時を捉える姿勢だけでも |MIERUE
近頃は仕事に忙殺されていて、すっかり文章を書くことを忘れていた。
捉え方によっては日々が充実しているとも考えられるが、時の流れがとても早い。つい最近会ったと思っていた友達と飲みにいくと、最後に会ったのが半年前だったということすらあるのだ。
時の流れを正確に捉えるのは難しい。
それは皆に平等に与えられているものではあるが、意識していなければサラサラと手のひらからこぼれ落ちる砂のようなものだ。
そんな酷く曖昧なものを可視化するアプリがリリースされた。
実際に使ってみて、自分が感じたことを記したいと思う。
MIERUEというアプリについて
このアプリは僕の知り合いが制作したもので、リリース前に話を聞いた時からとても興味が湧いていた。
アプリの概要は以下の通りである。
使い方は至ってシンプルである。
受験でも仕事のタスクでも、自分が成し遂げたいことでも、始点と終点を設けて登録することで、アプリ内のトップページに経過した時間と残された時間が数値としてではなく嵩によって表示されるのだ。
タスクは5つまで登録することができて、写真にあるバーのように残された時間が表示される。直近のタスクを入れることも可能だし、数十年単位の極めて長期的なものを入れることもできる。
僕の場合は、左から自分の寿命(僕は88歳で死ぬことを目指している)、自分がコーヒーを生業として扱っていくか決める分岐点(これは30歳の誕生日だ)、6月末に参加する予定の函館マラソンを登録した。
それぞれのバーを長押しすることで、残りの時間をパーセント表示することもできる。
コップの水はどれくらいか
さて、MIERUEを用いて時というものを可視化することは出来た。
しかし可視化されたものを見て、どのように感じるかは人によって大きく異なるのではないだろうか。
例えばあなたが登録したタスクの残された時間がおよそ半分程度だったとする。その時あなたは、もう半分も時間が過ぎたと捉えるか、まだ半分も時間は残っていると捉えるかということである。これは単なる楽観主義、悲観主義として分けられるような問題ではない。重要なのは、なぜそのように捉えたかを考えることだと思う。
僕の場合は、当初このアプリについて開発者の知り合いに話を聞いた時に、残りの時間を感覚的に捉えることができるので、そこから危機感や目的意識が芽生えるのではないかと推測していた。
しかしながら実際にアプリを使ってみると、確かに危機感や目的意識は湧くのだが、それは残された時間を捉えたからではなく、むしろ過ぎ去った時間を捉えたからだった。
写真の左の黒いバーで表示されている僕の寿命だが、おおよそ全体の2/3が残っているように見える。しかしそれは同時に1/3の時間が既に過ぎ去ったことを表している。これまでの27年間を決して無駄に過ごしたとは思っていないが、果たして僕はこの27年間を経てなにかをやり遂げることが出来たのだろうか。海外留学をしたり、大学を卒業したり、友人とコーヒー屋を立ち上げたりしたが、それは僕がやり遂げたことと言っても良いのだろうか。この問いを自分に投げかけた際に、僕は自信を持って答えることが出来ない。
似たような感覚を27クラブという言葉を知った時にも感じた。27クラブとは27歳で死亡したミュージシャンやアーティストの一覧であり、その総称である。つまりなにかを残せた人は27歳で死ぬことができるのだ。それが良いことか悪いことかは置いておくとして。僕は27歳の誕生日を迎えた際にとても焦っていた。なぜなら自分がまだなにも残せていないにも関わらず27歳になってしまい、このままでは命を落とせないと思ってしまったからだ。
このようなことから、僕はこのアプリの真髄とは始点と終点の両方を設定することではないかと感じた。終点を設定し残された時間を意識することは通常のタイマーでも一応可能である。しかし始点を設定することによって、過ぎ去ってしまった時間を意識することは、このアプリだからこそ出来ることではないだろうか。
本当にそのままでいいのかよ?
このアプリは、人が掲げた目標を達成するために背中を押してくれる。それはつまり危機感や目的意識を人に付与するからなのだが、この2つの感覚は有意義に生きていくためにとても重要な感覚だと思う。
僕は仕事が終わり、家に帰ってきて夕飯を食べた後の時間をしばしば無駄にする。ただダラダラと、あまり興味もないYouTubeを見て過ごしてしまう。そんな時に頭の片隅で誰かが問いかける声が聞こえる。その声が鬱陶しいと思うこともあるが、僕はその声が聞こえなくなったらお終いということも理解している。重要なのはいち早くその声に気づき、エイヤと思い切って行動を起こしてみることだ。
もし、あなたの頭の中でそんな声が聞こえずらくなっていたとしたら、このアプリはその声を増幅してくれるでしょう。そして行動に移してみれば、きっとあなたもなにかを成し遂げられるはずです。
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