(ショート・ショート・ショート)

「仕事はドライな精神で臨むべきだ」と誰かが言った。確かに、生きていく上で仕事に精神をすり減らすのは大変なことだ。しかしそれでは、世の中に溢れる「仕事」に心がないことになってしまう。それはいくらなんでも寂しい。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

お気に入りの鞄が見つからない。部屋中をひっくり返すように探しても出てこない。おかしいな、どこに仕舞ったのだろう？　あの鞄には大切なものが入っている。過去に置いてきてしまった、大切なものが。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

深夜、仕事中のカレの為に夜食を作った。片手で食べられるものを。朝、お皿を下げに行くと、手をつけた様子がない。（口に合わなかったのかな…）思ってお皿を下げる。「待って」とカレが言った。もったいなくて食べられなかったらしい。
_〆(゜゜〃) #小説

（ショート・ショート・ショート）

新しいテレビを買おうと思っている。店員「下取りはなさいますか？」　下取り……。そう言われると、何だか今使っているテレビが惜しい気がしてくる。お笑い番組やドラマの感動を共有した、あのテレビが。
＿〆(゜゜〃) #小説

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(ショート・ショート・ショート)

新しい本を買った。帰ってすぐに読もうと思っていたのに、家事をしなくてはいけない。早く読みたいのに。終わったら読もうと思っていたが、不思議と本に手が伸びない。ああ、自分はこの楽しみにしている時間が好きなんだ。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

燕が言った。「今夜、遅くに雨が降ります」と。しかし私は傘を持って出かけなかった。別に濡れてもいいと思ったからだ。夜の遅い時間に、本当に雨が降った。私は案の定、濡れた。あの燕はどうしているだろう。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

おととしに買って、まだ一度も履いていないヒールが出てきた。そうだ、明日はこれを履いて行こう。これでやっとこの靴は街中で脚光を浴びることができる。出掛ける楽しみが、またひとつ増えた。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

おととしに買って、まだ一度も履いていないヒールが出てきた。そうだ、明日はこれを履いて行こう。この靴を買った時のときめきを思い出せる気がする。出掛ける理由が、もうひとつ増えた。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)

おととしに買って、まだ一度も履いていないヒールが出てきた。そうだ、明日はこれを履いて行こう。いつもと違うヒールの分、見える目線の高さも変わるかもしれない。出掛ける理由が、ひとつ増えた。
_〆(゜゜〃) #小説

(ショート・ショート・ショート)　　

弟がカーネーションを買ってきた。自分は母の日に何もしていない。ちょうど一ヶ月前、母と飲みに行った。「やっぱり生ビールだね～」と母は言った。これはちょうどいい。待ちきれなくて母の日の一週間前に１ケースのビールを買った。
_〆(゜゜〃) #小説

（ショート・ショート・ショート）　　

お気に入りのカップで毎日コーヒーを淹れる。コーヒーは淹れ方によって味が全然違う。ブラックは苦かったり、コクが深かったり。濃いのに味がしなかったり、酸っぱかったり。そんな僕をこのカップは全部知っている。　　＿〆(゜゜〃) #小説