
カスタマーサクセス立上げ3年間の軌跡まとめ。
【はじめに】
皆様、お久しぶりです。
新たなnote記事を書いていきます。
前回はおかげさまでたくさんの方にこちらのnoteを見ていただきました。
前回の記事は、当社サービスリリースして約2年ほど経ったタイミングでのnoteなので、まだPMF半ばまでの記事でした。
改めてカスタマーサクセス及び組織がどう変化していったのか、前回と比べるとゆるーく書いていこうと思います。
何かと話題のカスタマーサクセス。
【カスタマーサクセスは無くなる論に対する私の考え】
— Iwakuma Yuto/岩熊勇斗 (@YutoIwakuma) March 8, 2024
前提、「カスタマーサクセス」という言葉が多層的で、よくわからない人にとってはなんか良さそうで、牧歌的ですらあるという印象ゆえに誤解も多いなと思っています。
◼︎結論…
「カスタマーをサクセスさせる」ことだけが役割でいられる人は減る」
私もこれに同感です。
カスタマーをサクセスさせるための「プロセス」にその人の価値が出てくると思います。
何が課題でそれをどう解決すべきか、そしてその後の数値変化を読み取り再度プランを練り直す。
CSのみならず基本的な仕事全般に言えることですが、全体を俯瞰し顧客視点に立ちつつ自社視点(売上など)も忘れない。
それがCSとして結果を残す方だと思います。

【仕事の本質=問題解決】
消費者や顧客が抱えている問題に対して解決策を提示する。
◾️仕事のできる人
①「他の多くの人には発見できない問題」をいかに見つけられるか
→具体化思考力
②「他の多くの人には気付けない解決策」をいかに見つけられるか
→抽象化思考力
③他の多くの人には見えない「問題」や「解決策」を「他の多くの人にも見えるように伝えられる」
→具体→抽象→具体
今回、自分自身の思考の整理が大きいのでご興味ある方はどうぞ。
①CSマネージャーとしての役割
②KPI設定とヘルススコアの設定
③PMFするまでの施策内容とPMF後の施策
④立ちはだかる課題
⑤使用ツール
⑥etc…
「仕組みの中で成果を出したことがある」「仕組みがなくても成果を出せる」「成果の出る仕組みを作ったことがある」というのは全く異なる。3つ目をやったことがある人材は労働市場に滅多にいない希少種だと思う。 https://t.co/tBunBiYACu
— 麻野耕司 / ナレッジワーク (@asanokoji) February 10, 2024
昨今はCSの話題がたくさんありましたね。
※勝手にピックアップ。
では、はじめていきます。
⓪建設/建築業界への挑戦
当社のやっているプロダクトなどは今回は割愛させていただきます。
ご興味ある方は前回の記事を参照ください。
この後の記事にも通ずるので簡潔にお伝えすると
「建設業界向け無料施工管理アプリ」です。
競合さんはLINEです。
建設/建築業界のプラットフォーマーになるのが当社のミッションです。
建設業界はあと数年で爆発的にIT化へと向かいます。
その立役者となるのが「職人」さんです。

言わずと知れた「ゼネコン・サブコン」系はすでにIT化が進んでいますが、パイが大きいのはその「下請け・職人」です。
ここのマーケットのIT化を促し、業界全体をより良い方向に持っていくのが我々のミッションでありプラットフォーマーへの道です。
前提条件は短めにして本題に入ります。
①CSマネージャーとしての役割
現在はCSマネージャーとセールスマネージャーも兼務しております。
マネージャーの役割は初期フェーズとPMF後のタイミングでは少々変わります。
初期フェーズはもちろんメンバー数が少ないので、自分自身が現場に立ってプレイヤー兼マネジメントをしていきます。
CSは現場の声が拾えないとPMFできません。その第一線でマネージャーやプロダクト責任者レベルの人が出ないと話になりません。
なのでプロダクトリリース〜1年ほどはとにかくお客様の生の声をひたすら聞き、プロダクト改善に力を割いていました。
※余談ですがこの考え方は大事。
ユーザーは自分の欲しいモノを知らない
「こんな機能がほしいです」というご意見をもらったりしますよね。でもその機能を作ってもその人が本当に使ってくれるとは限りません。サービスづくりをしていて向き合うべきは「その人の課題は何なのか」です。
現在は拡大フェーズに差し掛かっているタイミング。
私自身のマネージャーとしての役割が変化していきました。
変わったこととすると大きく分けると3点
⑴メンバーが気持ちよくCSできているか注視
⑵日々のメンバー行動や数値から読み取れることを抽出
⑶属人化せずにある程度の行動が誰でもできるように仕組み化
※ここでは基本的なマネージャーとしての概念/役割ではなく、あくまでも業務遂行における役割についてお話しします。本格的なマネージャーの型や事業計画やら戦略的な部分はこちらがわかりやすいです。
⑴メンバーが気持ちよくCSできているか注視
一見当たり前のように見えますが、意外に軽視されている方もいると思います。(特にリモート勤務だと気付きにくい)
CSは会社指針やプロダクトによってやり方が異なるので、全てに当てはまるわけではないが、一定のレベルで業務ができてくると疎かになりがちです。
なので、月単位(初めは週単位)でCSメンバー各々への課題設定と今後の方向性のすり合わせを強化し、自発的に行動でき成功パターンを見つけ出せるように促しています。
自分自身で成功パターンを見つけ出せると、仕事が楽しくなってきますし、視座が上がってきます。
マネージャーはつねに「ご機嫌」でなければいけない。メンバー・スタッフは上司を見て仕事をするので、ご機嫌で前向きな人がマネージャーである方が、チームの成績が明らかに良い。だからマネージャーが自分で自分をマネジメントしてご機嫌でいることは、もはや役割である。
— 荻野 嶺(REI OGINO) (@ray_9194) February 4, 2024
⑵日々のメンバー行動や数値から読み取れることを抽出
数値は嘘をつきません。
この後の章でお話ししますが、KPIを設けその数値変化を読み取る作業がマネージャーには必須です。
過去と数値比較した際に、どんな施策・行動を取ったから今この数字になっているよねといった事です。
俗に言うPDCAです。
PDを促してやる人は多いのですが、案外Cができない人が多い印象です。
つまり、仮説を立てて行動した結果「何が得られたんだっけ?」を見に行かない。
行動をする前に「どんな結果を得るために何をすべきか」と常に自問自答する。
マネージャーは常に思考の連続です。
背景を自分自身が理解していないとメンバーは動きません。
⑶属人化せずにある程度の行動が誰でもできるように仕組み化
こちらは絶賛取り組み中です。
プロダクト初期フェーズの属人化はあって当然です。
CSのスケールや再現性は確かに大事なのですが、一生懸命に型化した業務って半年後には通用しないなんてことはザラ。特にARR10億に満たない頃はプロダクトも変化が激しいのでCSの型も変わる。一定の属人化は仕方ない前提で支援の質に全振りし、圧倒的な成功事例を作った方が良いと思います。
— Iwakuma Yuto/岩熊勇斗 (@YutoIwakuma) January 31, 2024
ある程度のPMFを迎えたあとは、導入企業数やメンバーも増えていくので、型化が必要になります。
KPIはもちろんのこと、使用ツール選定であったり日々のお客様への行動及び施策、そして業務優先順位など。

②KPI設定とヘルススコアの設定
おそらく、CSマネージャーが一番頭を抱える問題がこちらになるかと思います。
正直にお伝えするとまだ解はないです。
※解が完璧にわかるということもないですが。
ですが、過去のデータから予測を立ててそれらしきものを指標としておくことはできます。
結論からお伝えすると、我々のCSメンバーへのKPIはシンプルに「接触率」のみにしてます。
導入後、使い続けているお客様の接触網羅率を100%にする。
※月間の目標ではありません。
シンプルにこれだけです。
いやいや導入社数多いしメンバー数も足りないし、そんな一社一社全部見れないよ。と聞こえてきますが仕組み化で結構できるもんです。
※仕組みについては次章。
そもそもなぜKPIを接触率100%をKPIにしたのか。
ここが大事です。
結論、チャーン抑止のためです。
我々のプロダクトの都合上、無料なので目に見えた形でのチャーンはなく、検知が他のプロダクトに比べ難しいというのがあります。
もちろん接触率100%にしたところでチャーンが0になるということではないが、接触率を高めることによってお客様の生の声がプロダクト及びCS施策への改善へとつながってきます。
且つ、急な離脱(他社乗り換え)を防ぐという背景もあり。
ある程度の売上げや、仕組み化ができたタイミングでKPIは変更すればいいと思います。
また、ヘルススコアについては先に完成させたところで、あくまで自社起点での数値の取り扱いに過ぎず、結局無意味に終わることもあります。
よって、ヘルススコアは解約になった会社の傾向をある程度分析し、あたりをつけるくらいの感覚で見るのがいいと思います。
PMFからしばらくの時期は顧客起点での活動をお勧めします。
データなどが集まってきたタイミングでヘルススコアも同時に修正していく。
顧客起点
顧客が実際に商品を購入した際の評価や感じ取っていることなどから、実際に起きている現実や事実に基づいて、自社のサービスや商品に反映させ事業に活かすこと
自社にとって都合のいい目標などに焦点を当ててしまうと、うまくいっているように見えてしまうこともありますし、無理が出て余計にチャーンに繋がったりします。
また、接触率100%は「優先順位」と「施策内容」が肝です。
こちらについては次章でお話しします。
③PMFするまでの施策内容とPMF後の施策
PMFする前の施策については、くどいですが過去の記事をご覧いただければと思います。
現状の施策についてお話しします。
先ほどの章で
接触率100%は「優先順位」と「施策内容」が肝です。
とお伝えさせていただきましたが、「優先順位」からお話しします。
各社様色々なツールを駆使して顧客管理をされていると思います。
ヘルススコアやプロダクト利用率など可視化し、スムーズなCS業務を行ってますよね。
※当社の使用ツールは次章でご説明。
我々も自社開発したもので管理をしていますが、もちろんそのツールも完成系ではなく、顧客の見たい(取りたい)指標なども日々変化しツール開発も大変です。
なので、スプレッドシートによる全社可視化をしていて、CSメンバー全員で日々の利用状況などを共有しアタックしています。
全容はお見せできないのですが、一部お見せしたいと思います。
まず、優先順位を決める上で大切なのが「軸」と「期間」。
「軸」というのはお客様がアプリを利用する人数(ID数)のことです。
1社あたり何名がアプリを利用するのか。
なぜ指標を「軸(ID数)」にしているのかは、我々無料アプリにとってユーザー数がプラットフォームの鍵になるからです。
なので、チャーンすることで自社にとってダメージになりうる軸を決めます。
この軸を「A/B/C/D」とランク分けしていて
A:21〜
B:11~20
C:6~10
D:1~5
※ID数
導入期間を
a:0~3
b:4~7
c:8~11
d:12~
※〇ヶ月単位
と定義します。
その次に重要なのが、上記をマトリクスして導入企業の可視化をします。
縦軸にID数、横軸に期間を振り分け、現在に至るまでの導入企業数を当てはめていきます。

ここまでの枠組みを経て、自社に適した優先順位で落としてはならない企業群の抜粋を行います。
そして、これら座組が完成したところでもう一工夫させます。
スプレッドシートに全社導入企業を添付し、ID軸・期間軸・ヘルススコア(各社によってこれは違うので重要指標を入れる)などを記載。

これを持ってして、毎日データを更新(関数など駆使してます)し、過去と比較した上でアクションを取るべき企業群を選別しCS担当者が接触を試みます。
※毎週CS担当者全員で進捗を管理してます。
スプレッドシートはフィルターがかけやすく、すぐに整理ができるのでアナログちっくだが初期フェーズにおいては有効だと思います。
※今後はセールスフォースを構築してやりたいと考えている。
マネージャーは常に各社の利用状況を把握し、数値の動き・変化にすぐに気づけるくらいの感覚を持っておくと良いと思います。
④立ちはだかる課題
ここまで自社のやり方などについて説明してきましたが、今も当然のように課題はあります。
上記の優先順位は、ある程度目星はつけて対応はスムーズになってきましたが
接触率100%は「優先順位」と「施策内容」が肝です。
「施策内容」が課題としてあります。
マトリクスに振り分けた企業、「High/Midlle/Low」で当然のことながら施策内容は変わります。
例えば接触方法一つとっても「電話/zoom/チャット/メール/etc…」などありますし、人を介さずしてプロダクトによってタッチできるところ(いわゆるテックタッチ)はないかなど。
ここの解を見つけるのは、正直数ヶ月やってみてのデータを基にした検証を繰り返すことしかできないです。
ここら辺はマネージャーの今までの蓄積してきた感覚とデータが重要です。
⑤使用ツール
ここでは少し視点を変えて。
CSをやる上で欠かせないものが、顧客利用状況の可視化です。
そして、どのツールで管理していくかというのが悩みとして出てくると思います。
社内エンジニアが充足していれば自社開発ということもあり得ますが、PM的な知識やデータを読み取り設計できる人がいないと少々難しいです。
当社は自社開発して顧客データ管理をしていますが、今後はセールスフォースに絞って管理していこうと考えています。
※自社開発したプロダクトの要件定義はむずかった。。
現状、セールス組織ではセールスフォースを使用しており、「リード〜導入決定」までの管理に活用してます。
CS組織もデカくなってきて、全ての情報が一つのツールで全員で可視化できた方がナレッジが溜まりやすいと考えています。
これから使用ツールを考える会社さんは
①現状何をみたくて
②少し先まで見据えて今何をすべきかを把握
上記を頭に入れつつ、決めるといいと思います。
【最後に】
最後までお読みくださりありがとうございました!
色々書いてきましたが
結局のところ
自社起点→顧客起点
これをどれだけ考えられているか。
主語が「顧客」になっている会社組織は強いと思います。
「顧客起点でのマネジメントや行動が薄まっている、という本質的な問題がある」
我々が経営でこだわっているのは
「お客様に価値を届ける」
「お客様にプロダクト使ってもらう」
「お客様が価値を感じた上でプロダクトを購入していただく」
「プロダクトを使ってもらうことでお客様にとっての課題を解決してる」
日々数字に追われ、すぐにKPIだったり施策内容を変えたくなる現象が多々あると思いますが、仮説検証ができるまでは我慢も必要です。
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それではまた。