〜３日かけて見つけるつもりだったんだけど」

「うわーマジかよ！モチベーション低かったのこっち？！」

「まさかこんな序盤で出てくるとはなあ。三国志とか読みな？」

「おいおいおい。軍師の予行練習並みの気持ち作ってたの？」

「計略練ってたって言ったしょ？兵糧もまだあったんじゃない？」

「ないよ！もうわかったよ！負けたよ！」

「だよね。勝ったよね。じゃあ約束通り一番濃い６Bと一番薄い９Hの鉛筆は許可無く使えないからね」

「独特の勝負！まず使ったことないんだよな、知らないし」

「勝負に負けても精神的に負けてないみたいな？！」

「勝負に勝っても誰も傷つけない名軍師ですな。あっぱれ」