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有史依頼の人類の課題は他者と協力することにある

「中年を過ぎれば、人は見せられるものだけを見るようになる」

おとなの目には、石は石のままでしかない。
子供の目で見れば、宝を見て取ることもできるのに。

P.F.ドラッカー『経済人の終わり』/斎藤亜矢『ルビンのツボ』
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ロシアとウクライナの戦争で痛感させられるが、有史依頼の人類の課題は他者と協力することにある。

ならば、周りに人が集まる人とは誰だろうか。どんな人だろうか。

遥か昔、孔子が生まれるより遥か前、舜帝《しゅんてい》という王がいた。舜の生まれは農民だったが、極めて性格が良い人物だった。住居を移す先々で周りに人が集まり、どこも三年で都会になってしまうほどに。

それを知った尭帝《ぎょうてい》が彼を取り立て、中国全土を収める帝となったのだ。

東洋哲学は儒教にしろ仏教にしろ、彼のような人物となるために自らを鍛える体系である。

だから、もう一度問わせていただく。

あなたにとって、周りに人が集まる人とは誰だろうか。
その人は、どんな人だろうか。

今の教育ならば、こんな答えになるかもしれない。

・頭のいい人。
・金持ち。
・誰よりも強い人。

だが、東洋哲学の答えは異なっている。

・人と力を合わせられる人。
・人と息を合わせられる人。

である。

他者をコントロールすることを重視する近代の教えとは、大きく異なる。

修身斎家治国平天下《しゅうしん・せいけ・ちこく・へいてんか》という思想がある。

自らを修める者は家を治め、
家を治める者は国を納め、
国を納める者は天下を平らかにする。

『大学』より

他者をコントロールすることではなく、自らを修めること。それができる者は否応なく天下を平らかにする。儒教の根本思想である。

強くなることとは、意味が違っている。

私の恩師の言葉を聞いて欲しい。3月15日に語ってくれたものだ。

「今日で、私の教師生活も最後でした」

「昨年のように、4月に入って仕事が入る可能性もあるかもしれませんが、とにかく終わりました」

「やはり、寂しいものです」

金原好伸先生の言葉

弱さを語ることができる人は強い。自らを省みて、他者と息を合わせることができるからだ。弱さは自らを振り返らせてくれる。弱さには自己を発見させる力がある。

当人にとって、悲しみは苦痛でしかないかもしれない。しかし他者にとって、悲しみを語ってもらうことは至高の贈り物である。

居酒屋でもどこでもいい、弱音を吐けるかどうかだ。重要なのは。
強がりばかりを語るのではなく、ありのままにものごとを表現できるかどうか。

「あなたの悩みは、あなた自身の創造物(クリエイティブ)である」

尊敬する橘川《きつかわ》幸夫はこう語った。

史上最も偉大とされる哲学者、ヘーゲルの時代には、こんな問いが存在した。

「現実的なものが理想的なのか、理想的なものが現実的なのか」

こう言い換えてもいい。

「世界をありのままに見ることが重要なのか、理想を通して見ることが重要なのか」

ヘーゲルは前者を取った。

おとなの目には、石は石のままでしかない。
子供の目で見れば、宝を見て取ることもできるのに。

格差が助長され、誰の生活も苦しくなった。パイの奪い合いの勝敗が決したのだ。新しい世界を開拓せねばならないこの時代には、石に宝を見て取る目が求められる。思わず本音を語ってしまう子供の目だ。

世界中で禅がブームになっている。

心がとっ散らかってしまった時には禅をすると気持ちがいい。とっ散らかってしまった心は、空っぽなところに寄ってくる。

「虫を集めようとして集めることは難しいが、食べ物を置いておけば計らずも集まってくる」

二宮尊徳はそう語った。

無心や虚心には、心が集まってくる。

近代の教育は到達点に価値を置いたけれども、到達は人の心を曇らせる。

「俺は到達、あいつは馬鹿」

という具合に。

「何かあってはいけないので」

到達を重視してしまうと、そんな言葉を吐きがちになる。遊びが生まれず、無心になれず打算となってしまう。

打算では心が込められないのだ。

すべての煩悩の源は無明《むみょう》にある。仏教はそう教える。

無明とは無知を意味する言葉だが、現代教育の無知とは大きく異なる。無心・虚心に価値を置けない種の無知である。仏教で悟りの境地は空《くう》と呼ばれるけれど、空も無心を意味するはずだ。


「奇妙でとてつもない冒険に遭遇したければ、現実そのものを観察すればいいんだよ、ワトソンくん」

「この世界はね、どんな想像力をも凌駕した型破りな事実で出来上がっているのだから」

「そのご意見にはあまり賛同できないな、ホームズ」

『緋色の研究』より


ホームズになるか、普通の大人になるか。

これからの時代は、冒険者でなければ生き残れない。
卒業できなかったくらいで、ちょうどいい。

俺も大学院を一回放校になって、もう一回は一年半留年させられた。
ただそのおかげで本を書けた。
人間万事塞翁が馬だわ。

・・・お読みいただきまして誠にありがとうございますm(_ _)m
めっちゃ嬉しいです❣️

下のリンクで12月17日発売の新刊、『人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる』のまえがきを全文公開させていただきました。是非ぜひお読みくださいませm(_ _)m

2021年10月8日、新刊『逆転人生』を4名の素晴らしい方々と一緒に上梓いたしました。

内容を5名分、下のリンクより少しづつ公開させていただきます。
是非お読みくださいませ(^○^)

下の書籍が処女作です。

歴史上、だれも端的に述べられなかったフッサールの現象学が持つ本当の意味や、とても高名な方々が半分も理解していないヘーゲルの精神現象学などを、14歳にも分かるよう解説させていただきました。

是非ご覧くださいませm(_ _)m

書籍の紹介動画です。

お読みいただきまして、心より感謝いたしますm(_ _)m

サポートありがとうございます!とっても嬉しいです(^▽^)/