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1週間で来場者400人+Instagramのメンション120人を生んだ写真展。元Webマーケターで現フォトグラファーが本気で考えた施策と展示内容。

先日初めて、個人で写真展「ジッケン」を行いました。
人口30万人の旭川という地方都市で、一介のフォトグラファーが写真展。
写真の内容はもちろん拘っていますが、展示するからにはたくさんの方に来てほしい!
そこで元Webマーケター(※)としての経験を活かして、集客と拡散というものをかなり意識して開催しました。

その結果タイトルにもある通り、来場者数400人超。Instagramのメンションは120人。という結果になりました。
東京や札幌に比べれば大した人数ではないのですが、この旭川という土地で400人の集客は少なくないのかな?と思えています。
何より僕自身、この結果にはすごく手応えを感じました。
ご来場くださった皆さま本当にありがとうございます!🧪

開催までのプロセス集客のために何を行なったかなど、余すところなく書き残そうと思っていますので、少し長くなりそうですがお付き合いください。

※Webマーケターとは?
Webマーケターは、Webの特性をマーケティングに活かす職業。
Web上の顧客の行動に沿ってさまざまな戦略を実行し、効率的に多くの製品やサービスが売れるように、広告宣伝や市場調査などの活動を担当します。

マイナビクリエイターより一部抜粋

そもそも Who are you?

そもそもお前は誰だという話になるかと思いますので、簡単な自己紹介と僕の経歴(集客を語る上で必要な内容)を。

名前:ハヤシヒロナオ
生年月日:1994/10/24
性別:男性
職業:olbb株式会社 取締役 フォトグラファー / ディレクター
好きな食べ物:カレー / 餃子 / ロールケーキ

【略歴】
17歳 カメラ好きになる
父親が趣味でカメラを触っていたのでなんとなく身近にあったので、使ってみることにしたらハマりました。
最初の目的は卒業アルバム制作でした。通っていた5年制の学校に卒アルがないと知り「なら自分で作ろう」と撮り溜めし始めたことがキッカケでした。
だがしかし、写真を撮り歩くことに夢中になりすぎて20歳で学校を退学。笑

20歳 社会人になり純度100%のコネ入社でIT企業に就職。
スマホアプリの開発部署へ配属となり、マーケティングや広告を学びました。会社にPRや広報という部署がなかったので、基本独学で学んで発信に必要なものも自分で揃えてました。DTPやHP制作、動画編集もこの時に勉強しました。
純度100%の搾りたてのコネ入社のため、入社当初はローマ字入力しかできなくて大変でした。同期と同じことができたのは名刺交換の練習まででした。

24歳 地元旭川に帰郷。転職。
20歳からは札幌で仕事してましたが「旭川で自分で事業をする」と息巻いてたので地元へ帰ってきました。
この時転職で食品ECサイトを運用する会社へ転職。メルマガ書いたり、カニの写真撮ったり、WEBのリスティング広告を出したり、ECサイトの構築したり、農家さんへ取材したりしてました。
20歳からの社会人経験はWEBやアプリの販売における便利屋としていろいろなことをしていました。広い意味でマーケター(マーケティング担当者)んだったと思います。
施策における制作物も自分で作るという動き方でした。

26歳独立
コロナ真っ只中の2021年3月。会社を辞め独立。
スタジオに務めたりはなかったけど、壁を破壊してもいい賃貸物件を見つけて今そこをスタジオ兼事務所として使ってます。

現在
独立から1年くらいで会社を作り、フォトグラファー/ディレクターとして活動しています。
企業さまの撮影や、ウェディングなどの個人のお客さまの撮影を中心に、映像制作、広告制作、ホームページの制作などを生業としています。

と、こんな感じの経験を経て2023年3月に写真展「ジッケン」を開催しました。


どんな写真展?

やっと本格的に写真展の話をさせていただきます🙏
まずはどんな写真展を開催したのか、特設サイトや写真をご覧ください。

特設サイト

大まかに紹介すると
・ポップな写真
・女子高生の1年を追った展示
の2テーマの展示に加えて、自撮りブースを用意した展示になっています。
さらにステッカー、ポストカード、クリアファイル、ポスターの物販をしました。

特徴

・写真展の名前のロゴを作った。
・ポップな写真を大判サイズで展示。
・アパレルショップの中で開催した。
・キービジュアルのおばあちゃんは僕の実祖母。
・来場者にはポストカードをプレゼント。

写真展の様子

外観
内観(入口入ってすぐ正面)
内観(入口入ってすぐ右)
内観(展示の様子1)
内観(展示の様子2)
自撮りブース1
自撮りブースでは、ロゴがプロジェクターで身体に投影されるようになってます。
自撮りブース2


来場者特典のポストカード
物販スペース

写真展の「集客と拡散」

どんな写真展だったのか、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
それぞれのブースやアイテムには全部意味があるので、後々紹介させていただきます!

写真展を開催するにあたって一番気になるのは「どれだけ来てもらえるのか?」だと思います。僕もそうでした。誰も来てくれない夢も見ました。
だからこそ、僕のやったこと全て手の内を晒します。写真好きとして、写真展は常に開催されててほしいから。少しでもこれから写真展を開催する人の背中を押せたなら幸いです。

写真展を知ってもらうタイミングは大きく2つだと思います。
それは
1.写真展開催前に知ってもらう
2.写真展開催中に知ってもらう
この2点です。
それぞれのタイミングを意識した集客方法を取りました。
具体的に何を変えたのか?何をしたのか?ご紹介します◎

開催前にやったこと

1.店舗などにチラシやフライヤーを貼ってもらう。
1ヶ月前からいろんなお店にお願いに行きました。SNSで募ったりしながら、最終的に50店舗に販促物を貼っていただきました。(ご協力くださった皆様、本当にありがとうございます!)
ここで意識したのは色々な大きさの販促物を作ること。
僕は、ポストカードサイズ、チラシサイズ(A4)、ポスターサイズ(A2)の3種類です。
お店によって貼れる場所、掲載できる場所がバラバラです。こちらとしては大きいものを貼ってもらえるほど嬉しいけど、大切なのは「長く貼ってくれること」と「他のものとごちゃ混ぜにならないこと」だなと思って、お店にとって最適な大きさが選べるようにしました。

実際に配ったポストカードサイズのフライヤー

2.SNSで告知
今のご時世SNSの利用は当たり前。
フォロワーさんに「写真展やります!」と宣言するだけでは中々振り向いてもらえませんし、忘れられてしまいます。
なので僕がやってきたことは「写真展までの流れを載せる」「どんな写真を載せるのかネタバレをしまくる」ということです。
写真展にとって「どんな写真が観れるのか?」はイベントにおける「どんな楽しみ(プログラム)があるのか?」と一緒だと思います。
何ができるかわからないイベントじゃなくて、どんな楽しみが待ち受けているのかを明確にしました。
その際に開催までの過程を載せると、「あの時ストーリーに載せてた写真ってこれだったんだね」とか「こうして見てみるとまた違うね」という感想をもらえたし、特定の写真を目的に来場していただけました。
小学生がお母さんに「今日学校でね・・!」と報告を告げるように、フォロワーさんたちに報告していきます。もちろん小学生並みに楽しみながら!

3.SNS広告
2番の告知と似てますが、ちょっと意図が違います。
広告はフォロワー以外の方へのアプローチです。
僕のことを知らない人に、写真展に来てもらうにはどうしたらいいのだろうか?
ここで行き着いたのは「まずは僕のことを知ってもらう」ということでした。
立場を変えて考えてみて、初めましての人に自己紹介もされずに、その人がどんな人かもわからないのに「イベントに来てよ!」とか言われても、ビックリというか、嫌悪感すらいだきます。
なので、告知の匂いがするビジュアルは広告に載せないようにして、写真展に掲載する写真のみの投稿を広告に載せました。
何も考えたり警戒することなく、パッと見て可愛い、面白いって思える写真を広告にして、プロフィールに来てもらってから展示のことを知ってもらえるように誘導しました。

4.地方紙に載せてもらう
新聞やラジオ、フリーペーパーの出版社などにプレスリリースを送りました。僕は1ヶ月前と10日前の2回送ってます。
どれか1箇所に乗れると、他のメディアもついてくるので、まずは1社載せてもらえるように頑張りました・・!

5.フライヤーを常に持ち歩く
誰に会ってもお渡しできるように常にリュックにポスターとポストカードを忍ばせていました。
直接手渡しさせていただいた人が一番来てくださいますし、想いを伝えることもできます。WebやSNSでやってることは、いかに直接会って渡すかのように、想いを聞いてもらえるか?です。
SNSが便利になって、ここが希薄になりがちですが1番大切なのはここだと思います。

開催中にやったこと

発信や広告は開催中も変わらず行ってきましたが、開催中に意識したことは「自分以外の人がどれだけ発信してくれるか?」でした。
これがいわゆる拡散です。

いろんな人が展示の写真をSNSに載せてくれて、自分じゃ届かない人たちに写真展のことを知ってもらう。
そして何より展示を「流行らせる」ことが大切だと思いました。
この流行らせるための仕掛けは、展示の様子や、フライヤーなどから始まってます。この後詳しくご紹介します。


流行りを作るための仕掛けの数々

ここからが今回一番お話したかったことです。
ここまでは正直前振りです。長くて本当にすみません。笑
(ちなみにここまで4000字)
ただ、ここまでの内容をわかってくれる人じゃないときっと正確に伝わらないと思い、長々と前振りを書きました。
どうやったら「流行り」を作れるのか?
ぜひ参考にできる部分は真似して見てください◎
(僕の言う「流行り」はあくまでも地域レベルの話です。バズとはまた違うので、ご理解ください。)

急に例え話です。
とある展示があったとします。
・展示に行ったAさん
・展示に行ったBさん
・展示に行ってないCさん
AさんとBさんは展示の様子をSNSにアップしました。
この時、CさんがSNSを見てこの展示が流行ってると思うにはどうなっているべきでしょうか?

きっとこの時の答えは「AさんとBさんが同じ写真を投稿している」ということではないでしょうか。

なので、僕の今回の展示は「来た人がみんな同じような写真を撮りたくなる」ように仕向けました。

もう一つ、これ一緒に意識したことがあります。
なるべく縦向きに写真を撮りたくなるようにする」ということです。
これは僕が今回の写真展は「Instagramのストーリーでシェアしてもらう」ことに意識を向けたからです。

インスタで投稿するのって、なんかハードル高い(腰が重い)し、その場でやる人って少ないですよね。なので一番カジュアルにシェアできるストーリーをとにかく狙いました。
インスタのストーリーは基本縦向きなので、縦向きの写真を撮ってもらわないと、スマホの画面に対して写真展の様子が小さくなってしまいます。
なので、縦向き。

簡単にまとめると「同じような縦向きの写真を撮ってもらう」ことにレイアウトや展示方法を考えました。

さらに、もう1つ(しつこくてすみません!)
シェアされる写真は「この写真展の特徴がわかる写真であること」ということも狙いました。

先ほどのAさんとBさんのお話も、仮に両者が展示全体を遠くから写した写真をSNSに載せてたらCさんは流行ってると思わず、「みんな出掛けてるな」くらいで終わっちゃいます。
流行っていると思わせるにはCさんにとって、「目新しい(インパクトがある)のに、他の人たちが同じところに行ってる」と思わせることが大切。

僕の写真展の特徴の中でSNSでシェアしやすいことは
・ポップでカラフルであること
・ジッケンというタイトルでロゴが存在すること
この2点だと踏んで、狙いを絞りました。

ここまでの思考の中で僕が狙った写真は
・カラフルな写真が貼られているスペース
・自撮りブースでの写真
・外観のタペストリー
・販売したグッズ
この4つです。

上記種それぞれの狙いを紹介します。

カラフルな写真が貼られているブース

先ほども見ていただいたこちらのブースです。
ここにある仕掛けは
・横に広い壁にあえてハンガーラックを置くことで縦にセパレートする。
・このブースだけ圧倒的にカラフル(目立つ、映える)
・手前のラック(英語が書いてある黒いスウェットがかかってる)が邪魔で横向きに写真を撮るには塩梅が悪い。

内観(展示の様子1)

他のブースは写真を観て楽しむことはできるのですが、SNSに載せるには不向き。(どうせ載せるならカラフルな方という思考にさせる)

内観(展示の様子2)

自撮りブースの写真

・ブースには縦向きで撮るためのスマホスタンドを設置
・カラフル
・写真展のロゴが投影されるので「ジッケンというイベントに来てる感」をより強く。

これって観光地の顔はめパネルと同じことですよね。
来たからにはちょっと撮っていこうみたいな遊び心をくすぐれて、楽しんでもらえたのかなと思います!

外観のタペストリー

・中で写真が撮れなかった人も外観なら撮りやすい。
・タペストリーなので自ずと縦長。
・タペストリーだけ「写真展」の文字を大きく掲載

タペストリーだけ「写真展」の文字を大きくしたのは、タペストリーだけではどんなイベントなのか分かりづらいからです。
※同じデザインを踏襲したポストカードやA4のフライヤーは逆に「写真展」の文字が一番小さいです。理由は後ほど。

販売したグッズ

・クリアファイルが縦長
・来場者特典のポストカードも縦長
・全部カラフル
・全てにロゴが入ってる

買ったものってSNSに載せたくなるし、そこにしっかりロゴが入っていて、縦に長いものであれば縦向きに撮るのが当たり前に感じますよね。


こうして生まれた「ジッケンらしさ」

いろいろな仕掛けのもと、小規模ではありながら流行りを作っていくことでInstagramのメンションは125人の方にしていただけました。
メンションでその数なので、シェアしてもらった数は1.5倍かそれ以上にあったと思います。

色々な手法や考えを書き連ねましたが、シェアしてもらうために最も必要なのは「来場者の皆さんに楽しんでもらうこと」です。

あくまでも紹介したのはそれを最大化させることや伝染させることを目的としているだけで、根本は「楽しんでもらうこと」。

そのために実施したこともいくつか紹介します。

1.期間中、毎日在廊した
いつ来ていただいても、お話ができる。物販は自分で商品を手渡しする。
とにかくおもてなしを大切にしました。

2.気になるデザイン
インパクトの強い黄色背景+ハイカラなおばあちゃんというデザインにはこだわりました。それを使ったフライヤーにはあえて「写真展」という文字は一番小さく載せました。
やっぱり写真展ってまだ固いイメージを持つ人が多いから、情報や感情を「なんか面白そう」「何これ気になる」が先にきて、写真展という情報が後に来るようにしました。
そして写真展に来てもらった方はジッケンのロゴをプロジェクターで浴びたり、グッズを買ったりすることで「写真展に行った」という感覚から「ジッケンに行った」という風に、体験の解像度を上げる流れを作りました。

3.面白い背景
写真展のキービジュアルのおばあちゃんは僕の実祖母です。
おばあちゃんの写真で展示をするどころか、ステッカーやクリアファイルまで作って販売しました。
この背景はメディアに取り上げてもらいやすいですし、「孫がおばあちゃんの写真で写真展をしてる」というキャッチコピーは僕が普段接する機械の少ない年齢層の方々も「おもしろそう」と感じてくれた大きな要因でした。

※60代くらいの女性が新聞を見て来てくださり「これあなたのお婆さまなんでしょ?かっこいい!私これ目標にするわ。おばあちゃんのポストカード1枚買っていくね。」と言ってくれたのは嬉しかった・・!

4.インスタ用のスタンプを作った
スタンプを作ることで、より一層写真展に参加してもらってる感覚を楽しんでもらえるようにしました。
これによって、仮に写真展で撮った写真が狙い通りにならなくても、"ジッケンらしさ"を出してもらえるようになってます。

5.アパレルのお店で開催した
これ結構ポイントなんです。
アパレルのお店で展示するにも関わらず、僕は数々の発信の中で展示会場についてほとんど触れていません。
これには2つ理由があって、
1つ目は「発信の情報が過多になるから」。
服も写真も発信するのは内容がブレて薄まるなと感じました。
2つ目は「来場者の驚き」。
多くの方に「え!?お洋服も売ってるの??」というリアクションをいただきました。意外性や驚きは強く印象に残ってもらえるし、それだけで想像を超える体験を提供できるので敢えて伏せていきました。
発信しなかった内容は上記の2点ですが、そもそもアパレルのお店で開催した理由は「僕がその店を好きだから」と「春服とカラフルな写真の組み合わせがかわいいと思ったから」という単純なものです。
単純な分、思いは強いし、やっぱり何かをするには圧倒的な熱量が必要だと思うので、最大の方針は「好きだから」だけで決めています。

楽しんでもらって、テンションの高いうちに写真展の内容を写真展の特徴が周りに伝わるようにシェアしてもらう。
こうすることで「ジッケンらしさ」が多くの方に伝わって来場してもらえたのかなと思います。

このジッケンらしさは、グッズの売上に繋がってくれたと思ってます。
ロゴステッカーやばあちゃんのステッカー、クリアファイルなど販売したところ、ポストカードを除くほぼ全ての商品が完売しました。
※ステッカー、クリアファイル共に100部程度。
記念やお土産に買ってくださったのは、ジッケンらしさが伝わってくれた体と思います。

最後に

こんなに長い文章最後まで読んでくださってありがとうございました!
来場していただくためにたくさんの仕掛けを施して来ましたが、根本は写真が好きということや、今まで会えなかった人たちに直接会いたい。という想いから開催しました。
良いものも面白いものも、知ってもらう必要があって、知られなくてうまくいかない悔しさをマーケターとしてたくさん味わって来たからこそ、多くの方に届けるために工夫を凝らしました。

もし、あなたが写真好きでいつか写真展を開催したいなというときに役に立ったら嬉しいし、この考え方は写真展以外にもたくさん活かせるのではないかな?と思います。

最後まで読んでくれる方は少なくとも、この手の話は嫌いじゃないと思うので、自分が今やっていることに置き換えて考えてみると新たな発見があるかもしれません。

今回旭川という小さな地方都市で、たくさんの方にお越しいただき、お話ができたり写真の感想を頂けたこと、本当に感謝しています。改めてありがとうございました。
そして開催にあたり協力してくださった全てのみなさまもありがとうございます。

もっと写真もマーケティングも技術やセンスを磨いて、地元でもっと大きな写真展が開催できるよう精進してまいります。

▼ポートフォリオ

▼Instagram
https://hayashihironao.com/

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地元で起業し、フォトグラファーとディレクターとして活動しています。 仕事のこと、撮影のこと、ジャンル問わず備忘録として書き残しています。