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高杉隼人
2016年2月25日 23:53
テーブルに家族四人が座っている。でも、姉の姿を見ることが出来るのは私だけのようだ。母が私と父の分の朝食を持ってくる。姉は自分の席にご飯や味噌汁を置かれないことに、ひどくもどかしさを感じているようだった。「確かに幽霊はお腹が空くことは無いんだけど、ここまで見ちゃったら我慢するのも辛いわね」 姉は私たちを恨めしそうに見ている。そして、私が姉の大好物だった玉子焼きに手を伸ばすと、姉は突き刺すよ
2016年2月19日 23:50
姉の告別式が終わった後、私は両親と一緒に家へ帰り、そのまま自分の部屋に入った。そして喪服を脱ぐことなく、ベッドにばたんと倒れこんだ。どっと疲労が溜まった。それだけ私は、姉に対して激しい劣等感を抱いていたということだ。「美月(みつき)」 どこからか私を呼ぶ声が微かに聞こえた。この部屋には私しかいないはず。不審に感じながら、私は辺りをぐるりと見回す。でも、誰もいない。私は疲れているのだろうと
2016年2月19日 00:02
乱反射 私は姉を超えることは不可能だと常日頃思っている。姉の香月(かつき)は私に無いものをすべて持っていた。頭の良さ、明るい性格、人望の厚さ、両親の期待、挙げるときりがないほど、彼女はすべてにおいて私を超越していた。不可能だと分かっていても、私はそんな姉をいつかは超えたいと思っていた。 でも、その霞のように淡い想いは、突然嵐と共に消え去った。私は姉を超えることが永遠に不可能になってしまった