『欲望の資本主義』 2022年夏 特別編NHK-BSを見て
欲望の資本主義
浜松の奥山方広寺に、悟りを開いた虎がいたらしい。看板には、その虎の悟りがどんなものか書いてあった。
「自分と周りが一体となったように感じて、自我などどうでも良くなった」
それが彼の悟り。
死の間際に岩になり、ずっと方広寺を見守っている。
居酒屋で一人飯を食いながら、そんなことを思い出していた。居酒屋とは不思議な場所で、自分と周りが一体になった気がしてくる。
そう、まさに極楽。
先日、NHK-BSで『欲望の資本主義』の最新作が放送されていた。2022年夏、特別編。
『21世紀の貨幣論』のフェリックス・マーティンは、こう語った。
「中央銀行が時代遅れのようだ」
「やることなすこと後手後手ではないか」
「イギリスの10%のインフレなど、絶対に手に負えまい」
英国財務省のアドバイザー、ダイアン・コイルは、こう言う。
「お金への執着をデジタル通貨がどう変えるか、分からない」
「国が流通させる通貨からの逃走が起こっている」
岩井克人は、
「貨幣さえ持てば、独立した人格を持っていると捉えられてきた」
と語り、アリストテレスの言葉を引く。
岩井は雑誌『東洋経済』で、「現在最も価値を失っているものは、お金である」とも喝破している。
共同体からカネへ向かっていた流れが、カネから共同体へと逆流し始めている。
自由と平等とは何だったのか?
近代社会の金科玉条のように語られてきた「自由と平等」とは、とどのつまり「金を持つこと」だったようだ。人間関係のしがらみや痛みから、我らを自由にするもの。
A・アドラーは「すべての悩みは、人間関係の悩みである」と言った。
マーシャル・マクルーハンは、「すべてのメディアは、人の痛みを和らげるために存在する」と言う。
カネを持てば、悩みからも痛みからも解放されるはずだった。だが、カネは孤独な社会をつくり、我らは副作用に痛めつけられている。
イーグルスは『Desperado』で、こう歌う。
自由とか平等とか、人権とか尊厳とか、理性とか科学とか法律とか。
近代が発してきたそんな耳に心地の良い正義は、すべてエゴであり、カネの化身だったわけだ。
現在、音を立てて崩れ始めている。
部族化する世界
最も端的なものは、バイデンとトランプの戦いである。理性のバイデンvs感情のトランプ。まずアメリカで、理性と感情が大戦を始めた。
ニューヨーク・タイムズを見ると、トランプ優勢の情報は一切出てこない。だが、騙されるべきではない。新聞は旧世界(理性)のメディアで、現実に大きく優勢なのは勿論トランプである。
マクルーハンは「世界は再び部族化する」と言う。それが有名な「地球村」の、本当の意味だ。
旧世界の夢、「理性でまとめられた一つの地球国家」は実現しない。感情と感情がぶつかり、結びつき、部族を作る。その小さなまとまりは、地球の裏側とも繋がるグローバルなものである。
普遍的に通じる理性(法律)ではなく、部族ごとに作られた感情のまとまり(掟)により、新世界は動いていく。
それが、次にトランプが勝つ意味だ。
彼は理性(法律)ではなく、感情のまとまり(掟)で動いている。氏が奇妙に見え、近代の良識ある者から糾弾される理由である。
ただ同時に、彼は「すでに起こった未来」でもある。
理性は楽園をもたらさなかった。理性は敗北し、感情の時代となる。法治国家は崩壊し、無数の「部族のような何か」が台頭するだろう。
マルクスも、『貨幣論』のジンメルも、経済は労働であり労働は犠牲であるとする。だが近代は、犠牲でしか回らない経済を欲望で回そうとしてきた。
そんなものが、経済であるはずがない。
僕たちが引くべきは、最初からハートのクイーンだったのかもしれない。
お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃
起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)
下のリンクで拙著、『人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる』の前書きを全文公開させていただきました。是非ぜひお読みくださいませm(_ _)m
どん底からの逆転劇を描いた『逆転人生』。4名の起業家と一緒に上梓いたしました。
5名分、下のリンクより少しづつ公開させていただきます。
是非お読みくださいませ(^○^)
下が処女作ですm(_ _)m
ほとんど知られていませんが、起業家はトラウマに陥りやすい人種です。
ですが、トラウマから立ち上がるとき、自らがせねばならない仕事に目覚め、それを種に起業します。
起業論の専門用語でエピファニーと呼ばれるもの。エピファニーの起こし方を、14歳にも分かるよう詳述させて頂きました。
書籍紹介動画ですm(_ _)m
サポートありがとうございます!とっても嬉しいです(^▽^)/