Hayato

都内のコーヒー屋でコーヒー豆を焼きながら、文章を書いて、人生の豊かさについて日々考えて…

Hayato

都内のコーヒー屋でコーヒー豆を焼きながら、文章を書いて、人生の豊かさについて日々考えています。人生を一つの物語として捉え、そこにおける岐路は全て文学性があるかないかで決めてきたつもりです。人間性ポートフォリオ

マガジン

  • 書き物

    日常に起こる出来事をきっかけに頭の中に生まれた物語をまとめています。

  • 人生解説書

  • 焙煎士、サウナを語る

    「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。

  • 僕という人格を作るもの

    僕という人格を構成する作品、アーティスト、思想など、有形無形に囚われず書き記しています。

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人生の諸選択における基準の話

 人はなにかを決める際に、なにを基準として決めているだろうか。  例えば、中学校から高校に進学する際には、自分の学力や経済的環境をもとに自分の適した学校を選定し、進学する人が多いのではなかろうか。  また、高校から大学に進学する際には上記のパラメータの他に、自分が学びたい学問の専門性の有無、その大学の特色などといった自分自身の興味関心ということも大きく関係してくるだろう。  就職においては、これまでの選択よりもさらに複雑である。教育機関の選定では、それぞれ3年や4年とい

    • ハラカドマジヤバイ

      原宿なんて金輪際縁がない場所だと思っていた。 なにせ人が多いし、街は目まぐるしく変わっていくし、なんだかオシャレな空間が多くて苦手なのだ。 最近明治通りの交差点に新たな商業施設ができたということをニュースで知った。「ハラカド」というその施設は、よくわからないお店がたくさん入っていて、行くことはないだろうと思っていた。 しかしフロアマップを上から見ていくと、地下二階に一店舗だけひっそりと隠れているお店に僕の目は奪われた。その店の名前は「小杉湯」。原宿の最新商業施設の中に銭湯

      • 孤独

        ※これは以下の話の続編である。続編なんてあるのかと思うだろう。僕も続編があるなんて思ってもみなかった。 「日本全国で真夏日を記録し、危険な暑さとなるでしょう。熱中症に十分注意してください。」 茶碗に白米をよそい、昨晩作ったナスの煮浸しと味噌汁をテーブルに運んでいると、テレビからハキハキとした声が聞こえた。一人での食事は自分だけを満足させれば良いので気が楽だ。 そういえば今年は7月も終わるというのにセミの鳴き声を聞かない。連日の暑さでセミもへばっているのだろうか。毎年やか

        • みんな何者かになりたいんだよな

          先日自分たちの会社主催でコーヒーの競技会を開いた。コーヒー業界以外の人からすれば、コーヒーの競技会とは?と思うのではないだろうか。しかし世の中にはキューバサンドの世界大会もあるのだ。コーヒーにも競技会ぐらいある。 基本的にはSCAJと言われる協会が主催する大会が最もメジャーである。その中でもバリスタやハンドドリップ、焙煎の大会などが細分化されており、それぞれが世界大会に繋がっている。 最近のコーヒー業界の流れでは、SCAJ以外が開催するいわば草野球的な大会が多く開かれるよ

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        人生の諸選択における基準の話

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        記事

          1月の読書の日記

          2024年の隠し抱負として、本をたくさん読むということを掲げているこの頃である。折角なら読んだものを記録すると同時に、感想まで書いてしまおうじゃないというのが読書の日記である。なおしっかりと読み込んでいるつもりではあるものの、僕も人間であるが故に記憶が薄らいでいってしまうため、あまり多くは期待しないで欲しい。というか内容には全く期待しないで欲しい。これはあくまで僕個人の日記なのだから。 それでは1月いってみよう〜。 1.荒地の家族 / 佐藤厚志 この小説は去年の暮れに芥川

          1月の読書の日記

          アイスクリーム

          銭湯の価格が520円になってから、以前ほど頻繁に通わなくなった。 500円を超えると、日常の一部ではなくちょっとしたご褒美のような扱いになってしまう。感覚的にはハーゲンダッツと同じくらいの価値になる。 (ちなみに銭湯の価格は銭湯協会によって一律に決められているので、各店で入浴料の値下げなどは出来ない。逆にいうと値上げもできないので、最近の銭湯業界はサウナや入浴後のクラフトビールなどのサービスを充実させ、利益を増やす傾向にある。) そのため以前はジムで走り終わったら、そのまま

          アイスクリーム

          勝手に申し訳ない

          先日打ち合わせでとあるカフェに行った。 コーヒー屋を生業にしていて良いところは、打ち合わせをするカフェをしっかりと選ぶところだと思う。偏見だが、他の職業の人、例えばメディア関係の人は、その辺のいわゆるチェーン店のカフェにサッと入り、とりあえずブレンドを頼み、味わう暇もなく打ち合わせをして、サッと会計を済ませつつも領収書は必ず忘れずにもらうのではないだろうか。 その点コーヒー屋同士ではお店を決める時も、せっかくだからと行ったことのない気になっていたコーヒーショップやカフェを選

          勝手に申し訳ない

          執着

          執着とは恐ろしい 時に人間は、自分が望むものが手に入らなければ、世界の終わりのように感じる しかし世界とはそう簡単に終わるものではない 人間のその自己中心的思考、それは度々傲慢とも表現されるが、それこそが恐ろしいのだ 理性を失い、その傲慢さすなわち執着が世界を壊してしまう そうならないように、私はなにかに深く入り込まないのだ

          違和感

          店の壁からは油と煙草の煙が染み付いたような異様な匂いがした。この店を予約したのは自分の向かいに座っている男だが、確かにもつ煮込みは年季の入った汚い店内を気にさせないほど美味しかった。 昔は大学構内の喫煙所でマルボロを吸っていた彼も、今ではすっかり電子タバコを咥えている。スーツに匂いがつかないようにするためだと、どこか自慢げに話していた。電子タバコを吸っている人間は、副流煙が出ないからと言って周りを気にしない人が多いように感じるが、その独特の匂いは時に周りを不快にさせることを

          違和感

          曖昧な記憶と想いの存在証明

          あなたは最近手紙を書いただろうか。 現代社会においては、電話やメール、さらにSNSの急速な発達により手紙というコミュニケーションツールを用いることはほとんどなくなったように思える。 それでも僕は手紙が好きだ。 なぜなら手紙は物理的に残しておこうと思えば、いつまでも残るからである。電話は音声コミュニケーションのため、発言した内容が次の瞬間には消えている。お互いの記憶が薄まってしまえば、その発言が実際にあったのかどうかすら分からなくなってしまう。 メールやSNSは表記コミュニケ

          曖昧な記憶と想いの存在証明

          時を捉える姿勢だけでも |MIERUE

          近頃は仕事に忙殺されていて、すっかり文章を書くことを忘れていた。 捉え方によっては日々が充実しているとも考えられるが、時の流れがとても早い。つい最近会ったと思っていた友達と飲みにいくと、最後に会ったのが半年前だったということすらあるのだ。 時の流れを正確に捉えるのは難しい。 それは皆に平等に与えられているものではあるが、意識していなければサラサラと手のひらからこぼれ落ちる砂のようなものだ。 そんな酷く曖昧なものを可視化するアプリがリリースされた。 実際に使ってみて、自分が

          時を捉える姿勢だけでも |MIERUE

          沈黙に関する美しさについて

          大通りに面する階段をトントンと地下に降りた先にあるその小さなバーは、まだ夕方にもかかわらず賑わっていて、奥のテーブルには観光でこの街を訪れたたような黒人のグループがテーブルを囲みグラスを傾けていた。 あの日はたしか土曜日だったから、満席で入れなかったからどうしようかなどと密かに思っていた。彼女とは隣を歩いていたはずなのに、通行人のあまりの多さに縦並びに歩いたり、はぐれて距離が空いてしまったりした。それでもいつの間にか彼女は他の人が気づかないくらい僕の僅か斜め後ろをついてくる

          沈黙に関する美しさについて

          どうして私は

          きらきら光るあの笑顔も 燦々と照らす太陽も 空に向かってまっすぐと咲くノースポールも 夕陽に照らされる電車に揺られている二人も 窓ガラスに反射されたカメラも 春の夜に響く足音も バラの香りがする長い髪も 闇を祓ってしまう明るい声も きらきら光るあの笑顔も 全てが憎くてたまらない どうして私は

          どうして私は

          焙煎士、サウナを語る 第二室

          「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。 このコラムが始まったきっかけは、自分がサウナに入っている時にふとコーヒー豆の気持ちとはなんだろうかと考えたことだった。焼かれるとは一体どんな感情になるのだろうかと考え始める

          焙煎士、サウナを語る 第二室

          焙煎士、サウナを語る 第一室

          「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。 今回から全5回に渡ってそのコラムのアーカイブを掲載する。 対流熱について語ろう。 対流熱とは熱源から発せられた熱が風に乗って、ものを温める伝わりかただ。つまり熱風のことであ

          焙煎士、サウナを語る 第一室

          強欲な自分

          先日、母と姉とその旦那とその子供と5人で箱根旅行へ行った。姉家族と会うのは久々だったが、甥っ子の成長具合に驚かされた。人とは産み落とされてから約1年半でこんなにも人になるのか。生まれたばかりの頃は、人というよりもまだ動物に近い印象を受けたが、今や立派に二足歩行をするのである。発語はまだしないが、確実にこちらが話しかけている内容はある程度理解している。人間の言語習得はまだまだ解明されない部分が多いが、本当に不思議なものである。 そして僕が驚いたのはそれだけではない。甥っ子が成

          強欲な自分