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ゆっくり歩くと世界が広がる

昔から歩くのは早い方だった。身長が伸びるほどに、歩くペースは早くなっていき、携帯を買ってもらってからはイヤホンで好きな音楽を意気揚々と聞きながらスタスタ歩くのが癖になっていた。

最近、私は歩く速度を遅めている。別にだから何かが生まれるわけじゃないが、自分の中で歩くスピードに自分の思考や心のスピードが比例している感覚があり、スピードを遅めることで全体的にゆっくりな思考ができるようになると思うからだ。

プラセボもきっとあるが、実際問題、ゆっくり歩いている方が以前よりもずっと、街の景色や人々の会話、香りや彩りなど視覚・聴覚的情報にたくさん触れることになり、日常の何気ない発見や変化に対する気づきが増えることにつながった。

歩くスピードが速い方が良いとも、遅い方が良いとも思わないが、今私はゆっくり歩く方がずっと、自分の生活や世界の見方をアップデートしてくれて、新鮮な気づきを提供してくれるから好きだ。早歩きするのは、ウォーキングしている時や大事な約束に遅れそうな時だけでいい。それよりもずっと、長い時間をかけて短い距離を歩いて、周りの様子をしっかり見る。

その方がずっと豊かになれる、そんな気がしている。

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