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「月乃」が呼んでくれたもの。

おやまだ文化の森がオープンして、初の夏を迎えました。暑くて毎日溶けそうな日々ですが…、そんな中、私の写真スタジオがついに完成。場所は本館の1Fになります。念願だったスタジオがようやく形となったので、完成までの過程をここに残します。少しでも多くの方に知って頂いて、撮影に来てもらいたい。お読み頂けたら嬉しいです。

1.きっかけとなった「月の写真室」

『月乃写真室』という名前を作ってから実はもう2年ほど経っていて、
今後の広がりや可能性を考えて、屋号を作りたい。
当初そんな想いでこの名前、ロゴを製作しました。名前の背景は、2020年春に四日市の手包みおやつ月の温さんで行った写真撮影会と展示『月の写真室』がきっかけに。なんだかこの名前をとても気に入ってしまい、〝の〟を〝乃〟に変換して誕生しました。

長女が『穂乃花』という名前なので〝乃〟を採用した背景があったり、後に生まれてきた次女は『穂月』という名前に命名。実はこの『月の写真室』のイベントの約一ヶ月後に次女を出産予定だったところ、名前をどうしようか考えているタイミングでした。なんとも必然といっていいべきか、次女の名前と屋号が同時に誕生した瞬間だったのです。

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月の温さんの「雨音展示室」という
小部屋をお借りして行なった展示。
これまで撮ってきた家族写真たち。
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この時はほぼフィルムで撮影。
自分で手作りしたフライヤー。

イベントが終わったあと月の温の田内さんに、「月の写真室って名前を貰ってもいいですか?」と、お願いしたことは今でもよく覚えているし、とにかくここでのイベントは自分の中で思い出深くて、この先の自分自身の在り方や、写真仕事との付き合い方を示してくれたような、そんな出来事だった。まだまだ駆け出しで何者にもなっていない自分が、大好きで尊敬していた月の温さんで行わせて頂いたことは、自分にとって夢のような時間だった。
また、余談だけど冒頭で述べた今後の広がりや可能性。というのは、のちにできる『おやまだ文化の森』に繋がったので、やっぱり屋号を作って良かったなと今思います。

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月の温さん前にある海蔵川河川敷での撮影会。
楽しかったなぁ。
撮影会が終了した約一ヶ月後に誕生した次女、穂月。
ロゴデザインはいつもお世話になっている
paper design bamさん。

2.スタジオが、できるまで。

それから約2年。お店は春の4月オープンへと進むも、2Fギャラリーでの展示や企画準備、そもそものお店全体の改装準備に常に時間と労力を追われてしまい、肝心な本業である撮影仕事の方になかなか着手できず、何もかもが片手間。という状態がオープン前後の約3ヶ月ほど続いてしまった、もどかしい日々。入口には写真室という屋号を貼って、旗を掲げているにも関わらず、屋号だけがあり中身は空っぽ。という状態が続いた。

おやまだ文化の森オープン前の改装風景。
以前が美術館だった為、
光を遮断するように存在した
白パネルを撤去する作業が最初の始まり。
写真はいつも頼りにしている、
間取りデザイナーの青木夫妻
存在が不自然だった木の柱を白に塗装。
手際良く塗ってくれたのは写真仲間の中尾さん
それを撮る、同じく写真仲間の相武さん

自分たちだけでできる範囲のDIYを行い、「最後に壁面をDIYすればスタジオとしてきっと機能する」と考え、頼りになる友人と、スタジオにしたい場所の壁面へ漆喰作業を開始。作業自体は難しかったけど、やればやるほど生まれてくる温かい手作りの壁という風合いに、どんどん愛着が増していく。漆喰塗りは人生で初めてだったけど、子どもの頃、よく土をドロドロにして遊んでいたことを思い出した。全身を汚しながら何かに夢中になることは、なんだかとても久しぶりだった。とにかく楽しかった漆喰作業。

壁紙の上に直接漆喰を塗っていく。
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漆喰レクチャーをしてくれて、何度も手伝いに来てくれたbeck coffeeのシンゴくん。

約100年の歴史がある、炭色で塗られた床板をそのまま活かした形でスタート…するつもりでしたが、どうも自分の中でしっくりきていないモヤモヤが続いてしまう。そこで、5月の中旬頃のタイミングに、思いきって更なる改装工事を開始。
度重なるDIYに、ずっと支出が続いていたこともあって、「ここにきてまたか…」という怖さと不安はありましたが、リスクを負うことで見える景色が必ずあると信じ、決断に至りました。ただ、あくまでこれまでの仲間と一緒に行った手作りの漆喰壁は残しながら。という内容で進行することに。せっかく自分たちで作った壁は、当然このまま残したかったし、ゼロからやり直す。なんて考えは微塵もありませんでした。

ステージを作るため、床材を外す作業から開始。
約100年眠っていた床の基礎が光を浴びた。
ご縁あって作業を請負ってくれた大工さんは、
偶然にも妻の同級生だった。
物静かな人だけど、
手がとにかく早い大工の矢田さん。

過去にスタジオで働いたことは無いし、当然ながらここまで大掛かりなスタジオ改装工事に立ち会うことも初めて。ここをどのようにすれば、いい空気が流れる場所にできるだろうか…。特に難点だったのは、横幅が狭く、天井が低いということ。その限られた条件の中で、どのようにしてある程度の広さや抜け感、特別感を出すことができるだろう?

最初は右も左もわからない状況だったけど、大工の矢田さんと、構想から現場作業まで全てを行なってくれた何でも屋、近藤さんの存在のおかげで、工事が進むにつれ漠然とあった不安は少しずつ期待に変わっていく。

本業は水回り工事や点検を行う、
共同テクラスの近藤さん。

実は近藤さんには文化の森オープンの前からお世話になっていて、水回りのことから派生し、自分たちで行なったギャラリーの塗装作業のアドバイスを頂いたり、老朽している部分を、頼んでもいないのに床を潜って見てくれたり、2Fの壁の工事も行なったりもして頂いた。もう、ほんとこの場所に無くてはならない存在になってる。この写真は、5月に会期した個展『文化の森が、できるまで』でも展示させてもらったもの。僕にとって思い出の一枚。

そんな近藤さんが、「天井、くり抜きませんか?」と、少しでも天井を高く見せる為にそんな提案をしてくれた。最初は全く理解できなかったんだけど、1F天井と2Fの床の間は、1メートルも満たないほどの空間があるから、ぎりぎりまで天井をアップさせられるとのことだ。僕は案の定ワクワクしてしまい、即答で了承した。

天井の解体作業で埃が舞う為シートで覆い、
まるで暗室状態に。
僕も中に入って撮影したかったけど、ここは我慢。
これぞ改装現場という風景。

そして、少しでも立体感を出す為、壁の上部はアール加工に。これが正解だった。アール加工は、土台となるベニヤ板を曲げて壁に合わせた加工をするのだけど、これがなかなか手間がかかり、大変だとのこと。でも仕上がりは申し分ないほど綺麗だったし、写真を撮るタイミングを失ったほど早く施工が完了。ここでまた第二回目の漆喰作業も開始。少しずつ、出来上がっていく。

最初に手伝ってくれたのは、
間取りデザイナー青木夫妻と、
東北から帰省したタイミングで一緒に来てくれた、
のぶちゃん
協力をお願いしたら、
すぐに駆け付けてくれたタイガくん
海と自然をこよなく愛する男。
真っ白にしたかったので、材料は水のみ。
忙しい中、再び来てくれたbeckのシンゴくん
アール部と元々あった漆喰の壁面を合わせる為に、
壁面は再び重ね塗りを。
とにかくコネる。
水を少しずつ入れて、またコネる。
そして塗る…の繰り返し。
ベニヤ板はアクが出るので、
アール部のみ下処理剤を塗ってからの漆喰工程。
壁〜アール部は漆喰仕上げ。天井は塗装仕上げに。
人の温かさを感じるような、手作りの白い壁。
完成した漆喰壁。
床はパテで埋め尽くされている状態。
残るは塗装のみ。

文化の森ができる直前もそうだったのですが、少しずつ重ねてきたものが目の前で完成が見えてきた時、そもそも、なんでこれを始めようと思ったのだろう?と考えてしまいます。製作途中は「作ること」で精一杯なので、いざそれも終わりが近づいてくると、何とも言えない冷静な感情が返ってきて、これから先のことをぼんやりと考えながら、完成が刻一刻と、近づいていく。

近藤さんが繋いでくれた塗装屋さんは、
一見コワモテだったけど、
話すと物腰の柔らかい職人さんだった。

この場所で様々な人に出会い、
喜んでもらい、笑顔を見る。
その為に、
いつも気持ちの良い風をこの場所に通し、
綺麗に写真を残して、
気持ちよく帰ってもらう。


何でスタジオという場所を作りたかったのだろう…?
それは、当たり前でシンプルなことだけど、これが今の答え。
それ以上、以下もないです。

生涯よりも残る写真だとか、
何十年先も何百年先も、その人が生きた証を残す。
というのも大切なんだけど、
僕はもっと、その人が今日、
明日、明後日の一日を大切にできるよう、
大切な人を、また大切だと思えるよう、
それを気付かせてくれるのが、写真だと思っています。

先の事なんて誰もわからないから、だからこそ、
今という時間を大事に過ごして、生きる。
それがいいなぁと。

自分にとって写真の原点は、やはり家族なので、
家族の名前が入ったこの屋号は、ずっと大切にしたい。

ここを作りたいと発信した時、多くの仲間が駆け付けてくれて、お店を作る力を貸してくれました。この名前が、多くの仲間を呼んでくれたのです。完成に至るまで時間は、二度と戻ることのない、僕にとってかけがえのない時間です。

3.これからについて

つい長くなってしまいそうなので、これからについて。
おやまだ文化の森も含め、スタジオとしての存在発信はまだまだこれからです。実際の撮影見本写真もまだ少ないので…、そのあたりもどんどん撮って伝えていきたい。

スタジオで撮影させて頂ける内容は主に、
・家族写真(記念撮影全般)
・七五三
・ウェディング前撮り
・プロフィール(遺影も含む)
・商品撮影
・モデル撮影(ファッション等)

など。当然スタジオといえば…的な内容ではあり、まだまだ至らぬ点もあるかと思いますが、ご依頼頂いた撮影は全力でお受け致します。お気軽にご相談ください。見学も大歓迎です。(事前アポイントにてお願いします)
また、記念撮影においては、以下をプランとしております。


◎家族写真
納品プラン
5cut ¥35,200
10cut ¥41,800
20cut ¥50,600
30cut ¥60,500

◎七五三写真
5cut ¥46,200
10cut ¥52,800
20cut ¥60,500
30cut ¥71,500
※全て税込です

・額装or布台紙いずれか1枚を後日発送
・データ付き
・L版プリント付き
それ以外の詳細はウェブサイトまで

テスト撮影を兼ねて撮らせてもらったリエさん
同じくリエさんと一緒に撮らせてもらったユカさん

4.さいごに

実は最後の床の塗装作業が完成したのが、これを書いている日の昨日、6月30日(木)でした。はれて、きりよく7月1日から使用開始ができることになったんだけど、実は既に記念すべき初のお客様の撮影を先週末に終えたところでした。「この6月で、妻と結婚10周年になるから撮ってほしい」と言って頂けたのが、スタジオ工事で一番といっていいほどお世話になった、近藤さんでした。本当に感謝しかありません。近藤さん、最後の最後までありがとう。

そんなこんなで、月乃写真室のスタジオが、おやまだ文化の森1Fにてスタートしました。これから多くの人と出会える場所となるよう、撮影のご予約、お問い合わせをお待ちしております!

月乃写真室
〒512-1111
三重県四日市市山田町1901-1
おやまだ文化の森 本館1F
※事前予約制
WEB SITE TOP
問い合わせページ
Instagram

さいごに。
ロゴを製作した後、ホンジョウマイコさん
描いてくれた月乃写真室イメージイラスト。
スタジオのデスクそばに展示している。
いつかスタジオバージョンも描いてもらいたい。

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#地方創生  #古民家改装
#三重  #四日市


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