革の鞣しとは

 GWですね。引きこもってますか?
 僕はGABANのカレー粉のキットを買っておいたのを思い出し、20種類のスパイスをブレンドして炒ってました。簡単。

 さて、自分語りシリーズもとりあえずひと段落したので革の知識でも引っ張り出してみたいと思います。

 僕自身、割と「“ナメシ”ってなんじゃらほい?」って聞かれるので主観で説明しようかなと。
 
 広辞苑曰く「動物の皮を薬品で処理し、腐敗を防ぎ、柔軟性・たわみ性・弾性などを付与したもの」

とのこと。単純に言えばそうですね。
 工場見学に来たことある方は大かた会長が説明してくれてると思います。その辺りを含めて自分なりに。

 「皮革」って漢字の読みはどちらも「かわ」です。そこの区別はナニかと。

 うちの工場に入ってくる「皮」のほとんどは、食肉として育てられ、屠殺され、解体された後の牛の皮です。

 最初はもちろん毛が付いているし皮下脂肪もスゴいので、牛の大きさにもよるけど一頭分で4〜50キロあるんじゃないかなと。
 それを弊社の場合、外注先で塩漬けされたり、毛を溶かされたり、厚みを整えたりして最終的に酸漬けにされた「ピックル」と呼ばれる状態で工場にやってきます。ピクルスとかと語源は一緒ですね。

↑この上の段階の作業までは僕は経験をほとんどしていないのでざっくり書きました。

 さて、ここまでの状態のまま放置したり、熱を加えたりすると腐ります。腐敗した状態の皮は色んな意味でマジで地獄です。書かないでおきます。

↑ここまでが皮膚の「皮」です。
↓これから鞣して「革」にします。

 弊社の鞣しは主に2種類。厳密に分けるともっと沢山あるけど割愛。
 
 まずはタンニン鞣し。木の幹から抽出した「渋」だとか「ポリフェノール」だとかを革に物理的にぶち込んで定着させる方法。某北関東のピット槽での鞣しが有名かもしれないけど、弊社にはピット槽が無いのでドラムと呼ばれる機械で薬品と革を回しながら鞣します。
 仕上がりは硬めで肌色っぽい感じ。紫外線に当てると徐々に赤黒く変色して行きます。
 最近の弊社の商品だとファッション向けのカバンやサイフなどに使われる事が多いかなと。
 経年変化を楽しめる「味のある革」になります。 
 蛇足ですがこの「渋」と鉄分をくっつけると反応を起こし、黒くなります。この性質を活かしたのが「柿渋染め」ですね。柿渋染めの布製品とか良い色合い出てますよね。
 さらに蛇足。渋柿に当たった時の舌の「渋い」感じは柿のタンニンによって舌がちょびっと鞣されてるって事らしいです。

 次、クロム鞣し。三価クロムと呼ばれる鉱物性の薬品を使用し、ph(ペーハー)、塩基度、温度などを調節して繊維に結合させます。こちらもドラムで鞣します。
↑分からない用語に関してはネットで調べて下さい。
 鞣し上がりの革は青色になり、「ウェットブルー」と呼ばれた状態となります。
 柔軟性や耐熱性、耐久性に特に優れ、革ジャンや弊社のメイン商品、野球用のグローブに使われる革になります。

 タンニン鞣しとクロム鞣し、どちらが優れているとかいう話ではなく、適材適所と好みが大きく左右します。どちらも特有の味があり、使い込むと馴染むという「革の楽しみ」を持てるかなと思います。

 っていう感じですかね。「何度で鞣すの?」とか「何時間かかるの?」みたいな質問は受け付けません。その辺は企業秘密なのでお察しを。

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